発達障がい・こころのやまい

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第2世代抗精神病薬の賦活系・沈静系作用(副作用)について

2017-02-18 12:57:13 | 抗精神病薬
 抗精神病薬には「賦活系作用」「鎮静系作用」という表現があるらしい。
 人体に好ましくない作用であれば「副作用」とも表現されるようです。

 そのことに関する記事を見つけました。

■ 各抗精神病薬、賦活系と鎮静系を評価
2017/02/16:ケアネット
 抗精神病薬の副作用である賦活や鎮静は、薬物治療の妨げとなる可能性がある。米国・ニューヨーク医科大学のLeslie Citrome氏は、第2世代抗精神病薬の賦活および鎮静の副作用について評価を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年1月30日号の報告。
 本研究では、統合失調症および大うつ病の補助的治療に適応を有する薬剤の製品ラベルで報告されている副作用の割合を調査し、第1選択薬として用いられる経口の第2世代抗精神病薬の賦活および鎮静特性を定量化し評価した。追加データソースとして、規定文書、調査概要、パブリッシュされた調査レポートを含んだ。副作用リスク増加とNNH(Number Needed to Harm:有害必要数)は、各薬剤対プラセボにて算出した。
 主な結果は以下のとおり。

・賦活や鎮静の副作用は、各抗精神病薬で違いが観察され、一部では賦活と鎮静の両方の可能性が示唆されている。

・統合失調症に用いられる薬剤では、主な賦活系薬剤としてlurasidone(NNH:アカシジア11 vs.傾眠20)cariprazine(NNH:アカシジア15 vs.傾眠65)が挙げられる。

リスペリドン(NNH:アカシジア15 vs.鎮静13)アリピプラゾール(NNH:アカシジア31 vs.眠気34)の賦活と鎮静のバランスは同程度であった。

・主な鎮静系薬剤は、オランザピン、クエチアピン、ziprasidone、asenapine、iloperidoneが挙げられる。

・賦活、鎮静に作用しない薬剤は、パリペリドン、brexpiprazoleであった。

・うつ病に用いられる抗精神病薬については、全体的に統合失調症と同様な所見であった。

・抽出されたデータは、製品ラベルに含まれる有害事象表に寄与する登録研究からの入手可能なものに限られていた。その後の比較研究では、異なる結果が示される可能性がある。


<原著論文>
Citrome L. J Clin Psychopharmacol. 2017 Jan 30.

 要約すると以下の通り;

・賦活系>鎮静系:lurasidone、cariprazine
・賦活系=鎮静系:リスペリドン(リスパダール®)、アリピプラゾール(エビリファイ®)
・賦活系<鎮静系:オランザピン(ジプレキサ®)、クエチアピン(セロクエル®)、ziprasidone、asenapine、iloperidone
・賦活/鎮静系に作用しない:パリペリドン(インヴェガ®)、brexpiprazole


 もうひとつ関連記事を。

 鎮静系副作用による中止率は、クエチアピン(セロクエル®)13.0%>オランザピン(ジプレキサ®)7.3%>リスペリドン(リスパダール®)4.2%>アリピプラゾール(エビリファイ®)2.0%

 ただし、抗精神病薬間の差というより、患者間の差が大きいのでそちらに注意すべきだという結論です。
 まあ、そう云われればそうですね。

■ 第2世代抗精神病薬、賦活と鎮静作用の違いを検証
2016/05/11:ケアネット
 若者に対する第2世代抗精神病薬(SGAs)の賦活や鎮静の効果について、米国・ニューヨーク大学ランゴン医療センターのZainab Al-Dhaher氏らが検討を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年4月19日号の報告。
 若者に対する第2世代抗精神病薬治療の適応症、有効性、忍容性(SATIETY)を評価する自然主義的コホート研究の一環として、SGAsを開始した抗精神病薬未治療の若者における賦活や鎮静症状の主観的評価を、Treatment Emergent Symptoms尺度(TESS)を使用し、3ヵ月間毎月収集した。中止率、TESSからの報告症状率、重症度は、臨床や治療パラメータに関連していた。TESSの測定は、任意の日中の賦活(ACTIVATION+)と鎮静症状(SEDATION+)の2つが定義された。
 主な結果は以下のとおり。

・4件の研究から得られた、SGAsを開始した抗精神病薬未治療の若者327例における鎮静による中断率は、クエチアピンが最も高く(13.0%)、次いでオランザピン(7.3%)、リスペリドン(4.2%)、アリピプラゾール(2.0%)であった(p=0.056)。

・抗精神病薬未治療の若者257例(13.8±3.6歳、男性率:57.8%)の使用開始薬剤は、アリピプラゾール40例、オランザピン45例、クエチアピン36例、リスペリドン135例であり、ベースライン後1回以上のフォローアップを実施した。

・ベースラインの有病率は、ACTIVATION+(39.9%)、SEDATION+(54.1%)で、SGAs間に差は認められなかった。

・ACTIVATION+とSEDATION+は、時間とともに有意に変化した(ACTIVATION+ 減少:p=0.0002、SEDATION+ 増加:p<0.0001)。それぞれのSGAs間でわずかな違いが認められ、オランザピンのACTIVATION+は低く(p=0.002)、フォローアップ中のアリピプラゾールのACTIVATION+ はやや高く(p=0.018)、アリピプラゾールのSEDATION+ は低かった(p=0.018)。

・4つのSGAsにおいて、不眠症は減少し(p=0.001)、過眠症が増加した(p<0.001)。

・ベースライン後の傾眠の有病率は、最も頻繁にみられたが、TESSの訴えは85%が軽度であり、SGAs間の違いはなかった。

・年齢の低さが、賦活症状と関連し、年齢の高さが鎮静症状と関連していた。そして、ベースライン時の機能の低さは、両方の増加と関連していた。

・精神運動遅滞率は、統合失調スペクトラム障害において高かった。一方で、診断にかかわらず、ADHD治療と精神運動興奮との関連が認められた。

 結果を踏まえ、著者らは「単独TESSによるレイティングの独立予測因子は、SGA間の特異的な差よりも、むしろ臨床パラメータを含んでいる。このことから、特定のSGAsに注意を払うよりも、慎重な個別化治療戦略の必要性が示唆された」とまとめている。


<原著論文>
Al-Dhaher Z, et al. J Child Adolesc Psychopharmacol. 2016 Apr 19.

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