◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

丸紅「偽造保証書」事件に思う

2008-03-29 | 会計・株式・財務
「好事魔多し」
  ・・・・物事がうまく進んでいる時ほど、意外なところに落とし穴があるといいます。

資源高で空前の好業績の丸紅がまさにコレ。
足元ではサブプライム関連損失に加えて、新たなトラブルに巻き込まれました。

今回はこの事件に関して簡単にコメント。


【日経記事】
――――――――――――――――――――――――――――――
偽造の「丸紅保証書」で投資、米証券が240億円回収不能

 東京都内の医療コンサルティング会社の関係者らが偽造された
大手商社丸紅の保証書を使って投資を募り、米大手証券が出資した
約240億円が回収不能となっていることが28日、関係者の話で分かった。

丸紅は偽造にかかわったとして男性契約社員2人を今月上旬に解雇し、
警視庁に有印私文書偽造容疑で被害届を提出した。
同庁は資金の流れなど事実関係の確認を進めている。

 約240億円が回収不能になったのは、米大手証券リーマン・ブラザーズの
日本にある関連会社。リーマンは近く詐欺容疑などで取引にかかわった数人を
刑事告訴する方針。
リーマン同様に投資した別の米大手証券は出資金を回収したが、
数十億円規模の回収不能金が発生した投資家も
ほかに複数いるとみられる。
---------------------------------------------------------------


 (感想)

・騙すほうも騙すほうですが、リーマン側もおかしいと思わなかったんですかね?

丸紅の有価証券報告書を見てよく考えれば、おかしいと思いますよ
まずは有報を開けて見て下さい。
http://www.marubeni.co.jp/dbps_data/_material_/maruco_jp/data/ir/pdf/securities/yuho_FY2006_070331.pdf

PDFの132ページ目 「5.偶発債務(1)保証債務」をご覧下さい

これは丸紅(単体)がどこにどれだけの金額を保証しているか確認できる
重要な注記です。

これを見ますと、気づくのは、
丸紅本体からの多額の保証というのは、ほとんどが関係会社向け。
関係会社以外では、サハリンの資源開発や発電など
公益性の高いプロジェクトに限定されている
、ということ。

本件での偽造保証書がどういう内容かはわかりませんし、
保証先(医療機関)が細分化されて1件1件の保証金額が少額で開示対象から
外されているのかも知れません。

それにしても、特段公益性の認められない、しかも1プロジェクトの総額が200億円以上
となる保証を丸紅本体がするものなのか

少し立ち止まって考えればおかしいと思うでしょう?。

そう思いませんか?

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 替え歌フルコーラス版『新し... | トップ | 【ポール離婚記念】THE BEAT... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
笑えんのぅ (温故知新)
2008-03-30 19:33:31
サブプライムだけでは足らずに、また別件かよ、米系投資銀行。シャレならんぜよ。
返信する
Unknown (Unknown)
2008-04-03 10:56:58
丸紅の補償と言っているのは間違いです、納品請求受領書という役務提供を受けたことを意味する書類が出ていただけです
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

会計・株式・財務」カテゴリの最新記事