発達障がい・こころのやまい

専門外ながら相談を受けることがあり、その際に読んだ本や集めた情報を書き留めました(本棚9)。

「開き直る心のセラピー」(大野裕著)

2014-04-06 20:29:10 | 
 新講社、2008年発行。

 著者の肩書きは慶応義塾大学保健管理センター教授で、巷では「認知療法」の第一人者とされているそうです。
 手元にある数冊の著書から、取っつきやすそうなものを選んで読んでみました。

 う~ん、ちょっと期待外れかな。
 「開き直る」ことに関して、10ページですみそうな内容を、あれやこれやと膨らませて繰り返し書いているだけ、という印象が拭えず、途中で退屈してしまいました。

 現状を受け入れる、自分の能力を認めて無い物ねだりはしない、それから次を考える・・・まあ、言い回しはいくらでもあります。

 役に立ったことと云えば「人生の目標と生きる意味は違う」という文言でしょうか。
 この二つを一緒にしてしまうといろいろ苦しくなってくるけど、分けて考えられれば穏やかな生活が手に入る、という含蓄のある言葉。
 よくかみしめたいと思います。

 それから「人間はもともとわかり合えないもの」という言葉に目がとまりました。
 村上春樹の初期三部作「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」のどれかに出てきたフレーズと記憶しています。
 村上氏のテーマは当初 detachment であり、そこから生まれた文言です。
 しかし後年、それが attachment に変化してきたことを彼自身認めていますね。
 彼の作品が世界的に受け入れられている理由は、detachment/attachment の過程に共感するからではないでしょうか。

 「わかり合えないから、わかろうと努力を繰り返した方がいい」
 なるほど。

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