今回で[文庫・新書]は最後。
どんなジャンルが残っていたか見当はつきますか?
子供向きの本と漫画です。
オマケでその他が1冊ついています。
☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
267 | 斉藤隆介 | ベロ出しチョンマ | フォア文庫 角川文庫 | 267~272=高校生以上にもすすめたい<子供向き本>。 267は、民話のもつ素朴な力強さに満ちている。「麦は、ひばりが天から射込んだ矢なんだよ」等の比喩もすばらしい。 268は戦争の時代をファンタジーを通じて、しかもリアリティを込めて描く。小人の本では、「床下の小人たち」(ノートン.岩波少年)や「だれも知らない小さな国」(佐藤さとる.講談社)も評価が高い。空想物語の超大作「指輪物語」(トールキン.評論社文庫)はいつか読み通せるかなあ。たいした想像力だ。 269は「弱者=正義とは限らない」との批判ももっともだが、文句なく“熱い本”だ。 270、ついに子供向き不条理小説が書かれる時代になったか。おもしろいけど怖い短編小説集。 271は織豊時代ローマに赴いた少年たちの物語。大人向けの歴史の本より具体的かつ感動的。 272も同様。大仏造りの実際がよくわかる。 273~279=海外の少年文学。 273は、前時代的大時代的予定調和的紙芝居的、手に汗を握り時に涙しつつも最後は幸せをともにできる、噫!昔は<現実>をカンバスに夢を描けたのだ。今の夢は<非現実>にしかないのか? 274はスウェーデンの国民的物語。ビョルンソン(ノルウェー)の作品も復刊を望む。 275は美しく憂いに満ちたSF的作品。 276は誰でも知ってる。絵がいいね。 277は少年少女たちの休暇中の心躍る冒険。“休暇物語”の傑作にはヴェルヌ「ニ年間の休暇(十五少年漂流記)」(新潮等)、ゴールディング「蠅の王」(新潮)がある。設定はともに極限状況だが、結末は正反対。 278は「あなたに似た人」(早川)等の大人向き面白本の作者が書いた<奇妙な味>の児童書。 279はナチス台頭の時代をユダヤ人の友人をもつ少年の立場から描く。(309も参照) その他、果敢にもビラでナチスを批判し、ギロチン刑に処せられた<白バラ>のショル兄妹を描いた「白バラは散らず」(白水社)・「白バラが紅く散るとき」(講談社文庫. 絶版)も痛切な記録。 なお、岩波少年文庫、偕成社文庫、フォア文庫、てのり文庫等の<子供向き文庫>は、大人も恥ずかしがらず読むべし。 280~288=漫画の数々。 280は「ゲゲゲの鬼太郎」の作者による史実に忠実な、かつドラマチックな漫画。同作者の「劇画近藤勇」(ちくま)も同様のおもしろさ。 手塚治虫は、私個人としては「僕の孫悟空」や「アリと巨人」が強く印象に残っているが、代表作はやっぱり281かな? とくに「鳳凰編」がいい。 羅貫中の「三国志演義」は子供向きの名作全集で最初に読んだ。吉川英治の小説も有名だが、ヒマのない人は282を。 283は主人公の少年たちの純朴にしてスケベな人間性が魅力的。 284は非常にユニークな画風と発想のファンタジー。 285・286は少女漫画の名作。他にも水野英子・岡田史子・山岸涼子等々往年のいろんな漫画が脳裏に浮かぶ。川原泉の漫画などもホントにおもしろいなあ。ウーム、心に残る漫画を挙げるときりがないぞ。 287は悩みつつ成長する平均的(?)学生像。 288が流行ったため獣医学科の希望者が増加したようだ。(次は看護婦か?) 健全な理科系大学生の実態もよく描かれていると大学の先生も言っていた。それにしても近頃どんどん文庫化しているなあ。 289=次に読む本のアタリをつける、文学史の勉強になる、読んだふりができる等々何かと便利。書店でタダでもらえのがウレシイ! (岩波の「図書」や新潮の「波」とかもタダ。カウンターに置いてあるタダのものは一応もらっておこう。) |
268 | いぬいとみこ | 木かげの家の小人たち | 角川文庫 | |
269 | 灰谷健次郎 | 兎の眼 | フォア文庫 角川文庫 | |
270 | 三田村信之 | お父さんがいっぱい | フォア文庫 | |
271 | 松田翠鳳 | 天正の少年使節 | 偕成社文庫 | |
272 | 神戸淳吉 | 大仏建立物語 | てのり文庫 | |
☆ 273 | マロー | 家なき子 | 偕成社文庫 | |
274 | ラーゲルレーヴ | ニルスのふしぎな旅 | 偕成社文庫 | |
☆ 275 | ピアス | トムは真夜中の庭で | 岩波少年文庫 | |
276 | サン・テグジュペリ | 星の王子さま | 岩波少年文庫 | |
☆ 277 | ランサム | ツバメ号とアマゾン号 | 岩波少年文庫 | |
278 | ダール | チョコレート工場の秘密 | てのり文庫 | |
279 | リヒター | あのころはフリードリヒがいた | 岩波少年文庫 | |
280 | 水木しげる | 劇画ヒットラー | ちくま文庫 | |
281 | 手塚治虫 | 火の鳥 | 角川文庫 | |
282 | 横山光輝 | 三国志 | 潮漫画文庫 | |
283 | 長谷川法世 | 博多っ子純情 | 双葉文庫 | |
284 | ますむらひろし | アタゴオル | スコラ漫画文庫 | |
285 | 萩尾望都 | ポーの一族 | 小学館文庫 | |
286 | 大島弓子 | 綿の国星 | 白泉社文庫 | |
287 | 柴門ふみ | P.S元気です俊平 | 講談社漫画文庫 | |
288 | 佐々木倫子 | 動物のお医者さん | 白泉社文庫 | |
289 | 各文庫・新書解説目録 |
子供向きの本はほぼ定番の作品が並んでいます。
子供の頃読む機会のなかった皆さん、だまされたと思ってちょっと立ち読みでもいいですから読んでみてください。
私ヌルボ自身、ここにリストアップした本(とくに絵本)の多くは90年代に藤沢市立図書館で読んだものです。
70年代頃まで(?)は各文庫の解説目録は1作品あたり小さな字でたしか5行くらい(?)も説明文があったのに、その後字が大きくなって行数も減り、魅力がなくなってしまいました。品ぞろえも古典名作は棚から消えたものが多く、寂しくなるばかりです。
続きは[単行本]71作品です。
「ニルス」と「トムは真夜中」は大江健三郎がよく触れている作品でもありますね。大江と言えば更に「くまのプーさん」やモーリス・センダックもありますが。
ダールは子供向けの作品も有名ですが、個人的にはやはり大人向けの短篇群ですかね。ダールが解説を務めていたドラマシリーズ「予期せぬ出来事」も懐かしいです。
水木しげるは「鬼太郎」をはじめとする創作漫画よりも、やはりこうした歴史ものや自伝モノがお勧めですね。あの人の人生そのものがドラマというか。
「火の鳥」は良かったですね(最後の方はかなりクオリティが落ちましたが)。高校生に勧めるとすると、後は「アドルフに告ぐ」や「ブラックジャック」あたりでしょうか。
先日話題になった(?)「はだしのゲン」も個人的には高校生にも読んで欲しいですけれども。
次回から単行本で、また世界文学に戻ります。