最近、すぐれた山岳小説を連発していると評判の笹本稜平を初めて読んだ。
北八ヶ岳の雨池のほとりの架空の山小屋、「ビンティ・ヒュッテ」。
山小屋オーナーのパウロさんは、かつて日本のトップクライマーだった。
しかし、生きるか死ぬかのギリギリの時に、生涯悔いが残る、あることを
しでかしてしまう。
出来心というには切実すぎ、「つい」というには重すぎる行為だった。
主人公・橘裕也も、同じように「些細な」汚点を記し、「普通に」生きられない
過去を背負っている。
そして戸村サヤカ、勝田慎二は、生まれついてのハンデを抱えている。
登場人物は誰もが、拭うことのできない弱点を抱えている。
誰一人完璧な人間はいないよと、笹本氏が改めて教えてくれた気がする。
パウロさんが亡くなってから、残された3人は自分自身をポジティブに
生きるため、未踏峰に挑む。
自分のハンデいっぱいの過去を振り返らずにおれなかった。
ハンデは克服できないまでも、補うことはできる。
そして、それは独りで実現するものではなく、本当に信頼できる
仲間と一緒だからこそ、できる。そうして、お互いを高め合うことができる。
今一度、それを思い起こさせてくれた快作である。
読後の爽快感は言うまでもない。
そして改めてわが身を振り返り、支えてくれた岳友たちへの、そして妻への
感謝の思いがあふれてくるのである。必読!!
北八ヶ岳の雨池のほとりの架空の山小屋、「ビンティ・ヒュッテ」。
山小屋オーナーのパウロさんは、かつて日本のトップクライマーだった。
しかし、生きるか死ぬかのギリギリの時に、生涯悔いが残る、あることを
しでかしてしまう。
出来心というには切実すぎ、「つい」というには重すぎる行為だった。
主人公・橘裕也も、同じように「些細な」汚点を記し、「普通に」生きられない
過去を背負っている。
そして戸村サヤカ、勝田慎二は、生まれついてのハンデを抱えている。
登場人物は誰もが、拭うことのできない弱点を抱えている。
誰一人完璧な人間はいないよと、笹本氏が改めて教えてくれた気がする。
パウロさんが亡くなってから、残された3人は自分自身をポジティブに
生きるため、未踏峰に挑む。
自分のハンデいっぱいの過去を振り返らずにおれなかった。
ハンデは克服できないまでも、補うことはできる。
そして、それは独りで実現するものではなく、本当に信頼できる
仲間と一緒だからこそ、できる。そうして、お互いを高め合うことができる。
今一度、それを思い起こさせてくれた快作である。
読後の爽快感は言うまでもない。
そして改めてわが身を振り返り、支えてくれた岳友たちへの、そして妻への
感謝の思いがあふれてくるのである。必読!!