最近コロナウイルスが話題にならなくなりました。
2024年末にはA型インフルエンザが猛威を振るいましたが、
年が明けてから収束に向かい、2月末現在、チラホラいる程度です。
でも、コロナもチラホラいます。
インフルエンザは“流行”というメリハリがありましたが、
コロナはダラダラ続いている印象です。
今月、知人がコロナに罹りました。
2回目だそうで、重症化こそしていませんが、
1回目より症状が長引いてなかなか体調が戻らない、
とこぼしていました。
ところで、最近の流行株はどうなっているのでしょう?
と疑問を持ったところに、東大医科研から情報がありましたので紹介します。
「XEC株による感染拡大が主流&LP.8.1株が急速拡大中」とのこと。
どちらも初めて耳にする株の名前ですね。
両方ともJN.1株の子孫だそうです。
JN.1 → → → → XEC
→ KP.3.1.1 → LP.8.1
そしてLP.8.1株の特徴は、
「LP.8.1がJN.1よりも感染力は低いが、より高い免疫逃避能を獲得し、現在主流のXECよりも高い伝播力(実効再生産数)を有する」
「LP.8.1は今後全世界に拡大し、主流株として台頭する恐れがある」
とのこと。
注視していく必要がありそうです。
▢ 拡大中のコロナ変異株LP.8.1のウイルス学的特性/東大医科研
(2025/02/27:ケアネット)より一部抜粋(下線は私が引きました);
2025年2月現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のJN.1の子孫株であるXEC株による感染拡大が主流となっており、さらに同じくJN.1系統のKP.3.1.1株の子孫株であるLP.8.1株が急速に流行を拡大している。東京大学医科学研究所システムウイルス学分野の佐藤 佳氏が主宰する研究コンソーシアム「G2P-Japan(The Genotype to Phenotype Japan)」は、LP.8.1の流行動態や免疫抵抗性等のウイルス学的特性について調査結果を発表した。LP.8.1は世界各地で流行拡大しつつあり、2025年2月5日に世界保健機関(WHO)により「監視下の変異株(VUM:currently circulating variants under monitoring)」に分類された1)。本結果はThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2025年2月10日号に掲載された。
本研究ではオミクロンLP.8.1の流行拡大リスクおよびウイルス学的特性を明らかにするため、まずウイルスゲノム疫学調査情報を基に、ヒト集団内におけるオミクロンLP.8.1の実効再生産数を推定し、次に、培養細胞におけるウイルスの感染性を評価した。また、日本人の血清を用いて、オミクロン系統の流行株(JN.1とKP.3.3)の既感染もしくはブレイクスルー感染およびJN.1対応1価ワクチン接種により誘導された中和抗体が、LP.8.1に対して感染中和活性を示すか検証した。
主な結果は以下のとおり。
・米国ではLP.8.1の実効再生産数はXECより1.067倍高かったが、日本ではLP.8.1とXECの実効再生産数の差は比較的小さく、1.019倍にとどまった。
・疑似ウイルス感染アッセイの結果、LP.8.1の感染力はJN.1よりも有意に低く(67%減少)、XECとJN.1の感染力は類似していた。
・中和アッセイを以下の3種類のヒト血清を用いて実施した:JN.1感染後の回復者血清、KP.3.3感染後の回復者血清、JN.1対応ワクチン接種者の血清。すべての血清群において、KP.3.1.1、XEC、LP.8.1は、JN.1に対してよりも高い免疫逃避能を示した。しかし、KP.3.1.1、XEC、LP.8.1の間で中和回避能力に有意な差は認められなかった。
本結果により、LP.8.1がJN.1よりも感染力は低いが、より高い免疫逃避能を獲得し、現在主流のXECよりも高い伝播力(実効再生産数)を有することが明らかとなった。著者らによると、一部の国でLP.8.1がXECより優位になっている理由は、各国の免疫背景、SARS-CoV-2感染歴、ワクチン接種状況に依存している可能性があるという。LP.8.1は今後全世界に拡大し、主流株として台頭する恐れがある。
本研究ではオミクロンLP.8.1の流行拡大リスクおよびウイルス学的特性を明らかにするため、まずウイルスゲノム疫学調査情報を基に、ヒト集団内におけるオミクロンLP.8.1の実効再生産数を推定し、次に、培養細胞におけるウイルスの感染性を評価した。また、日本人の血清を用いて、オミクロン系統の流行株(JN.1とKP.3.3)の既感染もしくはブレイクスルー感染およびJN.1対応1価ワクチン接種により誘導された中和抗体が、LP.8.1に対して感染中和活性を示すか検証した。
主な結果は以下のとおり。
・米国ではLP.8.1の実効再生産数はXECより1.067倍高かったが、日本ではLP.8.1とXECの実効再生産数の差は比較的小さく、1.019倍にとどまった。
・疑似ウイルス感染アッセイの結果、LP.8.1の感染力はJN.1よりも有意に低く(67%減少)、XECとJN.1の感染力は類似していた。
・中和アッセイを以下の3種類のヒト血清を用いて実施した:JN.1感染後の回復者血清、KP.3.3感染後の回復者血清、JN.1対応ワクチン接種者の血清。すべての血清群において、KP.3.1.1、XEC、LP.8.1は、JN.1に対してよりも高い免疫逃避能を示した。しかし、KP.3.1.1、XEC、LP.8.1の間で中和回避能力に有意な差は認められなかった。
本結果により、LP.8.1がJN.1よりも感染力は低いが、より高い免疫逃避能を獲得し、現在主流のXECよりも高い伝播力(実効再生産数)を有することが明らかとなった。著者らによると、一部の国でLP.8.1がXECより優位になっている理由は、各国の免疫背景、SARS-CoV-2感染歴、ワクチン接種状況に依存している可能性があるという。LP.8.1は今後全世界に拡大し、主流株として台頭する恐れがある。
<原著論文>
・Chen L, et al. Lancet Infect Dis. 2025 Feb 10. [Epub ahead of print]
<参考文献・参考サイト>
・東京大学医科学研究所:SARS-CoV-2オミクロンLP.8.1株 のウイルス学的特性の解明
1)WHO:Tracking SARS-CoV-2 variants