荒浪暁彦:著、ワニブックス、2015年発行。
著者はいわゆる「行列のできる」皮膚科医院の院長で、何冊か本を書いており、そちらも読んだことがあります。
カリスマ漢方医である二宮文乃先生の弟子であり、とても平易な言葉で漢方について説明し、江戸時代の「養生訓」を元に食養生についても記されています。
自分で開発した商品も販売していたり、ちょっとコマーシャリズムに傾きすぎの嫌いがありますが、役に立つ内容でした。
二宮先生はステロイド軟膏の手を借りずに漢方だけでアトピー性皮膚炎をコントロールしてしまう方として有名です。その技の片鱗を間接的にでも吸収したくてこの本を手にしました。
内容は・・・私にとっての新しい情報はありませんでした。
******************メモ*****************
□ 皮膚に“胃”という字が含まれる意味
「皮」と「膚」はともに「体の表面を覆う皮」という意味ですが、「膚」のまん中に「胃」という字が含まれる理由は、肌の健康が胃腸の健康と直結しているからだと著者は考えている。
□ 『養生訓』の知恵
・腹八分目の食事を
・焼き物より蒸したり茹でたりしたものを
・食後には軽い運動を
□ 二宮文乃先生&漢方との出会い
二宮先生はステロイド軟膏の副作用が取り上げられるようになるずっと以前から皮膚科治療に漢方を取り入れ、それまでとは異なるアプローチによって根治治療に取り組み、著しい成果を上げてきた。
それまでは塗り薬を処方する「対症療法」が中心でしたが、胃腸を含む体全体に目を配り、漢方で肌の不調の原因を根本的に改善する「原因療法」こそが二宮先生の取り組みであり、実際に驚くほど多くの患者さんが肌の難病を克服していたのである。
アトピー性皮膚炎の原因を漢方薬で内から改善すると、少なくとも概要治療とかゆみ止め内服治療しか知らなかった以前と比べ、明らかに治癒率が上がった。
□ 「気」は自律神経であり、生命を維持する根源的エネルギー
「病は気から」を言い換えると、「ストレスなどで気持ちが沈んだりイライラしていると、神経が障害されて胃腸を壊したり、頭痛や不眠、高血圧、心臓病に苦しみ、さらには免疫力も低下させ、がんになってしまうからきをつけましょう」ということになり、「病気はその人の持っている心身のエネルギーである“気”が乱れることから始まる」という意味である。
昼間に活動すべき時には、スイッチONの交感神経がしっかり働きバリバリと家事や仕事をこなし、夜寝るべき時にはスイッチOFFの副交感神経がしっかり働きぐっすり眠ることができれば、私たちは健康でいられる。
ところがストレスなどで眠りたいのに眠れなかったり、リラックスできずにイライラしていたりすると、交感神経ONの戦闘モードが続いてしまい、交感神経が筋肉を固くし、血管野リンパ管を縮め、血液やリンパ液の流れを悪くし、そうなると酸素や栄養がからだを巡らなくなり、老廃物がたまりやすくなって肌は老化し不健康になる。
□ 不眠やうつは交感神経と副交感神経の切り替えが上手くできないため
不眠の原因は、眠るべき時にスムースに副交感神経にスイッチが切り替えられないようになっている現代の生活環境にある。
“できる人”は「仕事と遊びの両方に長けている」とよく言われるが、すなわちONとOFFの切り替えが上手いということ。体も同じで、活動と急速を上手く切り替えることができる人が総じて健康で過ごせる。
□ 腸内細菌の“善玉菌”の面々
・「L・カゼイ・シロタ株」・・・ヤクルトに含まれる乳酸菌で“腸に生きたまま届ける”(らしい)。
・「R-1乳酸菌」・・・ナチュラルキラー細胞を活性化させる乳酸菌
□ シワ対策
1.乾燥を防ぐ
2.紫外線を避ける
□ アトピー性皮膚炎の赤ちゃんの手足は冷えている
最近のアトピー性皮膚炎赤ちゃんは、昔に比べてあきらかに手足の冷たい子が増えている。そんな赤ちゃんには真武湯や人参湯をいう胃腸の働きをよくする漢方薬を処方するが、これらの薬は元々は虚弱で胃腸が弱く疲れ切ったお年寄りに処方する薬だった。
□ 貝原益軒『養生訓』(1712年)
1.腹八分目
植物も、水や肥料を与えすぎると枯れてしまう。生命活動を維持するために必要なカロリーは、我々が思っているよりもずっと少ない。
2.温かいものを食べよう
冷えは万病の元。便秘より下痢の方が、栄養分を吸収できないという点ではからだに悪い。
3.新鮮なものを食べよう
例えば加工食品や冷凍食品、ドライフルーツ。多くは古いものを防腐剤で新鮮に見せているだけ。
4.好きなものを食べよう
好きなものは自分の体が「足りない」と欲しているから食べるべき。嫌いなものは避けるべき。
東洋医学でも脾(胃腸)を健全にするためには甘いものがよいとされている。
甘い、辛い、塩辛い、苦い、酸っぱいものをそれぞれまんべんなく食べることが大切。
歳を取ると塩辛いものが好きになるが、これは「腎」のエネルギー源。塩辛いものを体が欲するのは「腎」が弱って老化(≒腎虚)が始まっている証拠である。
5.味の濃い、もたれるものを食べない
脂っこい、味が濃すぎる、辛すぎるなど、胃もたれを生じさせる食べ物を禁止している。
6.いろいろなものを食べよう
甘いものは「脾」、辛いものは「心」、苦いものは「肺」、塩辛いものは「腎」、酸っぱいものは「肝」の機能を高める。バランスが悪いと機能低下や暴走の原因になる。
7.食後はすぐに眠らない
□ いろいろな乳酸菌
・LG21 ・・・胃がんの元であるピロリ菌を減少させる
・BB536 ・・・花粉症予防に効果がある
・ガセリ菌 ・・・腸に長くとどまり作用する
・1073R-1 ・・・インフルエンザ予防効果がある
・ラクトフェリン ・・・ノロウイルスへの抵抗力を高める
□ ストレスチェックに「臍上悸」
臍上悸(寝そべった状態でお臍の上あたりに手を置くと血管拍動を感じる)は心身にストレスがかかっている証拠。
ここには腹部大動脈があり、ふだんは拍動を感じないが強いストレスがあると自律神経が緊張して拍動がハッキリわかるようになる。このような状態を「気逆」という。
□ 自分でできる「お灸」
ツボは「押していたいと感じるところ」。お灸はツボに上手くはまらないと熱く感じないので、「熱く感じるところ」を探す。痛い、熱いと感じるところでは「瘀血」が起こっている。血流が悪くなって老廃物がしこりになって凝り固まっている状態でありそこにお灸を据えて巡りをよくすると、足の冷えだけではなく体全体の調子が良くなる。すると不思議なことに、痛かったツボの場所を押しても痛みを感じなくなる。
著者はいわゆる「行列のできる」皮膚科医院の院長で、何冊か本を書いており、そちらも読んだことがあります。
カリスマ漢方医である二宮文乃先生の弟子であり、とても平易な言葉で漢方について説明し、江戸時代の「養生訓」を元に食養生についても記されています。
自分で開発した商品も販売していたり、ちょっとコマーシャリズムに傾きすぎの嫌いがありますが、役に立つ内容でした。
二宮先生はステロイド軟膏の手を借りずに漢方だけでアトピー性皮膚炎をコントロールしてしまう方として有名です。その技の片鱗を間接的にでも吸収したくてこの本を手にしました。
内容は・・・私にとっての新しい情報はありませんでした。
******************メモ*****************
□ 皮膚に“胃”という字が含まれる意味
「皮」と「膚」はともに「体の表面を覆う皮」という意味ですが、「膚」のまん中に「胃」という字が含まれる理由は、肌の健康が胃腸の健康と直結しているからだと著者は考えている。
□ 『養生訓』の知恵
・腹八分目の食事を
・焼き物より蒸したり茹でたりしたものを
・食後には軽い運動を
□ 二宮文乃先生&漢方との出会い
二宮先生はステロイド軟膏の副作用が取り上げられるようになるずっと以前から皮膚科治療に漢方を取り入れ、それまでとは異なるアプローチによって根治治療に取り組み、著しい成果を上げてきた。
それまでは塗り薬を処方する「対症療法」が中心でしたが、胃腸を含む体全体に目を配り、漢方で肌の不調の原因を根本的に改善する「原因療法」こそが二宮先生の取り組みであり、実際に驚くほど多くの患者さんが肌の難病を克服していたのである。
アトピー性皮膚炎の原因を漢方薬で内から改善すると、少なくとも概要治療とかゆみ止め内服治療しか知らなかった以前と比べ、明らかに治癒率が上がった。
□ 「気」は自律神経であり、生命を維持する根源的エネルギー
「病は気から」を言い換えると、「ストレスなどで気持ちが沈んだりイライラしていると、神経が障害されて胃腸を壊したり、頭痛や不眠、高血圧、心臓病に苦しみ、さらには免疫力も低下させ、がんになってしまうからきをつけましょう」ということになり、「病気はその人の持っている心身のエネルギーである“気”が乱れることから始まる」という意味である。
昼間に活動すべき時には、スイッチONの交感神経がしっかり働きバリバリと家事や仕事をこなし、夜寝るべき時にはスイッチOFFの副交感神経がしっかり働きぐっすり眠ることができれば、私たちは健康でいられる。
ところがストレスなどで眠りたいのに眠れなかったり、リラックスできずにイライラしていたりすると、交感神経ONの戦闘モードが続いてしまい、交感神経が筋肉を固くし、血管野リンパ管を縮め、血液やリンパ液の流れを悪くし、そうなると酸素や栄養がからだを巡らなくなり、老廃物がたまりやすくなって肌は老化し不健康になる。
□ 不眠やうつは交感神経と副交感神経の切り替えが上手くできないため
不眠の原因は、眠るべき時にスムースに副交感神経にスイッチが切り替えられないようになっている現代の生活環境にある。
“できる人”は「仕事と遊びの両方に長けている」とよく言われるが、すなわちONとOFFの切り替えが上手いということ。体も同じで、活動と急速を上手く切り替えることができる人が総じて健康で過ごせる。
□ 腸内細菌の“善玉菌”の面々
・「L・カゼイ・シロタ株」・・・ヤクルトに含まれる乳酸菌で“腸に生きたまま届ける”(らしい)。
・「R-1乳酸菌」・・・ナチュラルキラー細胞を活性化させる乳酸菌
□ シワ対策
1.乾燥を防ぐ
2.紫外線を避ける
□ アトピー性皮膚炎の赤ちゃんの手足は冷えている
最近のアトピー性皮膚炎赤ちゃんは、昔に比べてあきらかに手足の冷たい子が増えている。そんな赤ちゃんには真武湯や人参湯をいう胃腸の働きをよくする漢方薬を処方するが、これらの薬は元々は虚弱で胃腸が弱く疲れ切ったお年寄りに処方する薬だった。
□ 貝原益軒『養生訓』(1712年)
1.腹八分目
植物も、水や肥料を与えすぎると枯れてしまう。生命活動を維持するために必要なカロリーは、我々が思っているよりもずっと少ない。
2.温かいものを食べよう
冷えは万病の元。便秘より下痢の方が、栄養分を吸収できないという点ではからだに悪い。
3.新鮮なものを食べよう
例えば加工食品や冷凍食品、ドライフルーツ。多くは古いものを防腐剤で新鮮に見せているだけ。
4.好きなものを食べよう
好きなものは自分の体が「足りない」と欲しているから食べるべき。嫌いなものは避けるべき。
東洋医学でも脾(胃腸)を健全にするためには甘いものがよいとされている。
甘い、辛い、塩辛い、苦い、酸っぱいものをそれぞれまんべんなく食べることが大切。
歳を取ると塩辛いものが好きになるが、これは「腎」のエネルギー源。塩辛いものを体が欲するのは「腎」が弱って老化(≒腎虚)が始まっている証拠である。
5.味の濃い、もたれるものを食べない
脂っこい、味が濃すぎる、辛すぎるなど、胃もたれを生じさせる食べ物を禁止している。
6.いろいろなものを食べよう
甘いものは「脾」、辛いものは「心」、苦いものは「肺」、塩辛いものは「腎」、酸っぱいものは「肝」の機能を高める。バランスが悪いと機能低下や暴走の原因になる。
7.食後はすぐに眠らない
□ いろいろな乳酸菌
・LG21 ・・・胃がんの元であるピロリ菌を減少させる
・BB536 ・・・花粉症予防に効果がある
・ガセリ菌 ・・・腸に長くとどまり作用する
・1073R-1 ・・・インフルエンザ予防効果がある
・ラクトフェリン ・・・ノロウイルスへの抵抗力を高める
□ ストレスチェックに「臍上悸」
臍上悸(寝そべった状態でお臍の上あたりに手を置くと血管拍動を感じる)は心身にストレスがかかっている証拠。
ここには腹部大動脈があり、ふだんは拍動を感じないが強いストレスがあると自律神経が緊張して拍動がハッキリわかるようになる。このような状態を「気逆」という。
□ 自分でできる「お灸」
ツボは「押していたいと感じるところ」。お灸はツボに上手くはまらないと熱く感じないので、「熱く感じるところ」を探す。痛い、熱いと感じるところでは「瘀血」が起こっている。血流が悪くなって老廃物がしこりになって凝り固まっている状態でありそこにお灸を据えて巡りをよくすると、足の冷えだけではなく体全体の調子が良くなる。すると不思議なことに、痛かったツボの場所を押しても痛みを感じなくなる。