今朝(2017.1.25)びNHKニュースで、和歌山県白浜町の動物園におけるパンダの飼育が紹介されました。
その中で気になったこと。
生まれたパンダを母親から引き離して飼育員が育てると、大きくはなるけど、成熟しても子作り・子育てができないパンダになってしまう。
そして、母親から引き離さずに飼育員がサポートに徹するようにしたら、この問題が見事に解決した、というエピソード。
これは他のほ乳類でも以前から指摘されてきた現象です。
ほ乳類は母親の愛情を十分すぎるほど与えないと、心が健康に育たない。
人間もほ乳類です。
現状の育児(保育園に預けて母は働く)を考えると、危機感を感じませんか?
種の保存目的、本能として用意されているはずの性行為願望が乏しいのは正常と思えない。
この内容、番組としても放映されたのですね。
見逃してしまいました・・・再放送してくれないかなあ・・・ん、関東では放映されない?
■ かんさい熱視線「パンダ子育て 密着100日“主役は母と子” 白浜方式」(2017.1.6:NHK)
絶滅のおそれがあるジャイアントパンダ。その出産、子育てに100日間にわたって密着。パンダを増やすカギは「母と子の絆」。世界から注目される動物園の取り組みに迫る。
去年9月、和歌山県白浜町の動物園でパンダが誕生した。中国を除けば世界一という繁殖実績で注目されるこの動物園には“白浜方式”とも言うべき独自のノウハウがある。母と子の絆を大切にし、なるべく長い時間、赤ちゃんを母親に抱かせる。そのために、人間は子育てのサポート役に徹する。わずか200グラムの小さな赤ちゃんと100キロのお母さんを支える飼育スタッフたちの奮闘を追う。
3年以上前に産経新聞で記事になっていました。
一部を抜粋します。
■ 【関西の議論】和歌山でパンダが次々生まれる理由は…子作り上手『永明』の見習いたい“強さ”と“優しさ”
(2013.8.25:産経新聞)
・・・ こうした子育てをサポートするのが、同園の出産方針。それを紹介する前に、まずパンダの生態を説明しておこう。
一般的にパンダは夏に生まれ、1年2、3カ月ほどで乳離れをして竹を食べられるようになる。ただしパンダはもともと食肉目(ネコ目、食肉類ともいう)で、繊維の多い竹をうまく消化できない。1日に20~30キロの竹を食べるが、それ以外の時間はエネルギー消費を抑えるためほとんど寝ている。体は本来、竹を食べるようにはできていないのだ。
つまり赤ちゃんパンダが乳離れして竹を食べて生きていけるようになるのは、乳歯が抜けて永久歯に生え替わってからという。最短でも約1年2カ月、長ければ1年半。この期間は、新しい子供をみごもることなく、しっかりと育てさせようというのが同園の方針だ。
一方、中国の繁育施設では1年に1回の人工交配が普通とされる。最初から人工保育なら親離れなど考える必要もなく、その方が個体数を増やすには手っ取り早い。同園があえてそうしない理由は、子供パンダがお母さんを見習えるようにするため。「育てられた期間が長いほど、母親の行動を覚えていて、いいメス、いいオスになる。わざと1年半、ゆっくりと子育てをさせるのです」(高濱課長)
そのため「子作りは2年に1度」というルールを定めている。また、こうすることで母親パンダにも余裕ができ、次の子作りにも前向きになるというわけだ。
う〜ん、「離乳するまで母親とずっと一緒にべったり」というのがポイントなのですが、反論を気にしてか肝心なところをぼかしていますね。
人類の母乳保育は何年が適切なのでしょう。
チンパンジーでは4年とされており、その間は妊娠をしません(雄の誘いを拒絶します)。
世界保健機構(WHO)・ユニセフでは、生後6か月までの完全母乳育児と、少なくとも2歳を超えるまで授乳を続けることを推奨しています。
<参考>
「お母さんにも赤ちゃんにもやさしい母乳育児をしよう!」-母乳はいつまで?どんな栄養素がある?母乳に関する疑問やメリットのまとめ(Medical Note:2017.1.25)
小児科医である私の視点から意見を述べさせていただきます。
あくまでも私見です。
ほ乳類の育児研究の成果を、人間の育児にエッセンスとして導入すべきです。
目指すべき人間の理想の子育て環境とは、
「母親を子育てから解放する」
ことではなく、
「母親が育児に喜びを感じられる環境」
「母親が子育てにストレスなく専念できる環境」
を提供できる社会ではないかと思います。
でないと、体は大きくなっても心が健康に育たず、将来いろんなトラブルを抱えてしまいます。
実現するのは50年後か、100年後か・・・。
その中で気になったこと。
生まれたパンダを母親から引き離して飼育員が育てると、大きくはなるけど、成熟しても子作り・子育てができないパンダになってしまう。
そして、母親から引き離さずに飼育員がサポートに徹するようにしたら、この問題が見事に解決した、というエピソード。
これは他のほ乳類でも以前から指摘されてきた現象です。
ほ乳類は母親の愛情を十分すぎるほど与えないと、心が健康に育たない。
人間もほ乳類です。
現状の育児(保育園に預けて母は働く)を考えると、危機感を感じませんか?
種の保存目的、本能として用意されているはずの性行為願望が乏しいのは正常と思えない。
この内容、番組としても放映されたのですね。
見逃してしまいました・・・再放送してくれないかなあ・・・ん、関東では放映されない?
■ かんさい熱視線「パンダ子育て 密着100日“主役は母と子” 白浜方式」(2017.1.6:NHK)
絶滅のおそれがあるジャイアントパンダ。その出産、子育てに100日間にわたって密着。パンダを増やすカギは「母と子の絆」。世界から注目される動物園の取り組みに迫る。
去年9月、和歌山県白浜町の動物園でパンダが誕生した。中国を除けば世界一という繁殖実績で注目されるこの動物園には“白浜方式”とも言うべき独自のノウハウがある。母と子の絆を大切にし、なるべく長い時間、赤ちゃんを母親に抱かせる。そのために、人間は子育てのサポート役に徹する。わずか200グラムの小さな赤ちゃんと100キロのお母さんを支える飼育スタッフたちの奮闘を追う。
3年以上前に産経新聞で記事になっていました。
一部を抜粋します。
■ 【関西の議論】和歌山でパンダが次々生まれる理由は…子作り上手『永明』の見習いたい“強さ”と“優しさ”
(2013.8.25:産経新聞)
・・・ こうした子育てをサポートするのが、同園の出産方針。それを紹介する前に、まずパンダの生態を説明しておこう。
一般的にパンダは夏に生まれ、1年2、3カ月ほどで乳離れをして竹を食べられるようになる。ただしパンダはもともと食肉目(ネコ目、食肉類ともいう)で、繊維の多い竹をうまく消化できない。1日に20~30キロの竹を食べるが、それ以外の時間はエネルギー消費を抑えるためほとんど寝ている。体は本来、竹を食べるようにはできていないのだ。
つまり赤ちゃんパンダが乳離れして竹を食べて生きていけるようになるのは、乳歯が抜けて永久歯に生え替わってからという。最短でも約1年2カ月、長ければ1年半。この期間は、新しい子供をみごもることなく、しっかりと育てさせようというのが同園の方針だ。
一方、中国の繁育施設では1年に1回の人工交配が普通とされる。最初から人工保育なら親離れなど考える必要もなく、その方が個体数を増やすには手っ取り早い。同園があえてそうしない理由は、子供パンダがお母さんを見習えるようにするため。「育てられた期間が長いほど、母親の行動を覚えていて、いいメス、いいオスになる。わざと1年半、ゆっくりと子育てをさせるのです」(高濱課長)
そのため「子作りは2年に1度」というルールを定めている。また、こうすることで母親パンダにも余裕ができ、次の子作りにも前向きになるというわけだ。
う〜ん、「離乳するまで母親とずっと一緒にべったり」というのがポイントなのですが、反論を気にしてか肝心なところをぼかしていますね。
人類の母乳保育は何年が適切なのでしょう。
チンパンジーでは4年とされており、その間は妊娠をしません(雄の誘いを拒絶します)。
世界保健機構(WHO)・ユニセフでは、生後6か月までの完全母乳育児と、少なくとも2歳を超えるまで授乳を続けることを推奨しています。
<参考>
「お母さんにも赤ちゃんにもやさしい母乳育児をしよう!」-母乳はいつまで?どんな栄養素がある?母乳に関する疑問やメリットのまとめ(Medical Note:2017.1.25)
小児科医である私の視点から意見を述べさせていただきます。
あくまでも私見です。
ほ乳類の育児研究の成果を、人間の育児にエッセンスとして導入すべきです。
目指すべき人間の理想の子育て環境とは、
「母親を子育てから解放する」
ことではなく、
「母親が育児に喜びを感じられる環境」
「母親が子育てにストレスなく専念できる環境」
を提供できる社会ではないかと思います。
でないと、体は大きくなっても心が健康に育たず、将来いろんなトラブルを抱えてしまいます。
実現するのは50年後か、100年後か・・・。