「謎解きはディナーのあとで」/東川篤哉

「謎解きはディナーのあとで」
東川篤哉/小学館刊 

 

 前から読んでみたいと思っていたこの小説。
読み始めて半ばを迎える頃、２０１１年の本屋大賞を受賞した
ちなみに２位以下は次のとおり。

２位、「ふがいない僕は空を見た」窪美澄著（新潮社）
３位、「ペンギン・ハイウェイ」森見登美彦著（角川書店）
４位、「錨を上げよ」百田尚樹著（講談社）
５位、「シューマンの指」奥泉光著（講談社）
６位、「叫びと祈り」梓崎優著（東京創元社）
７位、「悪の教典」貴志祐介著（文藝春秋）
８位、「神様のカルテ2」夏川草介著作（小学館）
９位、「キケン」有川浩著（新潮社）
１０位、「ストーリー・セラー」有川浩著（新潮社）

こうやって見ると興味ある作家が入っていますね～

さて、すでに１００万部を突破したこの作品。
やはり読みやすさとわかり易いミステリーと、最大の魅力は
主人公である、国立署の新米警部である宝生麗子（大財閥宝生グループ総帥令嬢）と
麗子の執事である影山との謎解き合戦。　と言うか舌戦ですわ（笑）
しかしながらいつもクールな執事の影山の独断場（笑）
その影山の一言一言が面白い。　

「ひょっとしてお嬢様の目は節穴でございますか？」
「それでもお嬢様はプロの刑事でございますか。
正直、ズブの素人よりレベルが低くていらっしゃいます。」
「失礼ながらお嬢様　この程度の真相がお判りにならないとは、
お嬢様はアホでいらっしゃいますか。」
「失礼ながらお嬢様、やはりしばらくの間、引っ込んでいてくださいますか。」

それにもう一人、ノー天気で上司であるチョイ資産家の風祭警部
（「巨人の星」の花形満のような）と麗子事件現場でのやり取りが面白い。
しかしながら強気の麗子もなんだかんだ言いながら
執事の影山に事件を解くヒントをもらうところは刑事として情けない。
そこにこの本の面白さの全てがある
そう、麗子と影山の掛け合い漫才ギャング、もとい漫才コンビのような（笑）

決してミステリーだからと言って大掛かりな難解な謎解きではない。
むしろユニークで、クスッと笑ってしまうやり取りが楽しい。
無駄な部分を排除して、お気楽に読めるのがいい

このお嬢様刑事とキレもの執事と会話のキャッチボールが最高
（こういう設定って映画でもあったような記憶が）

現在、映像化の話もあるとかで、これが映画になればなかなか楽しいだろうなぁ
特に、宝生麗子、影山、風祭警部のキャスティングに興味がいくところだが（笑）
映像化が決まるまでに、自分ならこういうキャストでオファーするなぁなんて
この小説を読んだ人なら、想像しても面白いかなぁ～
小説の内容については、是非読んでみて体感してみて下さいネ～


＜オマケ＞

ヤボな人のことを「野暮天」（最近はあまり使わないが）と言いますが、
この小説の舞台は国立。　そして「野暮天」という言葉は国立市にある
野暮（谷保）天満宮に由来するらしい。