カルメンの本番まで、あと僅かです!
今回のカルメンでは、ギロー版で演奏されますが、
ギロー版って何か、ご存知ですか?
ビゼーが『カルメン』を作曲した時、
このオペラは、アリアや2重唱以外の部分を
台詞で繋いでいました。
モーツァルトの魔笛や、
メリー・ウィドウなどのオペレッタなどと同じ形ですね。
再演の時・・・作曲家は亡くなっていたのですが、
ビゼーの友人ギローが、台詞の部分に音符をつけました。
いわゆるレチタチーヴォというものです。
ついでにバレエもつけられて再演されたのですが、
これがギロー版。
対して、もともとの原典版をアルコア版と呼びます。
アルコア版とギロー版の違い・・・
などと言う難しい問題は、音楽学者さん達にお任せして、
ミカエラの立場から、決定的な違いを一つだけ。
ギロー版では手紙の2重唱の後のレチタティーヴォで、
ホセが「手紙を読んでしまうから、そこで待っていて」と言うと
ミカエラは「駄目よ! 読み終わったころに戻ってくるわ!」と
自分がいなくなってから読んで欲しいと告げます。
どうしてかと言うと・・・。
アルコア版では、
ホセが「手紙を読んでしまうから、そこで待っていて」と言うと
ミカエラは「ええ、待っているわ!」と言うのです。
ホセの母からの手紙の内容は、ホセが読み上げます。
「元気でやっているかい?
立派にお勤めを果たしたら、村に帰ってきて、
お嫁さんをもらいなさい。
実は、お前に勧めたい娘がいます。
それは、この手紙を持っていく娘だよ・・・。」
それを聞いて、慌てたミカエラは、
頼まれた買い物があるから行って来る、と
その場を後にするのです。
恥ずかしくなってしまったのですね。
アルコア版では、全てのやり取りが台詞で行われますが、
ギロー版では、ちょこっと省略されてしまっているのですね。
内容を知っている手紙を渡すギロー版と、
手紙の内容は全く知らなかったアルコア版。
・・・。
アルコア版の方が、このシーンは演じやすいよ~と思う今日この頃・・・。