インテリア・家具 横浜元町[ダニエル] 家具店主 咲寿義輝のブログ

家具・インテリアショップ 日本の洋家具発祥の地:横浜元町から インテリアに興味のある方への情報ブログ

職人の【技】と培われた【経験】・【素材】のコラボレーション

2011-12-16 | インテリアについて
最近、良いモノを長く使いたいと言う人が増えてきた。
家具の場合、その『長く』の意味が10年・20年・30年・・・。一生モノを意味する事も少ないと思う。

しかし最近は、POPや宣伝効果で本当にそうでない『本物でない』・『長い』使用に耐えることが出来ないモノも、見た目や販売員の接客の先入観でそう思ってしまうモノも少なくない。

出来れば、そのモノの本質をキチンと見極める力量が現在の消費者にも、コーディネートする人にも必要なのだと、最近よく痛感する。

家具を長く愛でると、いつの間にか多少イタミがともなってくる。これは、我々が年を取るのと同様。
そんな時、きちんとした手当が必要となるのです。

たとえば、下の写真のアームチェア。


50年近く使われたダインニングのアームチェア。現在の持ち主は一般の方なのだが、椅子のフレームにプレートが刻まれており、某銀行の刻印が押されていた。
多分、なんかの形で建物が解体されるときに引き取られてきたものと推測されるのだが、その作りは本式。
全てホゾ構造で、スプリングも単独スプリングを一つ一つ、麻テープと麻ひもで結って『最高の座り心地』を演出する。

しかも使われている内材の素材も天然素材。

これは、当時まだウレタンが普及しておらず当たり前のように使われていたワラやシュロと言った繊維。
これをウレタンの代わりに使うことで柔らかさを演出していた。

今回は、この【椅子のグラつき】直しと、【椅子の張替】を依頼された。
しかし、現代の日本の椅子職人のなかでも、単独スプリングをキチンとバランス良く結って、最高の座り心地を作ることができる人がほとんどいない。また、上記の写真のような天然素材を持ち合わせているメーカーも、国内にはほとんど無い。
我々も、その技術を継承するため若い方の育成や、その技術を少しでも学んでいただく為に【家具の学校】を開設して、職人の育成を目指している。

一方で、海外では馬毛やシュロ、ワラとった天然素材をまだ使用している国もあるため、その国から素材を輸入し、【修理時に出てきな素材と同素材】で修理を行う。

そのようなことで、50年前に造られた椅子も現代の職人が当時と同じように再現し、修復する。

技術・経験・素材・がコラボレーションすることで、愛着あるパートナー(家具)を『長く』、次の世代へ継承していくことができるのである。

まずは、このように愛着を持って『長く』使えるパートナーを見つけること、そしてその見極め方を習得することが必要なのかもしれない。
そして【手にした後】はそれを継続的にメンテナンスできる存在もまたキチンと手にすることが必要でしょう。


1月7・8・9日の3日間。横浜の【ダニエル元町本店】では、家具の技術や道具の使い方を体験できる、【家具の病院】のワークショップを開催。
どんな家具が、長く使えるのか、一生モノとはなにかを肌で感じることができるチャンスです。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿