かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 349 

2024-11-23 11:59:31 | 短歌の鑑賞
  
        「短歌と書」展より
  かあさんは手紙ひらけばそこに在る夕枯野よりやって来るひと  渡辺松男

 2024年度版 渡辺松男研究42(2016年9月実施)
    『寒気氾濫』(1997年)【明快なる樹々】P143~
     参加者:M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:鈴木 良明    司会と記録:鹿取 未放


349 春さむき大空へ太き根のごとく公孫樹の一枝一枝のちから

      (レポート)
 公孫樹の枝は、欅の繊細な枝などとは異なり、幹からいきなり太い枝を差し出す。まだ寒さの残る春に、そのような公孫樹の裸木が大空に向かって「太き根のごとく」 枝を差し出している姿を目にして、公孫樹の「一枝一枝」のみなぎる「ちから」を作者は感じているのだ。(鈴木)


     (当日意見)
★大空に向かって根のような枝が伸びるのが面白い。(曽我)
★「一枝一枝」の部分をレポーターの鈴木さんは「ひとえだひとえだ」 と読まれました
 が、私は「いっしいっし」 と読みました。ルビは振られていないのですが、「いっし
 いっし」 の方が音数に収まるし、枝の伸びる力強さが出るように思います。(鹿取)

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