2012年5月7日から3回にわたり韓国の漢字検定試験の紹介をしました。(第1回は→コチラ。)
韓国では、この漢検は1990代初めから数団体により行われています。(※日本では1975年開始。)
そして先日たまたま日本の歴史能力検定(歴検)と似た<韓国史能力検定試験>が行われていることを知りました。
日本の歴検は1997年に始まったのに対し、韓国の方は2006年11月に第1回実施。当初は年2回行われていましたが、2010年から年3回、2012年からは年4回行われています。
また、日本では歴史能力検定協会という任意団体により運営されていますが、韓国の検定は日本の文科省に相当する文教部所属機関の国史編纂委員会が主催しています。
その目的を比較してみると違いは明白です。
日本の歴検の公式サイト(→コチラ)を見ると、次のようなことが記されています。
社会、経済、文化の地球規模での交流が進み、国際的な協調、共生さらには競争の関係が増大する時代において、異なる歴史的・文化的背景や価値観を持つ人々と共生していくためには、我が国の歴史や伝統、文化を深く理解し、異なる歴史的・文化的背景を持つ人々に対し、これを適切に説明し理解を求めたり、主張したりすることのできる能力が必要です。
また、異なる歴史的・文化的背景や価値観の存在を視野に入れつつ、地球的規模で物事を考える基礎を培うには、世界の多様な国や地域の歴史や伝統、文化に対する理解を深めることも重要です。
「歴史能力検定」では、こうした時代の要請を踏まえ、先人が歩んできた道を振り返り、歴史に対する理解を深め、私たちがこれから歩んでいく道を考える判断力や洞察力を養うことができるよう出題を工夫し、世界に通用する人づくりに資することを目指しています。
なんと穏当な・・・。ナショナリズムの含有率は10%程度でしょうか。(←全然非難しているわけではない。)
一方、韓国史能力検定試験のサイトの趣旨説明(→コチラ)は次の通りです。
学校教育で韓国史の位相は日ごとに下がっていますが、周辺の国々は歴史教科書を歪曲し、甚だしく歴史戦争を挑発しています。韓国史の位相を正しく確立することが何よりも急務となっています。
このような現実から私たちの歴史に関するパラダイムの革新と韓国史教育の地位を強化するために、国史編纂委員会では、韓国史能力検定試験を設けました。
国史編纂委員会は、私たちの歴史への関心を高め、韓国史全般に渡って、歴史的思考力を評価する様々な種類の質問を開発しています。これにより、韓国史教育の正しい方向を提示し、自発的な歴史学習を通して、高次元的思考力と問題解決能力を育成しようとします。
・・・おー、なんというこの違い! コチラはナショナリズム含有率9割以上ですね。韓国では今だに歴史学・歴史教育が国に従属しているというか、あるいは国のあり方を(主観的には)むしろ先導しているというか・・・。
あと、内容的な違いといえば日本の方には世界史部門もあるという点ですね。
この韓国史能力検定試験の等級は次の6段階に分けられています。(日本は1~5級ですが準3級があるので同じく6段階です。)
高級:1級=準専門家レベル。
2級=深化教養レベル。
中級:3級=高等学校レベル。
4級=中学校レベル。
初級:5級=初等学校レベル。
6級=初等学校レベル。
※各級内は同一問題で、70点以上だと上位の級、60点以上だと下位の級合格となる。
そして、これらの過去問を公式サイトの→コチラのページからダウンロードできるのです。
そこで私ヌルボ、とりあえず直近の2014年5月24日に実施された第23回の検定試験の初級に挑戦してみました。
結論的に言うと、初等学校レベルということでちょっと甘く考えていましたね。
日本史でいえば「空海が開いたのは何宗か?」とか「本能寺の変で織田信長を倒したのは誰か?」といったレベルだったらヌルボだってそれなりにできるゾ!と思っていたのに、全然そんなもんじゃない!
まぐれ当たりを入れて6級合格に届くかどうかビミョーってとこですかねー。
・・・と悔しさをかみしめながら、それでもムキになって全40問をやってみましたがな・・・。
そんなわけで以下その一部を紹介します、・・・というのが正しい展開なんでしょうが、ムキになりついでに全問紹介しちゃいます! 分量が多いので3回に分けます。
問題はほぼ時代順になっています。今回はまず第10問まで。
正解=( ② ) ←( )の部分を範囲指定すると読めます。
※岩寺洞遺跡はソウル特別市江東区にある約6000年前の石器時代の遺跡。
正解=( ④ )
故国川(コグクチョン)王は高句麗第9代の王(?〜197)。乙巴素(ウルパソ)を宰相に登用し、貧民救済にこの施策を実施した。
正解=( ③ )
正解=( ① )
①武寧王陵・・・公州市=かつての熊津
②瞻星台(チョムソンデ)・・・慶州にある7世紀新羅時代の天文台(といわれる)。観光ポイントとして有名。
③画像が不鮮明でよくわからず。
④将軍塚古墳(伝長寿王陵)・・・中国吉林省・集安にある。高句麗の積石塚の代表的遺物。太王陵とも。
正解=( ④ )
※①は新羅。
正解=( ① )
①は中国帰り僧・円光(ウォングァン)が貴山と箒項(チュハン)の2人の花郎(ファラン)に伝えたという言葉。事君以忠(王への忠誠)・事親以孝(親への孝行)・朋友以信(友への信義)・臨戦無退(戦いでの勇気)の5つ。
②は儒教の徳目。三綱=忠・孝・烈、五倫=父子の親、君臣の義、長幼の序、夫婦の別、朋友の信
③は高麗を創建した王建(太祖)が子孫のため遺した訓戒。
④は女性が守るべきとされた徳目で、日本でもよく知られていますね、って今はどうかな?
正解=( ② )
※古昌(고창)戦闘とは、929年王建の率いる高麗が後百済を破った戦い。
後三国時代(892~936年)とは、新羅が弱体化し分裂してから高麗が再統一するまでの時代。三国とは新羅・後百済・後高句麗。
③安市城の戦いは高句麗が唐軍(の第1次侵攻)を食い止めた戦い。
④は、高麗の武将尹瓘(윤관.ユングァン)が女真征伐の際占領地に造営した9つの城。
正解=( ③ )
正解=( ③ )
※時務28条は、982年崔承老が成宗に上書した太祖以来の高麗国王の治績を論評したもので、中央集権的統治体制の確立と儒教的政治理念の実現を主張。
④奴婢按検法は956年実施。もともと官民でありながらになった者を解放させた。
正解=( ④ )
ここまできっちりやってみたという人なんていますか? ざっと見てみただけでもご苦労様なことです。
しかしこれでやっと10問。あと15問×2=30問やるってか!? うげ。
→ 韓国史能力検定試験・初級の問題に挑戦!② なんだ、この「重箱の隅」的問題のオンパレードは!?
韓国では、この漢検は1990代初めから数団体により行われています。(※日本では1975年開始。)
そして先日たまたま日本の歴史能力検定(歴検)と似た<韓国史能力検定試験>が行われていることを知りました。
日本の歴検は1997年に始まったのに対し、韓国の方は2006年11月に第1回実施。当初は年2回行われていましたが、2010年から年3回、2012年からは年4回行われています。
また、日本では歴史能力検定協会という任意団体により運営されていますが、韓国の検定は日本の文科省に相当する文教部所属機関の国史編纂委員会が主催しています。
その目的を比較してみると違いは明白です。
日本の歴検の公式サイト(→コチラ)を見ると、次のようなことが記されています。
社会、経済、文化の地球規模での交流が進み、国際的な協調、共生さらには競争の関係が増大する時代において、異なる歴史的・文化的背景や価値観を持つ人々と共生していくためには、我が国の歴史や伝統、文化を深く理解し、異なる歴史的・文化的背景を持つ人々に対し、これを適切に説明し理解を求めたり、主張したりすることのできる能力が必要です。
また、異なる歴史的・文化的背景や価値観の存在を視野に入れつつ、地球的規模で物事を考える基礎を培うには、世界の多様な国や地域の歴史や伝統、文化に対する理解を深めることも重要です。
「歴史能力検定」では、こうした時代の要請を踏まえ、先人が歩んできた道を振り返り、歴史に対する理解を深め、私たちがこれから歩んでいく道を考える判断力や洞察力を養うことができるよう出題を工夫し、世界に通用する人づくりに資することを目指しています。
なんと穏当な・・・。ナショナリズムの含有率は10%程度でしょうか。(←全然非難しているわけではない。)
一方、韓国史能力検定試験のサイトの趣旨説明(→コチラ)は次の通りです。
学校教育で韓国史の位相は日ごとに下がっていますが、周辺の国々は歴史教科書を歪曲し、甚だしく歴史戦争を挑発しています。韓国史の位相を正しく確立することが何よりも急務となっています。
このような現実から私たちの歴史に関するパラダイムの革新と韓国史教育の地位を強化するために、国史編纂委員会では、韓国史能力検定試験を設けました。
国史編纂委員会は、私たちの歴史への関心を高め、韓国史全般に渡って、歴史的思考力を評価する様々な種類の質問を開発しています。これにより、韓国史教育の正しい方向を提示し、自発的な歴史学習を通して、高次元的思考力と問題解決能力を育成しようとします。
・・・おー、なんというこの違い! コチラはナショナリズム含有率9割以上ですね。韓国では今だに歴史学・歴史教育が国に従属しているというか、あるいは国のあり方を(主観的には)むしろ先導しているというか・・・。
あと、内容的な違いといえば日本の方には世界史部門もあるという点ですね。
この韓国史能力検定試験の等級は次の6段階に分けられています。(日本は1~5級ですが準3級があるので同じく6段階です。)
高級:1級=準専門家レベル。
2級=深化教養レベル。
中級:3級=高等学校レベル。
4級=中学校レベル。
初級:5級=初等学校レベル。
6級=初等学校レベル。
※各級内は同一問題で、70点以上だと上位の級、60点以上だと下位の級合格となる。
そして、これらの過去問を公式サイトの→コチラのページからダウンロードできるのです。
そこで私ヌルボ、とりあえず直近の2014年5月24日に実施された第23回の検定試験の初級に挑戦してみました。
結論的に言うと、初等学校レベルということでちょっと甘く考えていましたね。
日本史でいえば「空海が開いたのは何宗か?」とか「本能寺の変で織田信長を倒したのは誰か?」といったレベルだったらヌルボだってそれなりにできるゾ!と思っていたのに、全然そんなもんじゃない!
まぐれ当たりを入れて6級合格に届くかどうかビミョーってとこですかねー。
・・・と悔しさをかみしめながら、それでもムキになって全40問をやってみましたがな・・・。
そんなわけで以下その一部を紹介します、・・・というのが正しい展開なんでしょうが、ムキになりついでに全問紹介しちゃいます! 分量が多いので3回に分けます。
問題はほぼ時代順になっています。今回はまず第10問まで。
1.次の祭で展示される遺物として正しいものは? 招待状 岩寺洞(アムサドン)新石器祭に招待します。 ・期間:2014年○○月○○日~○○日 ・場所:岩寺洞先史遺跡地 ・内容:新石器時代遺物展示 新石器時代生活体験 ①青銅鏡(청동 거울) ②すりこぎ石(갈판)と石皿(갈돌) ③細形銅剣(세형동검) ④無文土器(민무늬 토기) |
正解=( ② ) ←( )の部分を範囲指定すると読めます。
※岩寺洞遺跡はソウル特別市江東区にある約6000年前の石器時代の遺跡。
2.次の台本に登場する王が実施した制度として正しいものは? 飢えた百姓を救え! ・時:194年・所:高句麗都邑一帯 ・登場人物:故国川王(고국천왕)、乙巴素(ウルパソ)、臣下、農民 ・解説:王が馬に乗り、臣下たちとともに狩りに出かけた。この時農民1人が凶作になって働く所がなく飢え死にしたと悲しげに泣いている。 ①義倉(의창) ②換穀(환곡) ③常平倉(상평창) ④賑貸法(진대법) |
正解=( ④ )
故国川(コグクチョン)王は高句麗第9代の王(?〜197)。乙巴素(ウルパソ)を宰相に登用し、貧民救済にこの施策を実施した。
3.次の文を通してわかる古朝鮮の社会の姿に対する発表内容で正しくないものは? <八条法> ・人を殺した者は死刑に処する。・人を傷つけた者は穀物で償う。 ・盗みを働いた者は奴隷とする。許しを得るには50万銭を出さなければならない。 ①農業をしていました。 ②身分の差がありました。 ③個人の財産が認められていませんでした。 ④社会秩序を維持しようと努力していました。 |
正解=( ③ )
4.(가)に入る文化遺産として正しいものは? 百済の都邑地と文化遺産 (左から)漢城(ソウル)の風納土城(풍납토성) 熊津[웅진.ウンジン](公州)の(가) 泗沘[사비](扶余)の扶余陵山里(능산리)古墳群 ①武寧王陵 ②瞻星台(チョムソンデ) ③平壌郊外石巌里古墳出土の金製具(?) ④将軍塚古墳(伝長寿王陵) |
正解=( ① )
①武寧王陵・・・公州市=かつての熊津
②瞻星台(チョムソンデ)・・・慶州にある7世紀新羅時代の天文台(といわれる)。観光ポイントとして有名。
③画像が不鮮明でよくわからず。
④将軍塚古墳(伝長寿王陵)・・・中国吉林省・集安にある。高句麗の積石塚の代表的遺物。太王陵とも。
5.(가)の国家を収めた王の業績として正しいものは? [地図] 百済の全盛期(4世紀) ①五小京(5소경)を設置した。 ②于山国(우산국)を征伐した。 ③都邑を平壌に遷した。 ④黄海道の一部地域を占拠した。 |
正解=( ④ )
※①は新羅。
6.次のクイズの正答として正しいものは? 「新羅の真興王(진흥왕)の時、国家的に整備された少年組織の規律は何ですか?」 ①世俗五戒(세속오계) ②三綱五倫(삼강오륜) ③訓要十条(훈요십조) ④三従之道(삼종지도) |
正解=( ① )
①は中国帰り僧・円光(ウォングァン)が貴山と箒項(チュハン)の2人の花郎(ファラン)に伝えたという言葉。事君以忠(王への忠誠)・事親以孝(親への孝行)・朋友以信(友への信義)・臨戦無退(戦いでの勇気)の5つ。
②は儒教の徳目。三綱=忠・孝・烈、五倫=父子の親、君臣の義、長幼の序、夫婦の別、朋友の信
③は高麗を創建した王建(太祖)が子孫のため遺した訓戒。
④は女性が守るべきとされた徳目で、日本でもよく知られていますね、って今はどうかな?
7.(가)に入る内容として正しいものは? 渤海滅亡 → 古昌(コチャン)戦闘 → (가) → 後三国統一 [後三国統一過程] ①高麗建国 ②新羅降伏 ③安市城(アンシソン)の戦い ④東北9城築造 |
正解=( ② )
※古昌(고창)戦闘とは、929年王建の率いる高麗が後百済を破った戦い。
後三国時代(892~936年)とは、新羅が弱体化し分裂してから高麗が再統一するまでの時代。三国とは新羅・後百済・後高句麗。
③安市城の戦いは高句麗が唐軍(の第1次侵攻)を食い止めた戦い。
④は、高麗の武将尹瓘(윤관.ユングァン)が女真征伐の際占領地に造営した9つの城。
8.次の仮想の手紙を書いた人物として最も適切なのは? 父上! その後お元気でいらっしゃいますか? 唐の科挙試験に合格するまでは新羅に帰るなとの父上のお言葉を繰り返し念じつつ、熱心に勉強しました。その結果科挙の試験に合格して唐の地方官吏である溧水縣尉になりました。・・・・いずれ私が新羅に帰ったなら、6頭品という身分の限界を超えられないか期待しています。 ①元暁(ウォンヒョ) ②張保皐(チャンボゴ) ③崔致遠(チェ・チウォン) ④金富軾(キム・プシク) |
正解=( ③ )
9.次を受け入れた王の業績として正しいものは? 時務28条 ・地方官を派遣して百姓の面倒をみなければいけない。・仏教を信じることは自身を磨く根本であり、儒教を行うことは国を治める根源である。 ①成均館を設立した。 ②「経国大典」を編纂した。 ③地方に12牧を設置した。 ④奴婢按検法を初めて実施した。 |
正解=( ③ )
※時務28条は、982年崔承老が成宗に上書した太祖以来の高麗国王の治績を論評したもので、中央集権的統治体制の確立と儒教的政治理念の実現を主張。
④奴婢按検法は956年実施。もともと官民でありながらになった者を解放させた。
10.下線を引いた「この国」に対する説明として正しくないものは? 写真の金海大成洞古墳はこの国の支配層が埋められた所です。ここからは土器をはじめとした多様な遺物が出土しました。 ①倭と交流していた。 ②新羅に滅ぼされた。 ③鉄が主要輸出品だった。 ④漢江流域で建国された。 |
正解=( ④ )
ここまできっちりやってみたという人なんていますか? ざっと見てみただけでもご苦労様なことです。
しかしこれでやっと10問。あと15問×2=30問やるってか!? うげ。
→ 韓国史能力検定試験・初級の問題に挑戦!② なんだ、この「重箱の隅」的問題のオンパレードは!?
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