インテリア・家具 横浜元町[ダニエル] 家具店主 咲寿義輝のブログ

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もう作られていない椅子 飛騨産業

2011-12-27 | 家具修理関係
お客様から36年前、御結婚当時に購入したダイニングテーブルセットの椅子の修理を依頼された。
家族が増えたことによって購入後10周年目に新しいダイニングセットを購入。現在でもそのセットはご使用中である。

ただ、その時に結婚した時の思い出の品として椅子を二脚残された。
お客様が来るとたまに使う程度だが、いつもリビングの片隅に2脚寄り添うように並んでいるこのチェアを、御夫婦で眺めながらご結婚当時の事を語り合うという。

今回お邪魔して、真っ赤な椅子張り地を当時と同じようなモノで『修理してほしい』というのが一番のご要望でした。
国内外の布地から当時の布地の色合いと風合い、毛足の感じを読み取り探し出しお客様にプレゼンテーション。



この椅子は【飛騨産業社製】の椅子。曲げ木を利用したとてもシンプルながらしっかりしたチェア。
現在は販売されておらず、またこのような凝ったデザインのモノを求めるのも現在では難しいのではないだろうか。自分からするととてもシンプルながらデザインと作りがとても素敵な逸品です。

   

今回は、ウレタンもヘタっているので座面の布地と合わせて内材も全て交換。


ここに、36年を経て新たな布地で当時の再現完了。

座り心地も当時のようなクッション性を再現でき大変喜んでいただきました。

家具の修理に携わると、現在販売されていないモノや美術館に入っているような逸品に出会えることがある。
その都度、今だから斬新に思えたり、その当時の技術の高さを目のあたりにして驚くことがある。
また、30数年前の家具のほうが現在の市販されている家具に比べて、結構しっかりと、家具職人達が丹精込めて作られている品物が多い気がする。

修理品で入院する家具の中でも、【出来栄えのしっかりしたモノ】を見ながら、『大量生産、大量消費のちょっと前の時代だなぁ。』っとダニエルの親方職人が、修理品を眺めながらボソッと言う言葉は、なんだか心に重くのしかかる。良いモノを大切に、また大切に使っていただける製品を作り続けたいと思う。


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