総No 174 【 光る君へ 十の巻 】紫式部日記の中の清少納言について
「年くれて我が世ふけゆく風の音に心のうちのすさまじきかな」=今年も暮れて私の人生もだんだんと終わりに近づいてゆく、そんな夜更けの風の音を聞いていると心の内が荒涼としてくることだ」紫式部の詠んだ歌ですが、女房たちが夜になり「実家にいた今頃は眠っていたのに、内裏は雰囲気が違うものだ。ひっきりなしに沓の音がしてね」と好色な様子をいう。それを聞いた式部の感想の歌がこれです。同じ宮中の沓の音を聞いた清少納言は「少しも気が抜けないのが実に面白い」と女房たちを訪ねる殿上人との男女の関係を「いとおかし」と表現。この二人の違いが・・・紫式部のその希有な「マイナス思考のなりきり能力」こそ、美貌と栄華をきわめながら生涯悩み続けた源氏というキャラクターを生み、どんな貴婦人や無骨者の気持ちをも抜ききって共感をよんだマイナスにマイナスを掛けあわせた紫式部の思考があの「源氏物語」を生んだ要因かもしれません。素晴らしい作家です。👏👏