スギ花粉とダニに対する舌下免疫療法が登場して数年が経過しました。
効果を検証する記事が続々報告されています。
結論から申し上げると、
・満足度90%以上のすぐれた治療法
・2年以下では十分な効果持続が期待できないかもしれないので3年以上続けましょう
ということ。
■ 効果的な舌下免疫療法の継続年数を検証
アレルギー性鼻炎患者へのアンケート結果から
(2017年07月19日:メディカル・トリビューン)
スギ花粉症に対する舌下免疫療法が保険適用されてから3年、ダニアレルギー性鼻炎に対しては2年が経過し、同療法のより適切な実施に寄与するデータや知見が徐々に集まりつつある。千葉大学大学院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学の米倉修二氏は、同科で舌下免疫療法を施行した患者のアンケート結果などから、同療法の効果的な継続年数や効果持続期間などを検討し、第66回日本アレルギー学会(6月16~18日)で報告した。
◇ スギ花粉症では経年的に症状が緩和し、治療満足度も高い
米倉氏は同科アレルギー外来で舌下免疫療法を2014年から実施したスギ花粉症症例にアンケートを行い、症状の程度や服薬状況、同療法への満足度などを集計した。なお、対象症例数は同療法の実施1年目が30例、2年目、3年目がともに24例であった。
その結果、例年もしくは昨年(2016年)と比較した症状に関して、実施1年目は「重かった」、「なかった」との回答がともに6.7%だったが、3年目はそれぞれ0%、8.3%となり、鼻炎治療薬について「使用なし」とする回答は、1年目が23.3%、3年目が58.3%となった。
3年目の時点で同療法が「効果的」と感じている割合は100%で、同療法を「満足」としている割合は91.7%に及んだ。
また、同療法を2年間実施した17例についてもアンケートを行い、実施5年後にほぼ同様の項目を尋ねたところ、症状が「軽かった」が76.5%、「なかった」が5.9%で、鼻症状の治療薬および点眼薬について「使用なし」とする回答はそれぞれ35.8%、58.8%であった。
同療法の効果が「持続している」と感じている割合は82.4%で、同療法を「受けて良かった」としている割合は88.2%に達した。
同氏は、スギ花粉症に対する同療法の実施1年目と2年目では、2年目で総合鼻症状薬物スコアがより改善していたとする報告にも言及し、その継続的な効果を示した。
ただし、イネ科花粉症に対して2年間舌下免疫療法を実施した後に、1年間実施しなかったところ、その時点での治療効果がプラセボ群と変わらなかったとの報告(JAMA 2017; 317: 615-625)があることにも触れ、同療法の効果を十分発揮させるには3年以上継続する必要があると論じた。
◇ ダニアレルギー性鼻炎でも継続効果を確認
米倉氏は、ダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法についても、海外の報告からその継続効果が確認できるとした。
具体的には、高濃度のダニエキスを用いた舌下免疫療法を6カ月間実施すると、治療終了1年後でも同疾患の誘発症状を抑制できるとした報告(Ann Allergy Asthma Immunol 2016; 117: 690-696)や、同療法を3~5年間継続すると、治療終了後6~7年間にわたり鼻炎に関連する諸症状が低減されるとする報告(J Allergy Clin Immunol 2010; 126: 969-975)などが挙げられるという。
以上の内容を踏まえ、同氏は「今後もより適切な治療の継続期間や終了後の効果持続期間、スギ花粉やダニといった複数のアレルゲンに対する効果や安全性を検討する必要がある。加えて、治療効果を予測、客観的に判断できる指標や、より即効性がある新規治療薬の開発も望まれる」と展望した。
効果を検証する記事が続々報告されています。
結論から申し上げると、
・満足度90%以上のすぐれた治療法
・2年以下では十分な効果持続が期待できないかもしれないので3年以上続けましょう
ということ。
■ 効果的な舌下免疫療法の継続年数を検証
アレルギー性鼻炎患者へのアンケート結果から
(2017年07月19日:メディカル・トリビューン)
スギ花粉症に対する舌下免疫療法が保険適用されてから3年、ダニアレルギー性鼻炎に対しては2年が経過し、同療法のより適切な実施に寄与するデータや知見が徐々に集まりつつある。千葉大学大学院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学の米倉修二氏は、同科で舌下免疫療法を施行した患者のアンケート結果などから、同療法の効果的な継続年数や効果持続期間などを検討し、第66回日本アレルギー学会(6月16~18日)で報告した。
◇ スギ花粉症では経年的に症状が緩和し、治療満足度も高い
米倉氏は同科アレルギー外来で舌下免疫療法を2014年から実施したスギ花粉症症例にアンケートを行い、症状の程度や服薬状況、同療法への満足度などを集計した。なお、対象症例数は同療法の実施1年目が30例、2年目、3年目がともに24例であった。
その結果、例年もしくは昨年(2016年)と比較した症状に関して、実施1年目は「重かった」、「なかった」との回答がともに6.7%だったが、3年目はそれぞれ0%、8.3%となり、鼻炎治療薬について「使用なし」とする回答は、1年目が23.3%、3年目が58.3%となった。
3年目の時点で同療法が「効果的」と感じている割合は100%で、同療法を「満足」としている割合は91.7%に及んだ。
また、同療法を2年間実施した17例についてもアンケートを行い、実施5年後にほぼ同様の項目を尋ねたところ、症状が「軽かった」が76.5%、「なかった」が5.9%で、鼻症状の治療薬および点眼薬について「使用なし」とする回答はそれぞれ35.8%、58.8%であった。
同療法の効果が「持続している」と感じている割合は82.4%で、同療法を「受けて良かった」としている割合は88.2%に達した。
同氏は、スギ花粉症に対する同療法の実施1年目と2年目では、2年目で総合鼻症状薬物スコアがより改善していたとする報告にも言及し、その継続的な効果を示した。
ただし、イネ科花粉症に対して2年間舌下免疫療法を実施した後に、1年間実施しなかったところ、その時点での治療効果がプラセボ群と変わらなかったとの報告(JAMA 2017; 317: 615-625)があることにも触れ、同療法の効果を十分発揮させるには3年以上継続する必要があると論じた。
◇ ダニアレルギー性鼻炎でも継続効果を確認
米倉氏は、ダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法についても、海外の報告からその継続効果が確認できるとした。
具体的には、高濃度のダニエキスを用いた舌下免疫療法を6カ月間実施すると、治療終了1年後でも同疾患の誘発症状を抑制できるとした報告(Ann Allergy Asthma Immunol 2016; 117: 690-696)や、同療法を3~5年間継続すると、治療終了後6~7年間にわたり鼻炎に関連する諸症状が低減されるとする報告(J Allergy Clin Immunol 2010; 126: 969-975)などが挙げられるという。
以上の内容を踏まえ、同氏は「今後もより適切な治療の継続期間や終了後の効果持続期間、スギ花粉やダニといった複数のアレルゲンに対する効果や安全性を検討する必要がある。加えて、治療効果を予測、客観的に判断できる指標や、より即効性がある新規治療薬の開発も望まれる」と展望した。