2023年度版 渡辺松男研究3
(13年3月)【地下に還せり】
『寒気氾濫』(1997年)12~
参加者:崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
司会と記録:鹿取 未放
20 魔女狩りを支持せしフランシス・ベーコン魔女狩りは今の何に当たるや
(当日意見)
★日本にあまり魔女狩り的なものは無いのでは。(曽我)
★血祭りにはあげなくても黙らせられることはけっこうある。新聞
など読んでいる と。職場でいじめられて死んでいく人もけっこ
ういる。(崎尾)
★魔女というのはちょっと違って普通の人じゃないでしょ。(曽我)
★まあ、建前はそうですが実は為政者にとっての邪魔者などを魔女
と称して火あぶりなどにしていたわけで、もともと「普通の人
じゃない」本当の魔女なんっていないんじゃないの。(鹿取)
★魔女狩りは十四世紀から十八世紀にかけて行われた。魔女狩りの
起源については、キリスト教の指導者が異端者をみせしめにして
協会内の結束をはかったという見方もあるし、いや民衆の間から
自然発生的に出てきたのだという見方もあり様々。フランシス・
ベーコンは十六世紀から十七世紀の人。哲学者であってせいかい
でも出世、なかなかの策士家のようにも思われる。ベーコンに対
して帰納法や「知は力なり」くらいしか私は学んだことがなかっ
たが、人間は自然の征服者であるべきだと説くあたり、松男さん
とは対極の考え方の持ち主のようだ。そのベーコンが魔女狩りを
支持したことがあったという歌。哲学者にしてそういう陰謀を支
持したことに震撼させられるが、かなり老獪な政治家だったよう
だ。今ならこの魔女狩りは何にあたるんだろうねえと疑問の形で
歌は終わっている。しかし、似たようなことは今でもたくさん行
われていて、周囲でも、政治の世界でも見聞きして作者はそれら
に密かに憤っているのかもしれない。それにしても、潤いある心
地よい月光や樹の瞑想の後に、いきなりこの異質な魔女狩りの歌
が出てきてびっくりさせられる。この歌から遡って読むと、風切
り羽をつくろう鳥も、倒されるまで瞑想している樹も、凍天に鑿
を打つ杉も、あるいは何か寓意があると読むことも可能かもしれ
ない。(鹿取)、
(13年3月)【地下に還せり】
『寒気氾濫』(1997年)12~
参加者:崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
司会と記録:鹿取 未放
20 魔女狩りを支持せしフランシス・ベーコン魔女狩りは今の何に当たるや
(当日意見)
★日本にあまり魔女狩り的なものは無いのでは。(曽我)
★血祭りにはあげなくても黙らせられることはけっこうある。新聞
など読んでいる と。職場でいじめられて死んでいく人もけっこ
ういる。(崎尾)
★魔女というのはちょっと違って普通の人じゃないでしょ。(曽我)
★まあ、建前はそうですが実は為政者にとっての邪魔者などを魔女
と称して火あぶりなどにしていたわけで、もともと「普通の人
じゃない」本当の魔女なんっていないんじゃないの。(鹿取)
★魔女狩りは十四世紀から十八世紀にかけて行われた。魔女狩りの
起源については、キリスト教の指導者が異端者をみせしめにして
協会内の結束をはかったという見方もあるし、いや民衆の間から
自然発生的に出てきたのだという見方もあり様々。フランシス・
ベーコンは十六世紀から十七世紀の人。哲学者であってせいかい
でも出世、なかなかの策士家のようにも思われる。ベーコンに対
して帰納法や「知は力なり」くらいしか私は学んだことがなかっ
たが、人間は自然の征服者であるべきだと説くあたり、松男さん
とは対極の考え方の持ち主のようだ。そのベーコンが魔女狩りを
支持したことがあったという歌。哲学者にしてそういう陰謀を支
持したことに震撼させられるが、かなり老獪な政治家だったよう
だ。今ならこの魔女狩りは何にあたるんだろうねえと疑問の形で
歌は終わっている。しかし、似たようなことは今でもたくさん行
われていて、周囲でも、政治の世界でも見聞きして作者はそれら
に密かに憤っているのかもしれない。それにしても、潤いある心
地よい月光や樹の瞑想の後に、いきなりこの異質な魔女狩りの歌
が出てきてびっくりさせられる。この歌から遡って読むと、風切
り羽をつくろう鳥も、倒されるまで瞑想している樹も、凍天に鑿
を打つ杉も、あるいは何か寓意があると読むことも可能かもしれ
ない。(鹿取)、
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