GIレースが無かった11月4日は、東京競馬場では古馬のハンデ重賞「アルゼンチン共和国杯」、京都競馬場ではダート重賞「みやこステークス」がありました。「ジャパンカップ」と「ジャパンカップダート」のステップレースを制し、GIに名乗りを挙げるのはどの馬か?
東京メイン・第50回アルゼンチン共和国杯(GⅡ・芝2500m)は、15頭によって争われました。このレースには今年の春の天皇賞馬①ビートブラック、3年前の春天覇者⑬マイネルキッツ、2008年菊花賞馬⑧オウケンブルースリのGIウィナー3頭が参戦すれば、阪神大賞典でオルフェーヴルに勝った⑨ギュスターヴクライ、重賞2度目の挑戦となる④ルルーシュ、府中コースで勝利経験のある⑦ムスカテール、10歳馬⑩トウカイトリック、⑫フォゲッタブルなどが出走しました。
横一線のスタートで始まったこのレース、スタンド前での先行争いで、大外枠の⑮ミッキーペトラが鼻を奪い、2番手圏内にビートブラック・ルルーシュ・③イケドラゴンの3頭が集団を作り、マイネルキッツは中団まで押し上げ、ギュスターヴ、ブルースリなどはやや後ろの位置でゴール板を通過します。
1,2コーナーから向正面に差し掛かったところで縦長の状態となり、先頭のミッキーペトラは後続を引き離して一人旅。2番手にイケドラゴン、ルルーシュ3番手、4番手の位置にマイネルキッツとビートブラック、間に挟まれて⑥トウカイパラダイス6番手。中団より前のグループには、フォゲッタブル・③マイネルマーク・ムスカテールの3頭。中団の10番手には⑭メーヴェ、ギュスターヴクライ11番手、12番手トウカイトリックと続く。ブルースリ13番手、後方は⑤アースシンボル、⑪オーシャンブルーが最後方を追走。
3コーナーを回り、ミッキーペトラのリードが縮まり、ルルーシュ2番手、キッツ3番手浮上。フォゲッタブルも外から徐々に進出開始。ビートブラック、ムスカテール、ギュスターヴはまだ中団の位置。4コーナーから直線に入ったところで、ルルーシュが先頭に立つ。2番手からはパラダイスとルルーシュが追いかける。大外からオウケンブルースリとオーシャンブルーが追い込んでくる。先頭のルルーシュはラスト200mで一気に突き放し、ムスカテール2番手に上がるも差が縮まらず。ルルーシュは最後までトップを譲らずゴールインし、重賞初制覇を成し遂げました。
節目の50回目を迎えた伝統のハンデ重賞・アルゼンチン共和国杯は、単勝2番人気のルルーシュが最後の直線で抜け出すと、後続を引き離し、最後は2着に1馬身半差をつけて快勝しました。2着にはムスカテール、マイネルマークが3着に入り、4歳勢が上位を独占する結果となりました。春の天皇賞馬・ビートブラックは、59キロの斤量が重く圧し掛かり4着。1番人気だったギュスターヴクライは6着に終わり、レース後には右前浅屈腱不全断裂を発症していたことが判明。競走能力喪失で引退濃厚、ハーツクライ産駒の良血馬でGI制覇の期待も大きかっただけに残念な事になってしまいました。
勝ったルルーシュは、今まではマイル~中距離路線を中心に走ってきましたが、特別オープン戦の札幌日経オープン(2600m)、今回のアルゼンチン共和国杯(2500m)の長距離戦で結果を出しており、長距離の適性の高さを示しました。重賞勝ちの勢いそのままにジャパンカップに挑むことになりそう。東京コースで5戦4勝と実績もあるから、番狂わせVもあるかもしれません。
京都メイン・第3回みやこステークス(GⅢ・ダート1800m 16頭立て)は、目下ダート5連勝中の②ローマンレジェンド、ジャパンダートダービーの勝ち馬でダート戦未だ負け知らずの⑭ハタノヴァンクールが参戦。これからのダート戦線の主役を担う馬同士の直接対決に注目が集まりました。他にも2011年JDD覇者⑬グレープブランデー、昨年の3着馬⑧ニホンピロアワーズ、レパードステークスを勝った⑥ホッコータルマエ、シリウスステークス覇者⑫ナイスミーチューが出走しました。
スタートはややばらつきがあり、先行争いでホッコータルマエが先手を取り、⑪ヒラボクキング、ニホンピロアワーズが2番手を争う。ローマンレジェンドは前から8番目、ハタノヴァンクールは11番手でゴール板を通過。1コーナーを回ったところで①サンライズモールが先頭に立ち、2番手⑨フサイチセブン、ニホンピロアワーズとヒラボクキングが3番手並走、ホッコータルマエ5番手。6番手のところにグレープブランデー、その内側にローマンレジェンド。8番手に⑮メイショウエバモア。9番手集団の中に④グラツィア、⑩オースミイチバン、ヴァンクールは11番手ぐらいか?ナイスミーチュー12番手。他にも③タガノロックオンもいる。後方2番手に⑯ファリダット、最後方⑦リバティバランスと言う展開。
3コーナーを回り、残り600mを切ってもまだサンライズモールが先頭。アワーズが3番手に上がり、タルマエも4番手に進出。レジェンドはまだ内側、ハタノヴァンクールは外に持ち出した。4コーナーから直線に差し掛かり、ニホンピロアワーズがわずかに先頭に立つが、フサイチセブン、ホッコータルマエ、外からグレープブランデー、ローマンレジェンも加わり、先頭争いは大激戦。ヴァンクールは全然来ない!ラスト200~100mのところで、ローマンレジェンドがアワーズとタルマエの間に入り、ゴール前でわずかに前に出てゴール!苦しみながらも最後は勝利をもぎ取り、連勝を6に伸ばしました!
激しい先頭争いが繰り広げたみやこステークスは、ローマンレジェンドがニホンピロアワーズ、ホッコータルマエとの競り合いを制し優勝。前走のエルムステークスに続く重賞2連勝、そして自身6連勝達成!道中は中団より前の位置で進め、直線では前が塞がって抜け出すのに一苦労する場面もありましたが、ゴール前で間を割って突き差しました。連勝ストップのピンチかと思ったら、最後は執念で勝ちとりましたねえ。もう1頭の注目馬、ハタノヴァンクールは直線で伸びを欠いて10着という結果に終わりました。3か月の休み明けが響いたか?初めての古馬相手のレースでダート初黒星、この挫折を糧に更に強くなってもらいたい。
6連勝と快進撃が続くローマンレジェンドは、昨年5月に初ダートの未勝利戦で勝利を飾り、12月25日の赤穂特別から連勝が始まり、ジュライステークスでは2着に6馬身差の圧勝をつけ、エルムステークスではエスポワールシチーとの叩き合いを制して重賞初勝利。今回はこれまでに比べて辛勝でしたが、強さは変わらず。12月2日のジャパンカップダートでは、優勝候補の最有力と言われるでしょう。7連勝で一気にGI制覇、混迷のダート界の頂点に立つ事ができるでしょうか?
来週・11月11日は、京都競馬場で牝馬日本一を決める「エリザベス女王杯」が行われます。一昨年、昨年とフランスの最強牝馬・スノーフェアリーが連覇を達成しましたが、今年は外国馬の参戦はありません。今年の牝馬3冠レースで全て2着に終わったヴィルシーナ、札幌記念で牡馬に勝ったフミノイマージン、ヴィクトリアマイルを勝ったホエールキャプチャ、府中牝馬ステークス覇者・マイネイザベル、他にも2011年オークス馬のエリンコート、アカンサス、オールザットジャズなどが出走登録しています。エリザベス女王即位60周年の今年、牝馬№1の座に輝くのは?