TVで見たことのあるオープンダイアローグの記事が目にとまりました。
■「オープンダイアローグ」とは=対話で精神病からの回復目指す
(2017/09/02:時事メディカル)
最近、フィンランド発祥の「オープンダイアローグ」と呼ばれる精神療法が注目されている。文字通り「開かれた対話」による治療で、入院や薬剤を極力使用しない点が大きな特徴だ。統合失調症やうつ病、引きこもりなどの治療に大きな成果を挙げているオープンダイアローグについて、筑波大学(茨城県つくば市)の斎藤環教授に聞いた。
◇対話による症状緩和
オープンダイアローグは、1980年代にフィンランドの西ラップランド地方にあるケロプダス病院で始まった。患者や家族から連絡を受けた医療チームが24時間以内に訪問し、ミーティングを行いながら症状緩和を目指す療法だ。
ミーティングの参加者は患者、家族、医師、看護師、セラピストらで、1回当たりの時間は1時間半程度。参加者全員が平等な立場で、症状が改善するまで毎日行われる。
「ミーティングは全員が発言し、医療チームで行われる話し合いもすべて患者さんの前で行います。薬物治療や入院は極力避けますが、必要な場合には患者さんを含めたミーティングで決定します」と斎藤教授。
オープンダイアローグを導入した西ラップランド地方では、統合失調症患者の入院治療期間が平均19日短縮され、通常治療では100%の服薬が必要な患者の割合は35%にとどまった。2年後の調査で症状の再発がない、あるいは軽いものにとどまっていた患者は82%(通常治療50%)、再発率も24%(同71%)と大きな成果があり、世界各国で導入が進んでいる。
◇日本での可能性
患者にとっては朗報だが、保険適用外であることや、従来の薬物療法中心の精神病治療の考え方を変える必要があるなど、国内での普及には大きな壁がある。
「24時間態勢で医療チームを組み、連日患者宅を訪問するのは困難」との声もあるが、「個々の事情に合わせて行えば可能で、幻聴などによる危機の解消まで毎日続けることも絶対条件ではありません」と、斎藤教授は話す。
現在、国内で実施している施設はまだ数カ所だが、「研修を定期的に実施しており、実践の中でセラピストを育成することもできる」として「オープンダイアローグネットワークジャパン」を中心に普及を進めている。
斎藤教授は「書籍などを通じて学ぶことで、家族が実践することも可能です」と、「対話」がもたらす精神病の治療の変革に大きな期待を寄せている。
■オープンダイアローグ創始者が公開「対話」
(2017年08月31日:メディカル・トリビューン)
薬物治療にほとんど依存せず、在宅でのミーティングを通して統合失調症を治療する−。そんな画期的な精神療法が、国内外で大きな注目を集めている。フィンランド・西ラップランド地方のケロプダス病院で1980年代から開発と実践が続けられてきた「オープンダイアローグ(Open Dialogue)」だ。オープンダイアローグの創始者であるユヴァスキュラ大学教授のJaakko Seikkula氏と元・西ラップランド地方医療区精神科医長のBirgitta Alakare氏が来日、8月20日、東京大学安田講堂で講演を行った(主催=オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン)。会場は詰めかけた900人を超える聴衆でほぼ満席となり、オープンダイアローグに対する関心の高さをうかがわせた(関連記事「オープンダイアローグ、創始者が来日講演へ」)。
診断にあえて踏み込まず、「不確実性」に耐える
Seikkula氏とAlakare氏の「強い希望」により、両氏の「対話」形式で進行されたこの日の講演会。まるで、日常会話の延長のようにリラックスした様子で行われた両氏の「対話」に、集まった聴衆が耳を傾けた。
そもそも、ケロプダス病院で実践されているオープンダイアローグとは、どのような治療法なのだろうか。その概略は、以下の通りである。
統合失調症発症直後の急性期、依頼を受けた同院では24時間以内に専門家によるチームが結成され、患者の自宅で本人や家族を交えたミーティングが開始される。その際、患者、家族、医師、看護師、心理士らが1つの部屋で車座になり、症状が落ち着くまで連日ミーティングを継続するのである。議論を導く特定の司会者を置かず、全員が対等の立場から発言を行う。
このように、「治療」としては極めてシンプルな方法だが、Seikkula氏ら(共著)が2003年に発表した論文では、着実な成果が報告されている。統合失調症の標準的治療との比較において、オープンダイアローグによる治療では、服薬を要した例は対照群の100%に対し35%だった。2年後の予備調査においても、オープンダイアローグ群の82%は再発がないか、ごく軽微なものにとどまり(対照群50%)、障害者手当を受給したのは23%(同57%)、再発率は24%(同71%)だった(Fam Process 2003; 42: 403-418)。
オープンダイアローグでは、医師はあえて診断に踏み込むことはせず、不安定な状態に宙づりにしたまま「対話」が継続される。これは「不確実性への耐性」と呼ばれるオープンダイアローグの大きな特徴で、「対話」の中で両氏はこの点を次のように語った。
「すぐに決められることばかりではない中で、本人とそのご家族が安心できるような状況をつくり上げていくことが大事です。そのためにこそ、一緒のミーティングに参加することが大切なのです。何が起こったのか、そしてこれからどうするのか、みんなで考えていくのです」(Seikkula氏)
「『これが答え』というものはありません。答えを一緒につくり上げていくことがとても大切です。そのために、最初から患者さんを診ている人たちが、最後まで一緒になって作業を続けていくことが非常に重要です。人がそこで入れ替わってしまうと、同じ理解が共有できなくなるからです」(Alakare氏)
家族療法の新たな在り方を模索した末に到達
Seikkula氏がケロプダス病院に着任したのは、1981年のこと。当時は、同院でも統合失調症患者に対し、医師が患者や家族の意向とは関係なく治療方針を決め、それに応じて投薬を行う「通常の」精神医療が行われていたという。
しかし、患者や家族が治療の現場から排除されていると感じた同氏は、新しい家族療法の在り方を模索。「あちらこちら、いろいろな境界線を探りながら」模索を続けた結果、1984年8月27日、現在のオープンダイアローグにつながる最初のミーティングが行われた。
「それまでは、医師は医師の職務を果たそうと躍起になり、自分は心理士として心理テストの実施に追い立てられていました。しかし、この日を境にそれをやめて、関係者が一堂に会して同じ場所でミーティングをする、ということになりました」(Seikkula氏)
「治療のために対話が行われるのではなく、対話の過程で治療方針が決まっていく」とも述べた同氏。主催者によると、この日の講演会には統合失調症の当事者とその家族も多数参加していたという。約2時間に及んだ両氏の公開「対話」は、精神医療に関わる人々の間に、「治療」の新しい方針と可能性を芽生えさせたのではないだろうか。
「場の力」の生成がオープンダイアローグの神髄
講演終了後、Medical Tribuneでは会場を訪れていた精神科医の松本衣美氏に話を聞いた。同氏は、精神科医として国府台病院(千葉県市川市)と精神病患者への訪問看護を行う「ACT-J」で勤務した後、現在は東京大学大学院医学系研究科でピアスタッフに関する研究を行っている。
―松本先生がオープンダイアローグに関心を持つきっかけはなんだったのでしょうか。
もともと私は福島県内で精神科医として働いていたのですが、医師が一定の方針を出し、それにコメディカルが従って、患者の声が届かなくなってしまうような精神医療に疑問を持っていました。そうした中で患者を入院させないACT(Assertive Community Treatment)の取り組みを知り、2010年にACTと連携している国府台病院に移りました。オープンダイアローグのことを初めて知ったのは、ACT-Jの専任医師として働いていた2014年のことです。薬のみに頼らず、対話によって症状の寛解を目指すという手法を聞き、とても魅力を感じました。
―本日の講演会を聴いて、どう感じましたか。
「場の力」というものをすごく感じる会でした。Seikkula先生とAlakare先生のお話を聞いて、会場の皆さんも本当に楽しそうに「対話」をしていました。安心して発言できる場をつくって、いろんな話を聞きながら、自分の中に湧いてきた言葉を口に出して言う。それが、またどこからか反応が返ってくる。そういう「場の力」を感じました。
―健康保険の適用や専門スタッフの確保など、日本の精神医療の現場に取り入れるのは難しいのではないかという指摘もあります。
オープンダイアローグであれば、治療者も当事者も家族も、同じ目線で対話に参加することになります。今日、会場にいらした方も、今までの精神医療にはないスタイルということで、可能性を感じたのではないかと思います。
これからは、患者の方から医師に「オープンダイアローグという方法を聞いたんですけど」と質問する機会も増えるのではないでしょうか。それに対して、医師が「そんなの駄目だ」と断言してしまうのはちょっとまずいんじゃないかなと思います。治療の1つの可能性として、検討する必要はあるのではないでしょうか。
―日本の精神医療においては、薬剤の過剰投与やいまだに残る身体拘束など、さまざまな問題が指摘されています。オープンダイアローグは、こういった問題を解決する糸口になるでしょうか。
そう思います。今の精神医療での教育では、まだ「診断・治療・薬物投与」という医学モデルが主流です。そういう中で、若い医療スタッフが「オープンダイアローグという選択肢もあるんだ」と思うようになれば、時間はかかるかもしれないけれど、ラップランド地方で実際に起きているようなことが日本でも起きるかもしれませんね。
オープンダイアローグを日本の精神医療の現場に実際に導入するか否か。その判断を下すためには、実証データのよりいっそうの蓄積や受け入れ態勢の強化などが必要と考えられる。一方、同講演会が満席となったように、オープンダイアローグに期待する人々の熱気が存在することも確かだ。
「対話による治療」というオープンダイアローグの「不確実性」に、日本の精神医療は応えることができるかどうか。医療関係者に大きな問いを投げる講演会となった。
■「オープンダイアローグ」とは=対話で精神病からの回復目指す
(2017/09/02:時事メディカル)
最近、フィンランド発祥の「オープンダイアローグ」と呼ばれる精神療法が注目されている。文字通り「開かれた対話」による治療で、入院や薬剤を極力使用しない点が大きな特徴だ。統合失調症やうつ病、引きこもりなどの治療に大きな成果を挙げているオープンダイアローグについて、筑波大学(茨城県つくば市)の斎藤環教授に聞いた。
◇対話による症状緩和
オープンダイアローグは、1980年代にフィンランドの西ラップランド地方にあるケロプダス病院で始まった。患者や家族から連絡を受けた医療チームが24時間以内に訪問し、ミーティングを行いながら症状緩和を目指す療法だ。
ミーティングの参加者は患者、家族、医師、看護師、セラピストらで、1回当たりの時間は1時間半程度。参加者全員が平等な立場で、症状が改善するまで毎日行われる。
「ミーティングは全員が発言し、医療チームで行われる話し合いもすべて患者さんの前で行います。薬物治療や入院は極力避けますが、必要な場合には患者さんを含めたミーティングで決定します」と斎藤教授。
オープンダイアローグを導入した西ラップランド地方では、統合失調症患者の入院治療期間が平均19日短縮され、通常治療では100%の服薬が必要な患者の割合は35%にとどまった。2年後の調査で症状の再発がない、あるいは軽いものにとどまっていた患者は82%(通常治療50%)、再発率も24%(同71%)と大きな成果があり、世界各国で導入が進んでいる。
◇日本での可能性
患者にとっては朗報だが、保険適用外であることや、従来の薬物療法中心の精神病治療の考え方を変える必要があるなど、国内での普及には大きな壁がある。
「24時間態勢で医療チームを組み、連日患者宅を訪問するのは困難」との声もあるが、「個々の事情に合わせて行えば可能で、幻聴などによる危機の解消まで毎日続けることも絶対条件ではありません」と、斎藤教授は話す。
現在、国内で実施している施設はまだ数カ所だが、「研修を定期的に実施しており、実践の中でセラピストを育成することもできる」として「オープンダイアローグネットワークジャパン」を中心に普及を進めている。
斎藤教授は「書籍などを通じて学ぶことで、家族が実践することも可能です」と、「対話」がもたらす精神病の治療の変革に大きな期待を寄せている。
■オープンダイアローグ創始者が公開「対話」
(2017年08月31日:メディカル・トリビューン)
薬物治療にほとんど依存せず、在宅でのミーティングを通して統合失調症を治療する−。そんな画期的な精神療法が、国内外で大きな注目を集めている。フィンランド・西ラップランド地方のケロプダス病院で1980年代から開発と実践が続けられてきた「オープンダイアローグ(Open Dialogue)」だ。オープンダイアローグの創始者であるユヴァスキュラ大学教授のJaakko Seikkula氏と元・西ラップランド地方医療区精神科医長のBirgitta Alakare氏が来日、8月20日、東京大学安田講堂で講演を行った(主催=オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン)。会場は詰めかけた900人を超える聴衆でほぼ満席となり、オープンダイアローグに対する関心の高さをうかがわせた(関連記事「オープンダイアローグ、創始者が来日講演へ」)。
診断にあえて踏み込まず、「不確実性」に耐える
Seikkula氏とAlakare氏の「強い希望」により、両氏の「対話」形式で進行されたこの日の講演会。まるで、日常会話の延長のようにリラックスした様子で行われた両氏の「対話」に、集まった聴衆が耳を傾けた。
そもそも、ケロプダス病院で実践されているオープンダイアローグとは、どのような治療法なのだろうか。その概略は、以下の通りである。
統合失調症発症直後の急性期、依頼を受けた同院では24時間以内に専門家によるチームが結成され、患者の自宅で本人や家族を交えたミーティングが開始される。その際、患者、家族、医師、看護師、心理士らが1つの部屋で車座になり、症状が落ち着くまで連日ミーティングを継続するのである。議論を導く特定の司会者を置かず、全員が対等の立場から発言を行う。
このように、「治療」としては極めてシンプルな方法だが、Seikkula氏ら(共著)が2003年に発表した論文では、着実な成果が報告されている。統合失調症の標準的治療との比較において、オープンダイアローグによる治療では、服薬を要した例は対照群の100%に対し35%だった。2年後の予備調査においても、オープンダイアローグ群の82%は再発がないか、ごく軽微なものにとどまり(対照群50%)、障害者手当を受給したのは23%(同57%)、再発率は24%(同71%)だった(Fam Process 2003; 42: 403-418)。
オープンダイアローグでは、医師はあえて診断に踏み込むことはせず、不安定な状態に宙づりにしたまま「対話」が継続される。これは「不確実性への耐性」と呼ばれるオープンダイアローグの大きな特徴で、「対話」の中で両氏はこの点を次のように語った。
「すぐに決められることばかりではない中で、本人とそのご家族が安心できるような状況をつくり上げていくことが大事です。そのためにこそ、一緒のミーティングに参加することが大切なのです。何が起こったのか、そしてこれからどうするのか、みんなで考えていくのです」(Seikkula氏)
「『これが答え』というものはありません。答えを一緒につくり上げていくことがとても大切です。そのために、最初から患者さんを診ている人たちが、最後まで一緒になって作業を続けていくことが非常に重要です。人がそこで入れ替わってしまうと、同じ理解が共有できなくなるからです」(Alakare氏)
家族療法の新たな在り方を模索した末に到達
Seikkula氏がケロプダス病院に着任したのは、1981年のこと。当時は、同院でも統合失調症患者に対し、医師が患者や家族の意向とは関係なく治療方針を決め、それに応じて投薬を行う「通常の」精神医療が行われていたという。
しかし、患者や家族が治療の現場から排除されていると感じた同氏は、新しい家族療法の在り方を模索。「あちらこちら、いろいろな境界線を探りながら」模索を続けた結果、1984年8月27日、現在のオープンダイアローグにつながる最初のミーティングが行われた。
「それまでは、医師は医師の職務を果たそうと躍起になり、自分は心理士として心理テストの実施に追い立てられていました。しかし、この日を境にそれをやめて、関係者が一堂に会して同じ場所でミーティングをする、ということになりました」(Seikkula氏)
「治療のために対話が行われるのではなく、対話の過程で治療方針が決まっていく」とも述べた同氏。主催者によると、この日の講演会には統合失調症の当事者とその家族も多数参加していたという。約2時間に及んだ両氏の公開「対話」は、精神医療に関わる人々の間に、「治療」の新しい方針と可能性を芽生えさせたのではないだろうか。
「場の力」の生成がオープンダイアローグの神髄
講演終了後、Medical Tribuneでは会場を訪れていた精神科医の松本衣美氏に話を聞いた。同氏は、精神科医として国府台病院(千葉県市川市)と精神病患者への訪問看護を行う「ACT-J」で勤務した後、現在は東京大学大学院医学系研究科でピアスタッフに関する研究を行っている。
―松本先生がオープンダイアローグに関心を持つきっかけはなんだったのでしょうか。
もともと私は福島県内で精神科医として働いていたのですが、医師が一定の方針を出し、それにコメディカルが従って、患者の声が届かなくなってしまうような精神医療に疑問を持っていました。そうした中で患者を入院させないACT(Assertive Community Treatment)の取り組みを知り、2010年にACTと連携している国府台病院に移りました。オープンダイアローグのことを初めて知ったのは、ACT-Jの専任医師として働いていた2014年のことです。薬のみに頼らず、対話によって症状の寛解を目指すという手法を聞き、とても魅力を感じました。
―本日の講演会を聴いて、どう感じましたか。
「場の力」というものをすごく感じる会でした。Seikkula先生とAlakare先生のお話を聞いて、会場の皆さんも本当に楽しそうに「対話」をしていました。安心して発言できる場をつくって、いろんな話を聞きながら、自分の中に湧いてきた言葉を口に出して言う。それが、またどこからか反応が返ってくる。そういう「場の力」を感じました。
―健康保険の適用や専門スタッフの確保など、日本の精神医療の現場に取り入れるのは難しいのではないかという指摘もあります。
オープンダイアローグであれば、治療者も当事者も家族も、同じ目線で対話に参加することになります。今日、会場にいらした方も、今までの精神医療にはないスタイルということで、可能性を感じたのではないかと思います。
これからは、患者の方から医師に「オープンダイアローグという方法を聞いたんですけど」と質問する機会も増えるのではないでしょうか。それに対して、医師が「そんなの駄目だ」と断言してしまうのはちょっとまずいんじゃないかなと思います。治療の1つの可能性として、検討する必要はあるのではないでしょうか。
―日本の精神医療においては、薬剤の過剰投与やいまだに残る身体拘束など、さまざまな問題が指摘されています。オープンダイアローグは、こういった問題を解決する糸口になるでしょうか。
そう思います。今の精神医療での教育では、まだ「診断・治療・薬物投与」という医学モデルが主流です。そういう中で、若い医療スタッフが「オープンダイアローグという選択肢もあるんだ」と思うようになれば、時間はかかるかもしれないけれど、ラップランド地方で実際に起きているようなことが日本でも起きるかもしれませんね。
オープンダイアローグを日本の精神医療の現場に実際に導入するか否か。その判断を下すためには、実証データのよりいっそうの蓄積や受け入れ態勢の強化などが必要と考えられる。一方、同講演会が満席となったように、オープンダイアローグに期待する人々の熱気が存在することも確かだ。
「対話による治療」というオープンダイアローグの「不確実性」に、日本の精神医療は応えることができるかどうか。医療関係者に大きな問いを投げる講演会となった。