歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

2本のやさしい映画

2014年08月10日 | 映画
立て続けに2本の映画を見た。

ネタバレになると思う。


一本目はなんで借りたのか覚えていない。

「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」は1985年のスウェーデン映画だ。

いろいろな不幸に見舞われる一人の少年の話だ。

映画の冒頭の言葉が耳に残る。

「ライカ犬を思うと胸が痛む。
十分な食べ物も積まず、犬を宇宙に送るなんて。
人類の進歩のために、望んだ訳でもないのに」

ライカ犬というのは、ロシアの宇宙船スプートニク2号に乗せられた犬の名前だ。

地球軌道を周回した最初の動物となった。



自分の意志などおかまいなく、環境は変化し無惨に日々は過ぎていく。

自分ではどうにも出来ないことが世の中にはたくさんあると思う。

それがお金もなく知識もない子どもであればなおさらだ。

頼りにしていたものがなくなった時の孤独感というのは計り知れない。

それでも人は生きていくんだな。



何も解決しなくたって、少し角度を変えて眺めてみればそれもそんなに悪い話ではないのかもしれない。

人間くさくて、静かで、冷たくて、暖かい映画だったと思う。





そして2008年の日本映画「トウキョウソナタ」。

私の大好きな映画「アカルイミライ」の黒沢清監督作品。

この人の演出はくせがあるから好き嫌いがはっきり出ると思う。



この映画のコピーは「ぼくんち、不協和音」。

なんかいいね、うまくいかない家族の画が一瞬にして浮かぶ。

子どもが思春期のうちはうまくいかなくていいんじゃないかな。



いやぁそれにしてもこの家族はなかなかの不協和音をならしている。

夫婦が他人であるということに気づくと、家族のつながりが見えなくなっていく。

取り返しのつかない人生、ゆっくりと沈んでいく船、もう助けはこない。

それでも人は生きていくんだな。



何よりも町並みが東京を物語っていた。

幹線道路とマンション、警察署、帰り道、公園。

なんだか一瞬一瞬の画が目に焼き付いている。



人と感動するポイントがズレていたりするから、

また共感は得られないかもしれないけれど、

とにかく涙が止まらなかった。

感動というか、救われた。






2本とも根本的には暗いテーマだったけど、面白かった。
コメント
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