かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 1の37

2020-06-10 17:05:11 | 短歌の鑑賞
    改訂版渡辺松男研究4【地下に還せり】(13年4月実施)
      『寒気氾濫』(1997年)12~
      参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、鹿取未放
       司会と記録:鹿取 未放(再構成版)

              
37 榛の木に花咲き春はきたるらし木に向かい吾(あ)はすこしく吃る

 ★榛の木、花、春とハ音の頭韻が明るい気分を醸し出している。また、松男さん
  は慣用語をほとんど用いていないし、用いるときはひねっている。この歌も結
  句が慣用句から逸れて魅力的。榛の木に向かってたじたじとなりながら嬉しが
  っている気分がよく出ている。(鹿取)
 ★木に花咲きの歌を思い出した。(鈴木)
 ★前田夕暮の「木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな」
  ですよね。私もあの歌ういういしくて大好きですけど、夕暮は後にこの妻と離
  婚しているんですよね。歌った時は心からこう思っていたろうに、哀しいです
  ね。松男さんのこの歌、樹を愛している気分が暖かく伝わって来ます。(鹿取)
 ★なんか恋みたいですね。(曽我)
 ★でも榛の木ってそんなにきれいじゃないんだよね。春早く咲くらしいから群馬
  で育った人はこの樹に花が咲くと春が来たんだって嬉しいんだろうねえ。
  (鈴木)

 

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