お疲れ様です。
日本マクドナルドが08年12月決算を発表しましたので、簡単にコメント。
まずは日経記事。
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日本マクドナルド、前期売上高最高 「お得感」で節約需要取り込む
日本マクドナルドホールディングスが4日発表した2008年12月期決算は、
連結経常利益が182億円と前の期比17%増えた。売上高は3%増の4063億円と
過去最高だった。
消費の冷え込みでファストフードなどの外食企業が軒並み売り上げを落とすなか、
100円メニューなどの「お得感」でうまく節約需要をすくい取った。
既存店売上高は4%増。「客数拡大に向けた戦略を徹底」
(原田泳幸会長兼社長)したことが奏功した。24時間店の拡大や、
100―120円の低価格メニューの強化が集客につながった。
営業利益は17%増の195億円。前期中に二度の値上げで原材料高による
採算悪化を防いだ。直営店からフランチャイズチェーン(FC)店への転換を
進め、初めて開示した店舗売却益(43億円)も利益を押し上げた。
日本トイザらス株の売却益を計上し、純利益は58%増の123億円だった。
(引用終了)
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(コメント)
本稿は、
08年12月10日拙稿『ご一緒に店舗はいかがですか?』~マクドナルド店舗売却益に思う
の続編です。
前作をご覧になっていない方はまずそちらからご確認ください。
では決算短信を見てみましょう。
決算短信。
短信p.3
店舗展開の表をご覧下さい。
直営店からフランチャイズ店へ509店、区分が変更となっております。
(当社では「区分移行」という表現)。
逆のケースもあるようなので、509店というのはネットの数字ですが、
期初2,674店の直営店のうち約2割がフランチャイズ店に移行。
で、重要なのは、当社から見た「区分移行」は「店舗の売却」にあたることから、
この店舗売却益が43億円、フランチャイズ収入として計上されております。
本業の利益としてカウントされているところがミソです。
カンの鋭い方は、この売却益が営業利益を大きく押し上げていることを
容易に理解できるはずです。
509店の売却益が43億円。
では売却収入はいくらか?
ということで短信p.18キャッシュフロー計算書「投資活動キャッシュフロー」
を見てみますと・・・・・
店舗設備等の売却による収入 92億円。
ですから、店舗売却に伴う粗利益率は、
43億円÷92億円=46.7%
一方、全社の粗利益率は、p.15連結損益計算書から17.0%
ですので、フランチャイズオーナー向けに販売した「店舗」が
最も粗利益率(アラリ)が高い可能性がある、
ということが言えるのではないでしょうか。
そして連結営業利益は前期比28億円増の195億円ですが、
うち43億円は一過性の売却益で押し上げられているので、
実質は減益であった可能性もあります。
しかも和解金・株式売却益など41億円の特別利益も加わっての
最終利益の最高益でしたので、
表面上の利益をもって、「外食の勝ち組」としてはやしたてるのは
早計だと思うんですけどね・・・・・。
ただ、そういう風にマスコミを誘導して
顧客へのイメージ刷り込みが進むようであれば、
今回の決算はそれだけで大成功だったかも知れません。
(でも、私は騙されませんよ。)
で、問題は09年12月期。
売上高は3,550億円と▲12.6%減収ながら、
営業利益236億円と前期比でさらに40億円増益を見込んでおります。
最も重要な前提数値は、「今度は一体何店売却するのか?」
昨年12月時点の情報では、
当社はこの2年間で直営店中心の事業展開を、FC店中心に大きく転換すると
しておりまして、FC店比率を07年12月3割から09年12月7割にするという計画。
08年12月末3,754店の7割は2,627店。
目標まであと直営店1,039店を売却しないといけない計算になります。
509店で43億円の売却益の実績でしたから、
ほぼ倍の88億円売却益、前期比で45億円の増益が見込まれるのでしょうか。
とすると、ほぼ今期の増益幅40億円とつじつまが合う・・・・・。
(なお、減収となるのは、直営店の店頭売上のかわりにフランチャイズ収入に振り替わるため当然の現象)
結局、マックは今期も、
最も儲かる商品「直営店舗」の売却益が業績を支える可能性が高そうです。
短信とニュース情報からの邪推ですので
違っていたらすいません。
そして・・・・来期(2010年12期)は反動減により大幅減益となるのか、
長い目で見ていきましょう。
以上、門外漢による戯言でございました。
投資判断はご自身の責任で。
ではまた。
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<読書:「本質を見抜く力ー環境・食料・エネルギー」
養老孟司、竹村公太郎
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/AAT65832/
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しかし、ある程度FC化比率が上がったところで、どうやってフランチャイジーを教育していくのか、投資させていくのか、そういうことに悩むようになるのではないでしょうか。そして最悪のケースとしては、マクドナルドというのは日本でもあまり高レベルの顧客層を望めない外食産業になってしまうのではないでしょうか。
そういう意味では「利益の先食い」をしているだけのような気がします。ま、マクドナルド本社の人間にはわからないのでしょうが(説明会でごっそり後ろに並んでました....)