小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

抗菌薬は上気道感染症後の細菌合併症を減らせるのか?

2017年11月29日 11時09分11秒 | 感染症
 「抗菌薬(=抗生物質)の適正使用」の啓蒙・普及が進んでいます。
 「適正使用」とは、「必要なときは使用し、不必要なときは使用しない」という単純明快なルールです。
 しかし、この言葉をよく耳にするということは「現状は適正使用されていない」ことの証明でもあります。

 スウェーデンからの報告を紹介します。
 約10年間に抗菌薬の使用が22%減少しても、風邪に伴う合併症頻度は増えなかった、という内容です。

■ 抗菌薬は上気道感染症後の細菌合併症を減らせるのか
ケアネット:2017/11/29
 抗菌薬使用と上気道感染症(URTI)後細菌合併症との関連を検討した前向きコホート研究で、URTI後の細菌合併症はまれであり、また抗菌薬は細菌合併症予防における保護効果がない可能性が示唆された。スウェーデン・ストックホルム県ランスティング公衆衛生局のThomas Cars氏らが報告した。BMJ open誌2017年11月15日号に掲載。
 本研究では、ストックホルム県のプライマリケア、専門医の外来クリニック、入院加療施設における、2006年1月~2016年1月の診察・診断・調剤抗菌薬に関する行政医療データを基に検討した。主要アウトカムは、生態学的時間傾向分析における、URTI・細菌感染/合併症・呼吸器系抗菌薬使用の頻度の10年間の傾向分析、前向きコホート研究における、抗菌薬投与あり患者と投与なし患者のURTI後の細菌合併症発症率とした。
 主な結果は以下のとおり。

・2006年から2015年までに呼吸器系抗菌薬の使用は22%減少したが、乳様突起炎(p=0.0933)、扁桃周囲膿瘍(p=0.0544)、A群溶血性レンサ球菌感染症(p=0.3991)、眼窩内膿瘍(p=0.9637)、硬膜内および硬膜下膿瘍(p=0.4790)、汎副鼻腔炎(p=0.3971)での増加傾向はみられなかった。また、髄膜炎および急性篩骨蜂巣炎は減少し(それぞれp=0.0038、p=0.0003)、咽後膿瘍および咽頭周囲膿瘍は増加した(p=0.0214)。

・URTI後の細菌合併症は、扁桃炎後の扁桃周囲膿瘍(10,000発症当たり、抗菌薬投与あり患者41.1、投与なし患者32.4)を除き、投与あり患者・投与なし患者ともまれであった(10,000発症当たり、投与あり患者1.5未満、投与なし患者1.3未満)。

 著者らは、「定期的に収集された行政医療データの分析により、患者・処方医師・政策立案者に対して、URTI・抗菌薬使用・細菌合併症の数に関する貴重な情報を提供できる」としている。


<原著論文>
Cars T, et al. BMJ Open. 2017;7:e016221.
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NHK健康ライフ「快適な眠りのために」(宮崎総一郎)

2017年11月28日 07時40分58秒 | 医療問題
NHKラジオ「健康ライフ
2017.11.20〜24 放送 

「快適な眠りのために」
中部大学生命健康科学研究所 特任教授 宮崎総一郎

<目からウロコが落ちたトリビア>
・熟睡するためには脳温度を下げることが必要。
・電気毛布を使うと睡眠の質が落ちる(脳温度が下がりきらない)。湯たんぽはよい!
・眠気対策は短時間の昼寝(仮眠)、昼寝ができないときは太陽光を浴びること。
・適切な仮眠(昼寝)時間は年齢により異なる。

■ 11月20日(月)「月曜日はなぜ眠いのか」
・週末/休日は宵っ張り&朝寝坊するため、日内リズム(体内時計)がずれてしまう。
・そのため、日曜日の夜は体温が高く脳内温度も高くなるためなかなか眠れない。
・「ブルーマンデイ」は仕事や学校がイヤなだけではない。軽い時差ぼけと似ている。
・「ブルーマンデイ」を解消するためには、日曜朝も平日と同じ時間に起きましょう。もっと寝たいときは、一旦起きてから又寝ましょう。ただし、長く寝過ぎるのは禁物。
・睡眠負債は週末ではなく平日で解決するよう努力しましょう。

■ 11月21日(火)「食事と光が快眠を作る」
・夜になったから眠くなる理由は、睡眠ホルモンのメラトニンの作用(体温を下げる、心拍数を下げる)。
・夜、光を浴びるとメラトニンの分泌が減る。
・必須アミノ酸「トリプトファン」がメラトニンの原料である。
・トリプトファン→ セロトニン(精神を安定させる元気ホルモン)→ メラトニン。
・セロトニンの分泌には太陽光が必要。
・朝ご飯でトリプトファンをたくさん摂り、光を浴びてセロトニンに代謝し、夜メラトニンへ。
・夜、蛍光灯(青い光)ではメラトニンは分泌抑制され、白熱灯(赤い光?)では分泌抑制されないという実験結果が報告されている。
・トリプトファンを多く含む食品:肉、魚、納豆、卵など。

■ 11月22日(水)「飲酒が寝覚めを悪くする」
・眠れない時、日本人は寝酒>睡眠薬、欧米では睡眠薬>寝酒という傾向がある。
・適量のアルコールは睡眠前半では寝つきをよくするが、後半では睡眠が浅くなり中途覚醒が増え、結局睡眠不足になる。
・スッキリ目覚めたようでも、実はアルコールの興奮作用で目が覚めただけで、疲れは取れていない。
・アルコールは睡眠薬代わりにはならない。耐性化・依存性がある。いびき・睡眠時無呼吸が悪化する。
・現在の睡眠薬は通常量であれば依存性はないが、アルコールと併用すると一過性健忘が生じるので注意。

■ 11月23日(木)「冷え性が眠りを妨げる」
・体温の日内変動:早朝は低く夕方に高くなる。朝と夕方は1℃くらい差がある。スポーツの世界記録が生まれやすい時間帯は、体温が最も高く活動的になる午後7〜8時。
・夜は体温が下がってくる。それに伴い脳温度が0.4℃下がると深い眠りにつくことができる。
・深部体温は37℃でも、手足の温度は34℃。夜になると手足の温度が36℃まで上昇し、毛細血管が拡張することにより熱を放散して脳の温度が下がることによりスムースに眠りにつながる。
・しかし冷え性の人(交感神経が緊張して末梢血管が細くなっている)はそれがないので脳の温度が下がらずに熟睡できない。対策として、寝る前に手足を温めるなどが必要。
・寝る際に足を温める方法として、電気毛布、湯たんぽがあるが使い方にコツがあるので注意。
・電気毛布は寝つきはよくなるものの、中途覚醒しがち。手足が温まって熱を放散して脳温度が下がるまではよいが、そのまま温め続けるので朝まで使用すると脳温度が上がってしまうことが理由。寝る前までに電気毛布で布団を温めておき、寝るときにスイッチを切る(お休みタイマーがあればそれを使う)のがよい。
・湯たんぽが足だけを温め、朝までに自然に温度が下がるので合理的、良質な睡眠が得られる。
・良質な睡眠を意識した入浴方法:寝る直前に入る場合はぬるいお湯にサッと入る。温まりすぎると脳温度が下がらず眠れなくなる。体の芯まで温めるのではなく、手足に皮膚を温める程度がよい。熱い湯が好きな人は、寝る2時間前までに、遅くとも1時間前に入りましょう。
・ゆるめのソックスをはいて寝るのも良い。脱ぎやすいから。
・コタツも足のみを温めるので睡眠によい。ついウトウトするのはこのせい。しかし温め続けるので中途覚醒しやすい。

■ 11月24日(金)「コーヒーが眠りに及ぼす影響」
・カフェインは睡眠によくない。昼午後3時までならOK。
・眠気対策の正解は「眠ること」。脳は眠りを欲している。
。カフェインは眠気信号をブロックし脳内血流を増やすだけで、眠気は取れないし疲れも取れない。
・短い昼寝がよい。メリハリができるので夜の睡眠へ好影響。年齢別の推奨昼寝時間は・・・
(小児)10分
(成人)20分
(高齢者)30分以内
・「power-nap」(元気を取り戻す昼寝)を導入している会社・学校がある。東大谷小学校。
・仮眠以外の眠気対策は、太陽光を浴びること。室内の明るさは200-300ルクス、太陽光では曇天でも10000ルクス。

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諸外国では一般医と専門医の賃金格差は拡大している(日本ではほぼ同じ?)

2017年11月23日 08時34分02秒 | 医療問題
 世界では一般医と専門医の賃金が違うのですね。
 日本では診療報酬に「専門医加算」はありませんので、経験的に報酬に差はありません。
 私は「小児科専門医」「アレルギー専門医」の2つの資格を取得していますが、患者さんへのアピールにはなるかもしれませんが、診療報酬に反映されることはありません。
 なので、学会の独りよがりと悲観されることもあります。

 現在、学会が独自に主催している専門医制度から、第三機関である「専門医管理機構」が一括管理するシステムへ転換している過度期です。
 しかし移行後も診療報酬に反映されるという話は聞こえてこないので、面倒な移行措置・更新作業に辟易する傾向があります。

■ 一般医と専門医の賃金格差は拡大している
Univadis Medical News2017.11.1717 :MSD
 一般医と専門医の賃金格差が拡大しており、そのために総合診療の財政的な魅力が減少していることが、新しい報告から浮き彫りとなった。
 OECDが発表した『 2017年版図表で見る医療 』報告は、OECD諸国での勤務医と開業医の報酬レベルを調べた。報告によると、2005年以降、カナダ、フィンランド、フランス、ハンガリー、イスラエル、ルクセンブルク、メキシコにおいて専門医の所得は一般医(GP)の所得よりも早いペースで増加していた。オーストリア、ベルギー、エストニア、オランダでは、一般医の所得が専門医の所得よりも早いペースで伸びたため、専門医とGPの賃金格差はわずかに縮小していた。
 2015年、大半の国では専門医の方が一般医よりも所得が高く、専門開業医が一般医よりも2倍の収入を得ていたオーストラリア、ベルギー、ルクセンブルクで特に賃金格差が大きかった。
 医師の報酬は平均的な労働者よりも相当に高かった。2015年、オーストリア、カナダ、フランス、英国の一般開業医は、平均賃金の約3倍の収入を得ていた。ドイツの医師は平均賃金の4倍以上の収入を得ていた。フランスとドイツの専門開業医は平均賃金の5倍の収入を得ており、ベルギーとルクセンブルクの専門開業医は平均賃金の6倍の収入を得ていた。


<参照>
・OECD. Health at a Glance 2017:OECD Indicators. 2017OECD Publishing, Paris. DOI: 10.1787/health_glance-2017-en
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重症喘息に新規抗体薬テゼペルマブ(tezepelmab)登場

2017年11月23日 08時13分29秒 | 気管支喘息
 喘息に対する「抗体薬」には2009年に登場したオマリズマブ(商品名:ゾレア皮下注用)とメポリズマブ(商品名:ヌーカラ)がありますが、新たにテゼペルマブ(でいいのかな?)が登場します。
オマリズマブはIgE、メポリズマブはIL-5をターゲット、テゼペルマブは胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)という聞き慣れないサイトカイン(化学物質)をターゲットとします。
 紹介する記事では、テゼペルマブは軽症アトピー型喘息患者の早期型および晩期型喘息反応を防止する、と報告されています。
 あれ? 重症喘息が対象ではないのですね。

■ 新規抗体薬、コントロール不良喘息の増悪抑制/NEJM
ケアネット:2017/09/19

 この記事に対する専門家のコメント。
 薬効を期待する反面、モノクローナル抗体の宿命で、高い薬価を懸念しています。

■ 喘息のモノクローナル抗体治療に新星あらわる
解説:倉原優 氏
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受動喫煙だけではない子どもへのタバコの害

2017年11月23日 07時47分12秒 | 医療問題
 私が喫煙したのは20歳の誕生日から30歳の誕生日まで。
 それからタバコと縁のない生活をしています。
 近年は「加熱式タバコ」というのがあるのですね。
 「長さが短いため、乳児の誤飲事故のリスクになる」という報告を紹介します。

■ 加熱式たばこ、乳幼児の誤飲に注意 紙巻きより短く危険
2017年11月16日:朝日新聞
 「加熱式たばこ」の普及に伴い、国民生活センターは16日、乳幼児の誤飲に注意するよう呼びかけた。これまでの紙巻きたばこより短いものが多く、誤飲しやすいという。
 加熱式たばこは葉を燃やさず、持ち運べる充電式機器にたばこ葉が入ったスティックやカプセルをセットし、加熱して蒸気を吸う。紙巻きたばこに比べ、においが少ない。
 国民生活センターによると、日本たばこ産業(JT)など3社が販売する加熱式たばこ計12銘柄について調査。長さは24~83ミリで、乳幼児がのみ込んだり、窒息したりする危険性を判定する試験器を使って調べたところ、そのうち9銘柄は3歳未満の子どもが誤飲する恐れがあるサイズだった。JTなどによると、各社の代表的な紙巻きたばこは長さが83~99ミリという。
 国民生活センターは、誤飲した時は水などを飲ませずに、すぐに医療機関へ行くよう呼びかけている。業界には、スティックなどが入った外箱の構造について、子どもが取り出しにくいように改善することなどを求めた。
 公益財団法人・日本中毒情報センターには2016年中、加熱式たばこに関する問い合わせが419件あり、多くは「子どもが口に入れてしまった」という趣旨の相談だった。


<参考>
子どもの誤飲、どう防ぐ 生後5カ月以降は対策を

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新型インフルエンザ候補(H7N9)の足音が・・・。

2017年11月23日 07時34分08秒 | 感染症
 次の“新型インフルエンザ”候補のひとつにH7N9があります。
 近年、その報告数が増加していること、低病原性から高病原性への変異が確認されていることが気になります。

■ 「ヒト化」進む鳥インフルH7N9ウイルスの脅威
2017/11/7 日経メディカル
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難治性てんかんには脳の器質的疾患が隠れている

2017年11月23日 07時25分33秒 | 医療問題
 抗てんかん薬をいろいろ試しても効果がない“難治性てんかん”。
 画像診断(頭部CTやMRI)の一歩先を行く脳の病理組織検査では疾患の存在がより明らかになるという報告を紹介します。

■ てんかん脳組織の病理組織学的所見/NEJM
ケアネット:2017/11/08
 手術を要する薬剤抵抗性の焦点性てんかん患者の病理組織学的診断において、成人では海馬硬化症、小児では限局性皮質異形成の頻度が最も高く、次いで成人・小児とも腫瘍が多いことが、ドイツ・エアランゲン大学病院のIngmar Blumcke氏らの調査で明らかとなった。てんかん発作の基底をなす、構造的な脳病変の詳細な神経病理学的情報は、薬剤抵抗性焦点性てんかんの理解に有益とされる。欧州てんかん脳バンク(EEBB:European Epilepsy Brain Bank)は、てんかん手術で採取された標本の病理組織学的報告を標準化し、てんかんを誘発する脳病変を調査するために設立され、非特定化された臨床病理学的情報の最小限のデータを収集してデータベース化している。NEJM誌2017年10月26日号掲載の報告。
欧州12ヵ国の25年間、約9,500例のデータを検討
 研究グループは、EEBBデータベースから、欧州12ヵ国の36施設で1990~2014年の25年間に、薬剤抵抗性てんかん発作で手術を受けた患者の切除脳標本のデータを抽出し、解析を行った(欧州連合[EU]などの助成による)。
 切除脳組織の病理組織学的な検討は、地方病院(41.0%)またはエアランゲンのGerman Neuropathology Reference Center for Epilepsy Surgery(59.0%)で行われ、診断が確定された。2回以上の切除を受けた患者では、最新の手術で得られた臨床データと診断名を使用した。
 対象は9,523例(男性:4,944例、女性:4,579例)で、367例(3.8%)が2回以上の切除を受けた。手術時に6,900例(72.5%)が成人(18歳以上)で、2,623例(27.5%)は小児(18歳未満)であった。
 小児期にてんかん発作を発症した患者の割合は全体の75.9%で、6歳未満での発症は36%だった。切除前の平均てんかん罹病期間は成人が20.1±12.3年、小児は5.3±4.1年であった。手術領域は側頭葉が71.9%で、切除部位は脳の左側が49.1%、右側が50.5%、残りは正中線上の部位だった。
診断名の上位10件で86.7%
 7つの主要疾患カテゴリー(海馬硬化症、腫瘍、皮質発達奇形、病変なし、グリア性瘢痕、血管奇形、脳炎)に分類される36の病理組織学的診断が確認された。上位10件の病理組織学的診断が、薬剤抵抗性てんかんの86.7%(8,256/9,523例)を占めた。術後転帰のデータが得られた7,168例の事後解析では、術後1年間にてんかん発作の発現がみられなかった患者の割合は60.7%(小児66.4%、成人58.6%)だった。
 最も頻度の高い疾患カテゴリーは海馬硬化症で、全体の36.4%(3,463例)を占め、その88.7%(3,070例)が成人であった。平均発症年齢は11.3歳で、左海馬(10.7歳)が右海馬(11.9歳)に比べ、わずかではあるものの有意に若年であった(p<0.001)。平均罹病期間は22.5年、術後1年無発作率は61.4%だった。
 次いで脳腫瘍の頻度が高く、23.6%(2,244例)に認められた。神経節膠腫が最も多く、全患者の10.4%に相当し、その82.5%は側頭葉に発現した。腫瘍の平均発症年齢は15.1歳、平均罹病期間は11.4年、術後1年無発作率は68.4%であった。
 皮質発達奇形は19.8%(1,888例)に認められ、小児(39.3%)では最も頻度の高いカテゴリーであった。限局性皮質異形成が最も多く、その52.7%は小児だった。2回以上の手術が行われた患者では本疾患が32.2%と最も多く、次いで腫瘍が26.4%であった。平均発症年齢は6.2歳と最も若年で、平均罹病期間は12.2年、術後1年無発作率は57.6%であった。
 特異的な病変が同定できない症例は7.7%(738例)と、4番目に多いカテゴリーであった。これには、新皮質、白質、海馬の唯一の病理組織学的異常として、非特異的な反応性神経膠症の所見が含まれた。平均発症年齢は13.0歳、平均罹病期間は15.4年、術後1年無発作率は50.2%であった。
 血管奇形は6.1%(581例)にみられた。平均発症年齢は22.2歳と最も高齢で、平均罹病期間は12.3年、術後1年無発作率は64.8%であった。グリア性瘢痕は4.9%(464例)にみられ、平均発症年齢は10.6歳、平均罹病期間は14.8年であり、男性(61.0%)の頻度が高く、術後1年無発作率は46.9%と主要疾患カテゴリーの中で最も低かった。また、脳炎は1.5%(145例)にみられ、ほとんどがラスムッセン脳炎であり、平均発症年齢は10.1歳、平均罹病期間は7.8年、術後1年無発作率は50%だった。
(医学ライター 菅野 守)


<原著論文>
Blumcke I, et al. N Engl J Med. 2017;377:1648-1656.
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子どもの便秘への対応

2017年11月23日 07時17分12秒 | 小児医療
 子どもの便秘の相談は毎日のようにあります。
 当院でもパンフレットを作成して説明に利用しています。
 ベテラン小児科医の記事を見つけましたので紹介します;

■ 乳児の便秘は2本印の綿棒による浣腸で
2017/11/16 :日経メディカル
 
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経口免疫療法による重篤副作用例の続報

2017年11月23日 07時03分52秒 | 食物アレルギー
 経口免疫療法による重篤な副作用例発生の続報です。
 11/19に日本小児アレルギー学会での報告ですが、情報公開した施設が5.6%しかないので、疑問の残る、不十分な統計です。

 誤解されやすいのでちょっと予備知識を。

 経口免疫療法の対象になるのは小学生になっても治る気配のない重症食物アレルギー患者です。
 その食品が微量でも体に入ると、アナフィラキシーショックを起こすレベルであり、日常生活に支障が出ます。
 これらの患者さんに対して、短期間の間に集中的に微量からアレルゲン食物を摂取させて増量すると、一定量が食べられるようになることが発見され、それを治療に応用したのが経口免疫療法です。
 生活の質を上げるための選択肢です。

 アレルゲン食品を食べても皮膚症状だけしか出ない軽症例は対象になりませんので、誤解なきよう。

■ 日本小児アレルギー学会が「重篤な食物アレルギー症状」の緊急調査〜負荷試験や経口免疫療法に伴う重篤な事例は9例〜抗原別では牛乳アレルギーが最多
2017/11/21 :日経メディカル
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“抗菌”製品は無効どころか有害である。

2017年11月23日 06時56分28秒 | 医療問題
 “抗菌処理済み”など、CMでは多用されている表現で、清潔志向の日本人の心を捉えていますが、その効果を科学的に分析すると疑問がある・・・という記事を紹介します。

■ 問題の抗菌成分「トリクロサン」、歯ブラシに蓄積する可能性
HealthDay News:2017/11/23:ケアネット
 昨年(2016年)9月、米食品医薬品局(FDA)は「感染症予防に役立つような抗菌作用があるというエビデンスはない」として19種類の抗菌成分が含まれるせっけんなどの販売を禁止すると発表した。このうち「トリクロサン」と呼ばれる成分については、長期的に曝露すると健康に悪影響を与える可能性があることも指摘されている。しかし、規制の対象外である歯磨き粉に含まれたトリクロサンが歯ブラシに蓄積し、持続的な曝露につながる可能性が新たな研究で示された。
 この研究を率いたのは、米マサチューセッツ大学教授のBaoshan Xing氏ら。研究結果の詳細は「Environmental Science & Technology」10月25日オンライン版に掲載された。
 現在、米国ではFDAが指定する19種類の抗菌成分が含まれたせっけんや抗菌ジェル、ウェットティッシュなどの製品の販売が禁止されている。これらの成分の一部については、動物やヒトのホルモンバランスを乱す可能性が指摘されているほか、薬剤耐性菌をもたらし、海洋生物に有害な影響を与える可能性もあるとして問題視されている。ただ、トリクロサンについては歯肉炎や歯垢、齲歯の予防効果があるとの報告があるため、歯磨き粉製品への使用は認められているという。
 Xing氏らは今回の研究で、さまざまな種類の歯ブラシと練り歯磨き粉を用いて歯磨きの模擬実験を行った。その結果、子ども用歯ブラシ2本を含め、使用した歯ブラシ22本のうち3分の1以上に歯磨き7~12回分に相当する量のトリクロサンが蓄積されていた。特にエラストマーと呼ばれる素材で作られた「ポリッシングカップ」や「頬・舌クリーナー」が付いた歯ブラシは多量のトリクロサンを吸収していたという。
 また、トリクロサンを含まない歯磨き粉に切り替えても同じ歯ブラシを使い続けると2週間は歯ブラシにトリクロサンが残存することも分かった。このことから、Xing氏らは「トリクロサンを含まない歯磨き粉に切り替えた後にも、歯ブラシを通してトリクロサンに曝露し続ける可能性がある」と警告している。さらに同氏らは米国化学会(ACS)のニュースリリースで「汚染された歯ブラシを廃棄するとトリクロサンが環境中に排出される恐れもある」と懸念を示している。
 なお、トリクロサンは歯磨き粉のほか、衣料や調理器具への使用も認められており、依然として多くの「抗菌」製品に使用されている。
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