かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 54 中欧 391

2022-07-02 12:23:55 | 短歌の鑑賞
 22年版 馬場あき子の外国詠54(2012年7月実施)
   【中欧を行く 虹】『世紀』(2001年刊)P109~
     参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、T・H、
         渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:藤本満須子 司会と記録:鹿取 未放


391 ウィーンの秋オペラ座に「エレクトラ」観んとして正装す日本の帯を締めたり

     (レポート)
 秋のウィーン、古都ウィーンの秋ときただけで十分に旅愁を誘われる。音楽の都ウィーンのオペラ座に正装して「エレクトラ」を観た。結句の「日本の帯を締めたり」に作者の意気込みが感じられる。演目がギリシャ神話に材を採った「エレクトラ」であることも、作者の昂揚した気分を十分に表現している。(藤本)
  エレクトラ:ホフマンスタールの戯曲、リヒャルトシュトラウス作曲の楽劇。ギリシャ
        神話中の女性エレクトラが父の仇を討つというストーリーだ。エレクトラ
        の母であるクリュタイムネストラがその情人アイギストを使って父アガメ
        ムノンを殺す。弟オレストスが母とアイギストを殺し父の仇を討つ。すで
        にギリシャの三詩人により劇化、二時間一幕。

      (当日意見)
★別のところでこの折の事を先生が話された。一級のものを鑑賞する時にはこちらも正装し
 なければならないと。(藤本)
★正装だから紋付きの訪問着に重厚な袋帯を締められたのでしょうね。「エレクトラ」を観
 ることがこの旅の目的の一つだったようだから、心意気が伺える。(鹿取)
★ロビーに正装して一団が集結した(藤本談)というところに、先生の勝ち気なところが表
 れている。(慧子)
★「正装す」と切れているのはなぜか?(T・H)
★四句めが句割れになって、その前半で切れている複雑な形。このような切れは力強い切れ
 で、この後に新たに言い起こし、歌全体がうねるような形になる。力強い歌なので、迫力
 で読ませてしまうが、実はものすごい字余りの歌だ。切れ目も難しい。斜線「/」で切れ
 を示すと6・10・5・9・7音。二句め十音の部分に句割れが、四句め九音は三句めか
 らの句跨りがあって、さらに句割れになっている。(鹿取)
   ウィーンの秋/オペラ座に「エレクトラ」/観んとして/正装す日本の/帯を締めたり




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