このように春先のレースだけを振り返ってみても、UAEはチームTTや個人TTの強さが際立っていました。資金が豊富で強い選手をお金で買っているイメージもあるUAEですが、アユソやデルトロといった若手が多いのも特徴です。ポガチャルもそうでしたがツール・ド・ラブニールで結果を残した選手を青田買いしている傾向はあるものの、大金で選手を買うケースはそれほど多くは無いと思っています。
ただ、2022年のツールでユンボ・ヴィスマの強力な攻撃にポガチャルの3連覇を阻まれた結果を受け、2023年には大型の補強に動きます。イネオスからエース格のアダム・イエーツを獲得。さらにティム・ウェレンス、ジェイ・ヴァイン、フェリックス・グロスシャートナー、ドメン・ノバクといった今ではポガチャルのアシストの常連を一機に補強しているのです。
今でこそワールドランク1位を2年連続で達成しているUAEですが、ポガチャルがツールを初優勝した頃はワールドランクは3位、連覇を達成した2021年は4位だったのです。ポガチャルが3連覇を阻まれた2022年は2位でしたが、この大型移籍後はヴィスマを抜いてチームも1位に躍進したのですから、この年の大型補強は大成功だったのは間違いないでしょう。2023年はヴィスマが3大グランツールを総なめにした年でしたが、ワールドランク1位はUAEだったのです。
2023年は個人のワールドランク2位のヴィンゲゴー、4位のログリッジ、5位のファンアールトを揃えながら世界一に成れなかったのですから、UAEは一機にチーム力を底上げしたことになります。TOP10には1位のポガチャルと8位のアダム・イエーツの2名ですが、12位にマルク・ヒルシ、29位にフアン・アユソの他TOP100には52位にブランドン・マクナルティ、86位にセバスチャン・モラノ、91位にティム・ウェレンス。92位にジェイ・ヴァイン、93位にマッテオ・トレンティンと名を連ねているのです。
今期はヴィスマを大きく引き離したUAEはポガチャルの活躍ばかりが目立っているように見えますが、チーム20名の選手で81勝を挙げているのです。今季の目立つ補強はイネオスから移籍したパヴェル・シバコフくらいでしたが、世界選手権でも他国のポガチャルをアシストするくらいの大活躍を見せてくれました。今期はアダム・イエーツが不振でアユソも伸び悩みを見せましたが、若いデルトロが将来性の高さを見せてくれているのです。
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