かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 358

2024-12-13 14:26:49 | 短歌の鑑賞

  2024年度版 渡辺松男研究43(2016年10月実施)               
    【半眼】P146~『寒気氾濫』(1997年)
     参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、            
           渡部慧子、鹿取未放  

     レポーター:泉 真帆      司会と記録:鹿取 未放          


358 口中に咽飴まろくとけてゆきわがうつそみはうつそみを恋う

           (レポート)
 樹々に春が来るように、作者のうつしみにも春の気分がやって来た。口の中に咽飴をころがしながら溶かし舐めていると、甘味とともに現世に生きるわが身体が異性の身体を恋いはじめた。春のめざめの一首だろう。(真帆)                                 
      
           (当日意見)
★私は、あまり身体とか肉体を求めるという感じはしなくて、この世

 にある私が同じこの世にある別 の人を思うというふうに取りまし

 た。喉飴を舐めてほっこりとした気分で、生きてる自分が他の生

 きてる温みを求めている感じ。(鹿取)
★喉飴を舐めるということは何か引っかかりがある訳ですよね、それ

 が解消された。(M・S)
★誰がとか誰をとかではなくて、現実を現実として受け入れますよ

 ということ。感覚として喉飴が口 の中にあるということは現実を

 そんなふうにして味わっているわけです。だからもっと広いんです

 よ。(鈴木)

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