2024年度版 渡辺松男研究43(2016年10月実施)
【半眼】P146~『寒気氾濫』(1997年)
参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、
渡部慧子、鹿取未放
レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放
358 口中に咽飴まろくとけてゆきわがうつそみはうつそみを恋う
(レポート)
樹々に春が来るように、作者のうつしみにも春の気分がやって来た。口の中に咽飴をころがしながら溶かし舐めていると、甘味とともに現世に生きるわが身体が異性の身体を恋いはじめた。春のめざめの一首だろう。(真帆)
(当日意見)
★私は、あまり身体とか肉体を求めるという感じはしなくて、この世
にある私が同じこの世にある別 の人を思うというふうに取りまし
た。喉飴を舐めてほっこりとした気分で、生きてる自分が他の生
きてる温みを求めている感じ。(鹿取)
★喉飴を舐めるということは何か引っかかりがある訳ですよね、それ
が解消された。(M・S)
★誰がとか誰をとかではなくて、現実を現実として受け入れますよ
ということ。感覚として喉飴が口 の中にあるということは現実を
そんなふうにして味わっているわけです。だからもっと広いんです
よ。(鈴木)
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