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自転車のチューブといえば、プチルだった時代から、天然ゴムを使ったラテックスが加わり、近年はTPUを素材とした新製品が続々と登場しています。チューブレス化が進む一方で、何故、これほどチューブが進化するのでしょう。
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ブチルチューブの素材は、主成分が石油からなるイソブテンであるブチルゴムです。ブチルゴムは防水テープやスポーツ用のボールのインナー、自動車のチューブレスタイヤのインナーライナー、電線などに使われるほど頑丈なのが最大の特徴です。ただ、軽さが重要視されるロードバイクではプチルチューブは厚みが出るため重量アップが問題視されていたのです。製品にもよりますが、ブチルチューブは80〜110g程度が一般的なのです。
ラテックスは天然ゴムを原料とする「天然ゴムラテックス」と石油を原料とする「合成ゴムラテックス」がありますが、自転車チューブのラテックスはほとんどが「合成ゴムラテックス」です。ラテックスの特徴は劣化に強く、弾力性、復元性があること。医療用の手袋にラテックス製のものがありますが、引っ張っても切れず、しっかりと元の形に戻ってくれる、そして薄くてもしっかりしているため、自転車タイヤのチューブでは「薄くて軽くて丈夫」なチューブになります。
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個人的にも一時期軽くてパンクし辛いという理由でラテックスチューブを使っていた時期がありました。特にミシュランンのタイヤとラテックスチューブの組み合わせがとても良く愛用していたのですが、ミシュランのタイヤはサイドが立っているタイプが多く、サイドカットでラテックスチューブでもパンクするという痛い目に合うことになりました。また、ミシュランンのラテックスチューブは18~23Cのタイプしか無く、タイヤが25Cになると使えなくなってしまったのです。
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Vittoriaのラテックスチューブは25~28C用なので、今はこの製品を保有しています。ただ、タイヤもミシュランからVittoriaのRubinoに替えてからほとんどパンクも無いので、ずっとVittoriaのタイヤを愛用するようになると、ミシュランの時のようなラテックスチューブの乗り心地の良さが感じられなくなったのです。おそらく、VittoriaのRibinoタイヤはミシュランに比べ硬く、高い空気圧で乗る仕様になっていることが影響しているのだと思います。
ラテックスチューブは軽いのですが、空気が抜けやすいという大きな欠点があります。長時間走ると1Barほど自然に空気が抜けるのです。2・3日放置すれば必ず空気を入れないと走れないのです。レース用として使うのならともかく、普段使いには適さないチューブなのです。
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そのチューブの軽さと空気抜けの欠点を無くしたのがTPUチューブです。重量が一般的な自転車チューブの1/3である40gほどと非常に軽量になり、しかも耐パンク性能も非常に高いため、ロードバイクやMTBユーザーに愛用者が増えてきているチューブです。
そんな革新的なTPUチューブですが、唯一のデメリットは価格。ブチルチューブが1本600〜1,000円ほど、高いと言われるラテックスチューブでも1本2,000円ほどですが、TPUチューブは1本4,000円以上します。
5年ほど前はキワモノ扱いで一部の好事家が手を出すものだったTPUチューブですが、今では10以上のブランドがTPUチューブを販売するまでになっているのです。最初は高価格がネックだったものの、最近ではブチルチューブ同等の価格の製品も出てきています。先日、Panaracerから発売されたPURPLE LITE(パープルライト)は23~32Cが1,980円(税込)とラテックスチューブ以下の価格設定になっています。
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