『百万長者の恋』

初雪が
降るまでは
命をください

 

■監督　キム・テギュン
■脚本　キム・ウンスク
■キャスト　ヒョンビン、ヨンヒ、イ・ハンソル、チョン・ウク　

□オフィシャルサイト　　『百万長者の恋』

　ある財閥の三世、カン・ジェギョン（ヒョンビン）。　我がままで傲慢な彼は、ありあまる金に物を言わせ、思い通りの人生を送ってきた。　でも、そんな彼も心の奥には子供のころに事故で両親を亡くした深い傷を抱えている。　１８歳の誕生日を迎えた彼は、亡き祖父のばく大な遺産を受け継ぎ、正真正銘の大金持ちになる……はずだった。　しかし、祖父の遺言で、江原道という田舎にある高校を卒業しなければ、遺産を相続できないことに。　ジェギョンはしぶしぶ転校する。　そこでジェギョンは、同じクラスの委員長、ウナン（ヨンヒ）と出会い初めて恋をする。　環境の変化、人々との出会いにより御曹司は成長していくのだが。


　おススメ度　⇒★★★☆ （５★満点、☆は０．５）
　cyazの満足度⇒★★★★


　いくら山ほどの財産があっても、愛する彼女を救うことは出来ない。
　いくら余りある愛情を注いでも、彼女の死期を短くすることは出来ない。

　驕りを捨て、彼女の愛を真摯に受け止め、自分のことだけでなく、周りを見つめる広い視野が出来たとき、それは彼女のために出来る彼の最大の夢の架け橋だったに違いない。

　予告編で、なんとなくオチがわかっているにもかかわらず、琴線に触れる作品に仕上げているのは、やはり韓国映画の素晴らしさなのか。　それとも自分があまりにも浪花節できなのか。

　カン・ジェギョン役のヒョンビン、向こうの人ってなぜかどの男優を見ても、高橋克典に見えてしまうのはなぜだろう（笑）　むしろ高橋克典が韓国映画に出て特命係長でもやればウケるのだろうか（笑）　おそらく彼の映画を観るのは初めてだと思うのだが、そんなにイケメンではないが好感はもてた。　冒頭のシーンを見たときは、これはちと外したかなと思ったが、ストーリーが進むにつれて面白くなっていった。
　たとえ大人であっても、莫大な財産を前に贅沢三昧の人生を選択しようとするのは当然だと思う。　それは高校生ならば尚更言うまでもないことだろう。　この映画ではそのあたりの彼の用意された未来と引き換えに、愛する彼女の夢を叶えるための最大の選択を強いられる。　しかしそれは彼にとっても今までの自分から脱皮できる最高の選択の場にあったに違いない。　そのあたりの葛藤を彼の上手く演じていたと思う。　これは落差をつければ演じれるというだけの主人公の役ではないような気がした。

　そして、ウナン役のヨンヒ。
彼女を映画で観るのもおそらく今回が初めてなのだが、登場したときから、いや予告を観たときから、何か普通でない胸騒ぎがしていた。
　愛すれば愛するほど死期を早める。　初雪が降るまでは生きていたい。　自分の命と引き換えに彼への愛を貫こうとするウナンの姿が、素朴過ぎて心に痛い。
　そして、彼女を演技を観ているうちに、彼女に重ね合わせている人がいた。　それは亡くなったイ・ウンジュだ。　顔形でなく、なんというか演技のカラーがとても彼女ににているような気がしたからだ。
　ヨンヒは特別可愛いわけではないけれど、なぜか僕の心の中には深く入り込んでくる人だった。　それはもしかしたらイ・ウンジュに重ねる想いもあったのかもしれない。　
　彼女は映画初出演。　実年齢も１８歳になったばかりで、高校生役としては等身大だったんですね。　オーディションでは目立たない存在だったそうですが、キム・テギュンに惚れ込まれ大抜擢だったようです。　う～ん、キム・テギュン監督してやったりだなぁ　いい人をウナン役に抜擢したものです。
　ん、昨年、マクドナルドのCMに出てたんですかぁぁぁぁ～　知らなかった・・・。
素朴で自然な演技に、これからも期待ができますね。

　ウナンのお父さん役でかつ校長先生役のチョン・ウクもなかなか地味ですが良かったです。　生徒として娘として、自然体で温かく見守る姿はジーンときましたよ。

　キム・テギュン監督、『オオカミの誘惑』より優しいテイストを感じたいい映画でした。　そしてあの憎い感じの悪い管財人（弁護士）も、ラストはなかなか男前じゃんと思いましたよ（笑）

 

　「肥大性心筋症」とは・・・
　心臓の壁が異常に厚くなる病気。　完全な治療法などはなく、心臓移植以外にはない。