東京で江戸小紋染を行っている冨田染工さんに、伊勢型紙がどのように活用されているか、染めの現場はどうなのかということをしるためにお邪魔しました。偶然にも、外国の方に日本文化を紹介する雑誌の編集の方(外国の方)と同席となり、現場を知ると同時に、どのように日本の文化が伝えられるのかを見ることができました。
率直な感想としては、伊勢型紙がこれからも続いて行くためには、道具としての伊勢型紙の原点、どのように使われているか、どう製品になっているのかなど、全体を俯瞰した上で、それらのつながりがどう続くかというところから取り組みを考えることも必要だと思います。
例えるなら、農業で6次産業化が取り上げられますが、そのように生産者の方が加工販売まで取り組むこともありでしょうが、野菜の生産、それを加工し付加価値をつける、そして販売と、それぞれの特徴を生かし連携する考えを伸ばしてよいように思います。
伊勢型紙で考えると、型紙の生産から染めまでを鈴鹿で行う体制をつくることを考える一方で、鈴鹿での型紙生産、江戸や京都での染色、江戸や京都を中心とした地域での販売で、観光の導線を考えることもありだと思います。伊勢型紙と江戸小紋染は関係してきたけれども、それは道具を通じての関係で、ある意味で足し算だったものを、それぞれの持つ価値、ブランド力をかけあわせて価値をつくるようにすると言えます。
そうすれば、伊勢型紙だけでマーケットや販路などを考えるのではなく、江戸小紋のブランドに乗りながら、マーケットや販路を開拓できる可能性があるということではないでしょうか。
そして一番大事なことは、守るということではなく、続けて行くという観点から考えれば、伊勢型紙が続いて行くためには、まずなによりもそれを使った製品を買ってくれる人が増えることです。そして、それを使ってくれる先、江戸小紋や京友禅などが続くことが重要ですし、それ以外の活用法の検討も必要です。また、地紙の材料となる美濃や土佐といった和紙の生産、糸入れの材料となる生糸、そして柿渋の生産 なども日本国内で続いていることが必要でしょう。
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