表紙の文言:「しょっぱい。すっぱい。にがい。あまい。」子どもの五感をめざめさせる『味覚の授業』
合同出版、2007年発行。
「子どもの味覚」について調べる過程で出会った本です。
内容は、1990年にフランスで生まれた「ルソン・ドゥ・グァ(=味覚の授業)」を紹介するもの。
それは五感を使って味を知り、食を楽しむことを子どもたちに教える授業です。
以下のようにしっかりプログラムされた授業であり、全国味覚週間に行われる事業化されたものでした。
◆ 対象年齢:9~10歳(小学3~4年生)・・・子どもたちはこの年齢になって初めて、舌で感じた味を言葉で表現できるようになるため。
◆ 4つの味を教える:「しょっぱい」「すっぱい」「にがい」「あまい」の4つの味を五巻で体験し、味の違いを自分の言葉で表現する力をつけていく(4つの味を知る食材:塩、酢、チョコレート、砂糖を使用)
・塩:海水から作られたにがり成分の入っている自然塩・天然塩(例:伯方の塩など)がおすすめ。
・酢:米酢(ヨネズ)がおすすめ。
・チョコレート:カカオ70%くらいが適当で、これより純度が高いとただ苦いだけで不快な印象しか残らない。
・砂糖:なんでもよい。グラニュー糖はニオイがないが、白砂糖や黒砂糖はニオイがある。
◆ 食事の楽しさを教える:「心を込めて作られた食べ物をみんなで一緒に味わうことは正しい」ということを体験する(味見用食品:小さいサイズのお菓子や食べ物を試食)
美食というイメージのあるフランスでは自然に身につきそうな味覚ですが、このような授業が生まれたことはちょっと意外。
そこにはフランスに於いても女性の社会進出に伴い家庭料理で「おふくろの味」を伝えられなくなりつつある現状も垣間見えてきます。
この授業の肝は、基本的な味を確認してそれを言葉で表現することを訓練する、という視点です。
「味を言葉で表現する」に目から鱗が落ちました。
自分の印象を言葉で表現することにより、他人とは微妙に違うことに気づかされます。
同じものを食べても、美味しいと感じる友達とそうでもないと感じる友達がいることにも。
そこで「みんなの感じ方が違うのは当たり前のことですよ」と指導者が声をかけます。
嫌いな食べ物があってもいいんです(子どもたちはホッとした表情になります)。
でも、嫌いだからと言っていつもそれをよけていたり、絶対に口に入れないというのはおかしな事。
「これは嫌いな食べ物だけど、いつかは好きになるかもしれない」と思いながら少しずつ試してみましょう。
お友達だって同じです。
「あの子は嫌い、だから口もきかない」といって一緒に遊ばなかったら、お友達が1人減ってしまいますね。それは寂しいし残念なことです。
味をきっかけにいろんな事が学べそうです。
官能的なお菓子の味に毒されている日本の子どもたちにも必要そうです。
<メモ>
自分自身のための備忘録。
■ チョコレートの話
チョコレートの原料は熱帯でとれる植物の実、カカオです。長さ15~30cm、直径5~10cm、硬い殻でおおわれたラグビーボールのような形をしたカカオの実の中には、20~60個の白い種(カカオ豆)が入っています。この種を発酵させ、ロースト(焙煎)し、皮などを除いたものをつぶしてペースト状にすると、チョコレートの原料(カカオマス)になります。
チョコレートは初めは薬として飲まれていました。泥泥状のとても苦いものでしたが、19世紀にミルクや砂糖を混ぜておいしい固形の食べ物になりました。
栄養価の高い食品ですが、心身への軽い興奮作用があるので取り過ぎには注意しましょう。
■ 砂糖の話
日本に砂糖が伝来したのは奈良時代と云われています。754年、唐の僧侶鑑真が日本に渡来した際に、サトウキビから作られた「かんしゃ糖」がもたらされたと云います。江戸時代に砂糖が国内生産されるまでは、薬用として貴重品扱いされていました。
砂糖は熱帯や亜熱帯で育ったサトウキビからつくられる「白砂糖(上白糖)」や「黒砂糖」、温帯の中でも冷涼な地域で育つサトウダイコンからつくられる「グラニュー糖」などがあります。日本では鹿児島県と沖縄県でサトウキビが、北海道でサトウダイコンが原料として栽培されています。
■ 辛味は味ではないのですか?
辛味を味覚の一つと数えることが多いですが、科学的には味の中には入りません。味(味覚)とは、舌の表面にある味蕾という味細胞で感じ取るものだけを指すからです。辛味は味細胞ではなく口の中にある三叉神経で感じるもので、「熱い」「痛い」といった刺激と同等のものです。
最近は激辛とかピリ辛味が好まれて、スナック菓子にも多く取り入れられています。適度な辛味は食欲を増進させたり、味にアクセントをつけるためにも効果的です。しかし取り過ぎると口内や食道、胃などを過度の刺激で痛めてしまうので注意が必要です。
■ 家庭科の授業からなくなる調理実習
小学校高学年になると家庭科の授業が始まります。しかし残念なことに、調理実習で料理を作る時間が少なくなってきています。
以前はご飯、みそ汁、ほうれん草のおひたしなどを作って、基本的な調理、包丁の使い方などを学ぶ機会がありましたが、今はほとんどの小学校で行われていないというのが現状です。
合同出版、2007年発行。
「子どもの味覚」について調べる過程で出会った本です。
内容は、1990年にフランスで生まれた「ルソン・ドゥ・グァ(=味覚の授業)」を紹介するもの。
それは五感を使って味を知り、食を楽しむことを子どもたちに教える授業です。
以下のようにしっかりプログラムされた授業であり、全国味覚週間に行われる事業化されたものでした。
◆ 対象年齢:9~10歳(小学3~4年生)・・・子どもたちはこの年齢になって初めて、舌で感じた味を言葉で表現できるようになるため。
◆ 4つの味を教える:「しょっぱい」「すっぱい」「にがい」「あまい」の4つの味を五巻で体験し、味の違いを自分の言葉で表現する力をつけていく(4つの味を知る食材:塩、酢、チョコレート、砂糖を使用)
・塩:海水から作られたにがり成分の入っている自然塩・天然塩(例:伯方の塩など)がおすすめ。
・酢:米酢(ヨネズ)がおすすめ。
・チョコレート:カカオ70%くらいが適当で、これより純度が高いとただ苦いだけで不快な印象しか残らない。
・砂糖:なんでもよい。グラニュー糖はニオイがないが、白砂糖や黒砂糖はニオイがある。
◆ 食事の楽しさを教える:「心を込めて作られた食べ物をみんなで一緒に味わうことは正しい」ということを体験する(味見用食品:小さいサイズのお菓子や食べ物を試食)
美食というイメージのあるフランスでは自然に身につきそうな味覚ですが、このような授業が生まれたことはちょっと意外。
そこにはフランスに於いても女性の社会進出に伴い家庭料理で「おふくろの味」を伝えられなくなりつつある現状も垣間見えてきます。
この授業の肝は、基本的な味を確認してそれを言葉で表現することを訓練する、という視点です。
「味を言葉で表現する」に目から鱗が落ちました。
自分の印象を言葉で表現することにより、他人とは微妙に違うことに気づかされます。
同じものを食べても、美味しいと感じる友達とそうでもないと感じる友達がいることにも。
そこで「みんなの感じ方が違うのは当たり前のことですよ」と指導者が声をかけます。
嫌いな食べ物があってもいいんです(子どもたちはホッとした表情になります)。
でも、嫌いだからと言っていつもそれをよけていたり、絶対に口に入れないというのはおかしな事。
「これは嫌いな食べ物だけど、いつかは好きになるかもしれない」と思いながら少しずつ試してみましょう。
お友達だって同じです。
「あの子は嫌い、だから口もきかない」といって一緒に遊ばなかったら、お友達が1人減ってしまいますね。それは寂しいし残念なことです。
味をきっかけにいろんな事が学べそうです。
官能的なお菓子の味に毒されている日本の子どもたちにも必要そうです。
<メモ>
自分自身のための備忘録。
■ チョコレートの話
チョコレートの原料は熱帯でとれる植物の実、カカオです。長さ15~30cm、直径5~10cm、硬い殻でおおわれたラグビーボールのような形をしたカカオの実の中には、20~60個の白い種(カカオ豆)が入っています。この種を発酵させ、ロースト(焙煎)し、皮などを除いたものをつぶしてペースト状にすると、チョコレートの原料(カカオマス)になります。
チョコレートは初めは薬として飲まれていました。泥泥状のとても苦いものでしたが、19世紀にミルクや砂糖を混ぜておいしい固形の食べ物になりました。
栄養価の高い食品ですが、心身への軽い興奮作用があるので取り過ぎには注意しましょう。
■ 砂糖の話
日本に砂糖が伝来したのは奈良時代と云われています。754年、唐の僧侶鑑真が日本に渡来した際に、サトウキビから作られた「かんしゃ糖」がもたらされたと云います。江戸時代に砂糖が国内生産されるまでは、薬用として貴重品扱いされていました。
砂糖は熱帯や亜熱帯で育ったサトウキビからつくられる「白砂糖(上白糖)」や「黒砂糖」、温帯の中でも冷涼な地域で育つサトウダイコンからつくられる「グラニュー糖」などがあります。日本では鹿児島県と沖縄県でサトウキビが、北海道でサトウダイコンが原料として栽培されています。
■ 辛味は味ではないのですか?
辛味を味覚の一つと数えることが多いですが、科学的には味の中には入りません。味(味覚)とは、舌の表面にある味蕾という味細胞で感じ取るものだけを指すからです。辛味は味細胞ではなく口の中にある三叉神経で感じるもので、「熱い」「痛い」といった刺激と同等のものです。
最近は激辛とかピリ辛味が好まれて、スナック菓子にも多く取り入れられています。適度な辛味は食欲を増進させたり、味にアクセントをつけるためにも効果的です。しかし取り過ぎると口内や食道、胃などを過度の刺激で痛めてしまうので注意が必要です。
■ 家庭科の授業からなくなる調理実習
小学校高学年になると家庭科の授業が始まります。しかし残念なことに、調理実習で料理を作る時間が少なくなってきています。
以前はご飯、みそ汁、ほうれん草のおひたしなどを作って、基本的な調理、包丁の使い方などを学ぶ機会がありましたが、今はほとんどの小学校で行われていないというのが現状です。