今年2本目の沢登り。
台高山脈・馬ノ鞍峰に突き上げる明神谷を遡行した。
今日のパーティは、Mr.Dash、ともちゃん、F山さん、
Y井氏、ノブちゃん、そして沢登り初体験のMーちゃんの6人である。
三之公の林道終点にクルマを置き、身支度を整え、
山の神の祠に手を合わせて出発したのは9:45。
やや遅めだが、これでも大阪から出てきたメンバーにとっては結構、
朝早く起きてこなければならない。
山道は、この時期、新緑が美しい。
6月ともなると気温が上がる日はこの登山道は「山ヒル天国」と化す。
先週、林道が通行止めになっている噂を確認すべく、「奈良県の山」の
著者の小島師匠に電話したら、「ようやるわ、ヒルでたいへんやで」と
言われたが、天気予報の最高気温は23度。
この温度なら、ヒルはさほど活発に動かないはず。
去年の台風12号でかなり山道が荒れていたらしいが、
真新しい桟道も充実しつつある。
しかし、山ヌケの跡がむき出しになっている箇所はまだまだ何箇所か
残っており、ある程度、山慣れた人でないと、困難な状態だと思う。
まずは登山道を使い、明神滝へ。40mとされる一本筋の滝は
シンプルな美しさがある。
一旦、登山道に戻り、滝を巻き終えた地点で斜面を強引に下り、入渓。
ちょうどうまく降り立った明神滝の落ち口は、こんな感じである。
遡行してほどなく、岩のトンネルをくぐる。こんなささやかな自然の偶然も面白い。
最初に出てくる二ノ滝8mは、大人しく巻く。
小プールは胸まで浸かりながら進む。
初参加のMーちゃんは、「パンツは守る」と、息巻いていたが、ここで
敢え無く全身びしょ濡れ。
ノブちゃん、いやヒキガエルまでお出迎えである。
スーパーマクロで接近したら、デジカメに頭突きして来やがった。
最初の二俣を右へ。ここまでは、登山道は右岸を沿っているので、
いざとなればエスケープになるが、ここからは引き返すことはできない。
9m滝は、時間の関係のあるので、すぐ左から巻く。
右の細いほうの滝からも登れそうで、何人か、名残惜しそうに眺めていた。
早速、今日一番のハイライト、3段25m滝のお出ましである。
それまでの明るい渓相がうって変わって暗い雰囲気になる。
去年の台風で倒壊したのか、かなりの大木が右岸から逆さまに
突き刺さるように倒れ落ちていた。
一番下の滝は、ほぼ階段状でたやすく登れる。
そこからが、細い激流の間を、滑りやすいスタンス、ホールドを探しながらの
登攀となる。慎重にリードするが、途中で支点がとれそうな場所はない。
二番手に続くF山さんに一旦、待機してもらい、Mr.Dashがまず
流芯に突入し、激流の中に足場を探る。ホールドを掴む右手が冷たさでかじかむ。
慎重すぎるほど時間をかけ、寒気を通り過ぎるほどだったが、
なかなか右手のホールドが見当たらず、腕全体を摩擦させ、左手の小さな
ホールドを頼りに、何か叫びながら、モンキークライム気味に、
白く泡立つ水圧の中に身を投じた。左足が流れの中にガチッと決まった。
水を真正面に受けると重い。強引に身体を反転させるようにして水圧を避け、
ガバを抱えて、滝頭に出た。
一瞬、クラッときて、へなへなと座り込み、肩で息をするほどの緊張。
気づけば右ひざから下がガクガクと震えだした。怖かったんだと気づいた。
幸い、支点に適した木は、すぐそこにあった。
支点をつくり、ザイルをセットして滝の下を覗くと、F山さんが
流芯突入の手前まで登ってきていた。
ロープダウン。F山さん、さすがにクライミングの名手。
水圧には閉口しつつも、長いリーチを活かして美しく滝頭へ。
このあと、一人ずつロープダウンし、引き上げる。
皆、頭の先から全身、濡れネズミである。
ビレイする左半身がしだいにだるくなっていくが、ここが勝負どころだ。
とくにMーちゃんは今日が初めての沢登り。
インドアで懸命に練習し始めているとはいえ、屋外のクライミング経験も
まだ姫路の山神社でしかない。
それでも天性の運動神経とセンスの良さ、そして根性で、見事に攀じ登ってくる。
期待の大型新人である。
全員がアドレナリンがいっぱい出た、60分に及ぶ登攀を終え、昼食タイム。
暖かいラーメン、コーヒーなどで人心地。
後半戦は美しい渓相を楽しむ。まず斜瀑。斜めの軌跡がなんとも。
奥の二俣を過ぎ、5m滝は、2条の幅広。
そしてすぐ上部のは6m滝は、なんとも優美な、レースのカーテンのようだ。
さらにガレ場を過ぎると、一旦、水が途切れる。
岩屑の涸れ谷となるが、左右の樹林帯はトチなどの大木も多い。
やさしい黄緑色の新緑に包まれて、気分はサイコーである。
やがて再び水流が現れる。キレイな斜瀑を経て、いよいよ最後の滝。
7m、9mの連瀑だ。
ここはスタンス、ホールドとも豊富で、気持ち良い程度のシャワークライムが
楽しめる。
念のため滝頭でザイルをセットしていたら、続々と自力で上がってきた。
安心したのか、上がって休憩しているうちに、ノブちゃんの脚が攣った。
じつは序盤戦の胸まで浸かったプールの通過時にも攣っていたという。
スポーツドリンクと、ともちゃんが持参した漢方薬を飲んでもらったら、
このあと、とりあえず再発しなかった。
詰めにさしかかる。とうとう水流が消え、谷筋は浮石と倒木で
歩きにくくなった。そこで、最後の標高差100mは左岸を強引に
詰め上がった。ブッシュがないのはいいが、表土が崩れやすく、相当な傾斜はこたえた。
15:15。時間がかかったが、馬ノ鞍峰のピークに到着だ。
シャクナゲ、シロヤシオは終わりかけていたが、かろうじてまだ花がある。
ヤマツツジは満開。充実の沢登りの「ご褒美」のようだ。
しばらく休んでいたいが、時間も時間だ。
下山にかかる。尾根をたどり、1073m標高点を過ぎ、
「林道90分」の標識のところをテープに従い降りていく。
かなり滑りやすい斜面は、乾いた沢靴では尚更、難渋する。
足を取られながら、カクシ平谷へと下りる。
三之公行宮跡の到着は16:18。
Mr.Dash自身、最後の30分は左ひざがジクジク痛み出した。もう若くはない。
17:25、駐車地に到着。皆、山ノ神の祠に自然に頭が下がる。
心配していたヒルは、下山途中にMーちゃんが1匹、道の脇で
うにょうにょしているのを見つけただけで、実害ゼロ。
早ければ山鳩の湯にでも寄ろうと思っていたが、こんな時間だ。
帰りは、高田の極楽湯でサッパリし、皆で夕食を囲んでフィニッシュ。
メンバーをそれぞれの都合のいい場所で下ろしながら帰途につく。
帰宅したのは22時をとうに回っていた。
ビールを飲んでバタンキューだったが、
あくる日曜日は、全身の筋肉痛に襲われた。肩、脇の下、腕、腰、臀部、太もも、
身体を動かすたびに痛い。サロンパスを大量消費する休日となった。
台高山脈・馬ノ鞍峰に突き上げる明神谷を遡行した。
今日のパーティは、Mr.Dash、ともちゃん、F山さん、
Y井氏、ノブちゃん、そして沢登り初体験のMーちゃんの6人である。
三之公の林道終点にクルマを置き、身支度を整え、
山の神の祠に手を合わせて出発したのは9:45。
やや遅めだが、これでも大阪から出てきたメンバーにとっては結構、
朝早く起きてこなければならない。
山道は、この時期、新緑が美しい。
6月ともなると気温が上がる日はこの登山道は「山ヒル天国」と化す。
先週、林道が通行止めになっている噂を確認すべく、「奈良県の山」の
著者の小島師匠に電話したら、「ようやるわ、ヒルでたいへんやで」と
言われたが、天気予報の最高気温は23度。
この温度なら、ヒルはさほど活発に動かないはず。
去年の台風12号でかなり山道が荒れていたらしいが、
真新しい桟道も充実しつつある。
しかし、山ヌケの跡がむき出しになっている箇所はまだまだ何箇所か
残っており、ある程度、山慣れた人でないと、困難な状態だと思う。
まずは登山道を使い、明神滝へ。40mとされる一本筋の滝は
シンプルな美しさがある。
一旦、登山道に戻り、滝を巻き終えた地点で斜面を強引に下り、入渓。
ちょうどうまく降り立った明神滝の落ち口は、こんな感じである。
遡行してほどなく、岩のトンネルをくぐる。こんなささやかな自然の偶然も面白い。
最初に出てくる二ノ滝8mは、大人しく巻く。
小プールは胸まで浸かりながら進む。
初参加のMーちゃんは、「パンツは守る」と、息巻いていたが、ここで
敢え無く全身びしょ濡れ。
ノブちゃん、いやヒキガエルまでお出迎えである。
スーパーマクロで接近したら、デジカメに頭突きして来やがった。
最初の二俣を右へ。ここまでは、登山道は右岸を沿っているので、
いざとなればエスケープになるが、ここからは引き返すことはできない。
9m滝は、時間の関係のあるので、すぐ左から巻く。
右の細いほうの滝からも登れそうで、何人か、名残惜しそうに眺めていた。
早速、今日一番のハイライト、3段25m滝のお出ましである。
それまでの明るい渓相がうって変わって暗い雰囲気になる。
去年の台風で倒壊したのか、かなりの大木が右岸から逆さまに
突き刺さるように倒れ落ちていた。
一番下の滝は、ほぼ階段状でたやすく登れる。
そこからが、細い激流の間を、滑りやすいスタンス、ホールドを探しながらの
登攀となる。慎重にリードするが、途中で支点がとれそうな場所はない。
二番手に続くF山さんに一旦、待機してもらい、Mr.Dashがまず
流芯に突入し、激流の中に足場を探る。ホールドを掴む右手が冷たさでかじかむ。
慎重すぎるほど時間をかけ、寒気を通り過ぎるほどだったが、
なかなか右手のホールドが見当たらず、腕全体を摩擦させ、左手の小さな
ホールドを頼りに、何か叫びながら、モンキークライム気味に、
白く泡立つ水圧の中に身を投じた。左足が流れの中にガチッと決まった。
水を真正面に受けると重い。強引に身体を反転させるようにして水圧を避け、
ガバを抱えて、滝頭に出た。
一瞬、クラッときて、へなへなと座り込み、肩で息をするほどの緊張。
気づけば右ひざから下がガクガクと震えだした。怖かったんだと気づいた。
幸い、支点に適した木は、すぐそこにあった。
支点をつくり、ザイルをセットして滝の下を覗くと、F山さんが
流芯突入の手前まで登ってきていた。
ロープダウン。F山さん、さすがにクライミングの名手。
水圧には閉口しつつも、長いリーチを活かして美しく滝頭へ。
このあと、一人ずつロープダウンし、引き上げる。
皆、頭の先から全身、濡れネズミである。
ビレイする左半身がしだいにだるくなっていくが、ここが勝負どころだ。
とくにMーちゃんは今日が初めての沢登り。
インドアで懸命に練習し始めているとはいえ、屋外のクライミング経験も
まだ姫路の山神社でしかない。
それでも天性の運動神経とセンスの良さ、そして根性で、見事に攀じ登ってくる。
期待の大型新人である。
全員がアドレナリンがいっぱい出た、60分に及ぶ登攀を終え、昼食タイム。
暖かいラーメン、コーヒーなどで人心地。
後半戦は美しい渓相を楽しむ。まず斜瀑。斜めの軌跡がなんとも。
奥の二俣を過ぎ、5m滝は、2条の幅広。
そしてすぐ上部のは6m滝は、なんとも優美な、レースのカーテンのようだ。
さらにガレ場を過ぎると、一旦、水が途切れる。
岩屑の涸れ谷となるが、左右の樹林帯はトチなどの大木も多い。
やさしい黄緑色の新緑に包まれて、気分はサイコーである。
やがて再び水流が現れる。キレイな斜瀑を経て、いよいよ最後の滝。
7m、9mの連瀑だ。
ここはスタンス、ホールドとも豊富で、気持ち良い程度のシャワークライムが
楽しめる。
念のため滝頭でザイルをセットしていたら、続々と自力で上がってきた。
安心したのか、上がって休憩しているうちに、ノブちゃんの脚が攣った。
じつは序盤戦の胸まで浸かったプールの通過時にも攣っていたという。
スポーツドリンクと、ともちゃんが持参した漢方薬を飲んでもらったら、
このあと、とりあえず再発しなかった。
詰めにさしかかる。とうとう水流が消え、谷筋は浮石と倒木で
歩きにくくなった。そこで、最後の標高差100mは左岸を強引に
詰め上がった。ブッシュがないのはいいが、表土が崩れやすく、相当な傾斜はこたえた。
15:15。時間がかかったが、馬ノ鞍峰のピークに到着だ。
シャクナゲ、シロヤシオは終わりかけていたが、かろうじてまだ花がある。
ヤマツツジは満開。充実の沢登りの「ご褒美」のようだ。
しばらく休んでいたいが、時間も時間だ。
下山にかかる。尾根をたどり、1073m標高点を過ぎ、
「林道90分」の標識のところをテープに従い降りていく。
かなり滑りやすい斜面は、乾いた沢靴では尚更、難渋する。
足を取られながら、カクシ平谷へと下りる。
三之公行宮跡の到着は16:18。
Mr.Dash自身、最後の30分は左ひざがジクジク痛み出した。もう若くはない。
17:25、駐車地に到着。皆、山ノ神の祠に自然に頭が下がる。
心配していたヒルは、下山途中にMーちゃんが1匹、道の脇で
うにょうにょしているのを見つけただけで、実害ゼロ。
早ければ山鳩の湯にでも寄ろうと思っていたが、こんな時間だ。
帰りは、高田の極楽湯でサッパリし、皆で夕食を囲んでフィニッシュ。
メンバーをそれぞれの都合のいい場所で下ろしながら帰途につく。
帰宅したのは22時をとうに回っていた。
ビールを飲んでバタンキューだったが、
あくる日曜日は、全身の筋肉痛に襲われた。肩、脇の下、腕、腰、臀部、太もも、
身体を動かすたびに痛い。サロンパスを大量消費する休日となった。