今回で一応360冊は最後です。
全29冊中14冊と一番多いのが絵本。前回のコメントでソウル一市民さんが推測された通りです。そして漫画が13冊、その他が2冊です。
☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
☆ 332 | 谷川俊太郎 瀬川康男:絵 | ことばあそびうた | 福音館書店 | 332~345=大人でも楽しめる絵本は山ほどある。これらはほんの一例。 332は声に出して読んでみて。「かっぱかっぱらった かっぱらっぱかっぱらった とってちってた」。 333も音読用。絵もも楽しい。 334、フーム、愛だなあ。 335、彼女の描く動物はどれも可愛く楽しい。個性的でキレイな絵本。 336はみんな笑っちゃいます。立ち読み用。(本屋さんゴメン。) 337には「おもしろい」「感動的」等の並みの形容詞を超える衝撃を受けたる 338はちょっとブラックなユーモアが漂う。 339は絵もお話も不思議な雰囲気に包まれた絵本。この作家は村上春樹も推奨。彼自身の訳本もある。 340のクマは冬眠から目覚めると地上は工場。クマだと言っても認められず労働者にされてしまう。ムムッ、identityの問題だな? 341はシュールな絵の美しさ! 342は台所の机の下に<家出>しちゃったアナグマの女の子フランシス。暖かい両親の愛。とってもキャワユイッ! 343は北海道の草原に立つ1本の樹の写真集。説明は全然なくても、四季それぞれの樹の表情が伝わってくる。 344は<歴史を旅する絵本>というシリーズの絵本だが、絵がすばらしい。(内容の方も、斬新な歴史のテキスト。) 345は中公新書のベストセラー。この「月刊たくさんのふしぎ」シリーズはどれも魅力的。 346~358=漫画も数多くあるが、ここではおもしろさだけでなく”深さ”を基準に選んだ。 346は少年期のさまざまな葛藤を清潔なタッチで描いた少年漫画史に残る二昔前の傑作。 347はまじめで心暖まる女子大生たちの話。 348、サッコ・ヴァンゼッティ事件(1920年代アメリカの冤罪事件)という権力犯罪をとりあげる。 349は学園モノだが空想的ではない点がいい。 350、お父さんお母さんが読んだらきっと懐かしがる。 351は軟弱な若者を叱咤する鋭い問題提起がある。 352は戦中~戦争直後の庶民のたくましさ。 353は気骨ある明治のスケベ人間の魅力。近代史の勉強にもなる。 354は柏原兵三の「長い道」(中公)が原作で、映画化もされた。(主題歌井上陽水。) 疎開先での少年集団の政治力学が興味深い。自伝の「まんが道」(中央公論社)もお薦め。 355で、多数の住民が犠牲となった沖縄戦の真実をぜひ知ってほしい。 356は風疹の母から生まれた沖縄の聾唖少年たちが多くの障害を乗り越え野球に情熱を注ぐ。健常者に強い認識を促す本。 357は成田空港建設をめぐる三里塚闘争の軌跡をたどる。国家権力のあり方を考えてほしい。 358は小学生向きとはいえ史実に正確で、高校生にも薦めたい。 359=日本人の海外旅行者の多くが携行。(恥ずかしいくらい。) 360=不明な言葉、漢字はすぐ調べる。人名辞典、百科事典としても重宝。「現代用語の基礎知識」(自由国民社)の類も便利。 |
333 | 五味太郎 | さる・るるる | 絵本館 | |
334 | 佐野洋子 | 百万回生きたねこ | 講談社 | |
335 | 木村泰子 | おばけやしきのなぞ | 講談社 | |
336 | 矢玉太郎 | はれときどきぶた | 岩崎書店 | |
☆ 337 | ゴッデン | ねずみ女房 | 福音館書店 | |
338 | ウンゲラー | かめのスープはおいしいぞ | ほるぷ出版 | |
339 | オールスバーグ | 魔術師ガザージ氏の庭で | ほるぷ出版 | |
340 | シュタイナー ミュラー:絵 | ぼくはくまのままでいたかったのに | ほるぷ出版 | |
341 | シュレーダー ニクル:絵 | わにくん | 偕成社 | |
342 | ホーバン | フランシスのいえで | 好学社 | |
343 | 姉崎春馬 | はるにれ | ほるぷ出版 | |
344 | 網野善彦 司修:絵 | 河原にできた中世の町 | 岩波書店 | |
× 345 | 本川達雄 あべ弘士:絵 | 絵とき ゾウの時間とネズミの時間 | 福音館書店 | |
☆× 346 | 真崎守 | ジロが行く | 朝日ソノラマ | |
☆× 347 | 樹村みのり | 菜の花畑のむこうとこちら | ブロンズ社 | |
× 348 | 樹村みのり | あざみの花 | 潮出版社 | |
× 349 | 松本潤 | すみれの花咲く頃 | 講談社 | |
350 | 西岸良平 | 夕焼けの詩 | 小学館 | |
351 | 石坂啓 | 安穏族 | 集英社 | |
× 352 | 長谷川町子 | サザエさんうちあけ話 | 姉妹社 | |
× 353 | パロン吉元 | 柔侠伝 | 中央公論社 | |
354 | 藤子不二雄 | 少年時代 | 中央公論社 | |
355 | 新里堅進 | 水筒 ひめゆり学徒隊戦記 | 新潮社 | |
356 | 山本おさむ | 遥かなる甲子園 | 双葉社 | |
357 | 尾瀬あきら | ぼくの村の話 | 講談社 | |
358 | 学習まんが 少年少女日本の歴史 | 小学館 | ||
359 | 地球の歩き方シリーズ | ダイヤモンド社 | ||
360 | 広辞苑 | 岩波書店 |
おもしろい本をさがすには? ①ベストセラーにとびつかない。 ②国語教科書や文学史のテキストにある作品以外におもしろい本がた~くさんある。 ③子供向き、女性(男性)向き、理科系等々でサベツせず、書店・図書館のすべての棚に目を通するとくに読みやすい子供向きの本は新しい知識の突破口になる。 ④新聞等の書評はむずかしい本がほとんどだが、一応参考にする。(まだ週刊誌の書評の方が当たりが多い。) ⑤買った本、図書館で借りた本は全部読む必要も義務もない。つまらなかったり、難しかったら無理して読むことはない。・・・という前提で買いまくり、借りまくる。 ⑥おもしろかった本は後書き・解説をよんでおもしろそうな関係書のアタリをつける。 ⑦「何を読んでもつまらない」という人は、それはその人自身が<つまらない人>だということ。この場合はどうすればいいのかねー。 |
絵本はほぼ定番の作品が並んでいます。子供の頃読む機会のなかった皆さん、だまされたと思ってちょっと立ち読みでもいいですから見てみてください。
私ヌルボ自身、ここにリストアップした本(とくに絵本)の多くは90年代に藤沢市立図書館で読んだものです。
視覚的にすばらしい内外の絵本の画像を1つずつ紹介しておきます。
【344「河原にできた中世の町」。作家でもある司修の絵に魅了されました。】
【341「わにくん」。幻想的なタッチで描かれたちょっとオシャレなわにくん。】
漫画は、その後も大量に出ていて、この10年はほとんど追いきれていません。
西岸良平「夕焼けの詩」は、その後映画「ALWAYS三丁目の夕日」が公開されて注目されましたが、名作でもそのままほとんど忘れ去られていった作品がたくさんあります。過去のヒット作でも、はたして若い世代がどれだけ知っているのか?
すでに90年代に、山岸涼子「日出処の天子」(1980~84)を知らない漫画ファン(高校生)はいたからなー・・・。
また、「地球の歩き方」もその後編集方針が変わってきました。10年ちょっとの間にも、時代はかなり変わってきていることを感じます。
さて、このシリーズですが、今回が最後ではなく、続編として補遺及び1999~現在までの推薦書リストを3回くらいに分けて載せることにします。
毎回ちゃんと目を通して下さった上コメントも寄せていただいて、いつも心強く思っています。あと数回もよろしくお願いします。
今回は「サザエさんうちあけ話」の1冊のみです(「地球の歩き方」や「広辞苑」の他、「夕焼けの詩」も全部は読んでいませんのでカウントしませんでした)。まだ小学生でしたが朝日新聞に連載されていたときに読み、後に単行本でも何度も読み返した懐かしい作品です。個人的には「サザエさん」や「いじわるばあさん」よりも好きでした。スルメをかみかみ漫画を描いていたためよく胃痙攣を起こした話など、今でもはっきりと覚えています(おかげでスルメには警戒するようになり、スルメ大好きの韓国でもほとんど食べたことがありません)。
今後も続編があるとのこと、楽しみにしています。このリストを参考にして多くの本に親しんだ高校生が、次の世代にも本を読む楽しみを伝えてくれていればいいですね。