DayDreamNote by星玉

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えんぴつの希望_160412

2016年04月12日 | 創作帳
ある時、とつぜん、
えんぴつは、字や絵が書けなくなりました。

えんぴつは、おろおろと、かなしみました。

「どうしよう。どうしたらいいんだ。
 書けないえんぴつはえんぴつではないではないか。
 どうしたら、もとのふつうのえんぴつみたいに、書けるえんぴつになれるんだ。
 自分は、えんぴつとして、えんぴつであるために、やらなければならないことが、
 まだまだ足りないから、こんなふうになってしまったのだろうか」

えんぴつは、えんぴつだけが描ける希望や夢があるのだと、ずっと信じていました。
その希望や夢を消さないようにと

(どうしたらいいかやり方もわからないので思いつくままに)

ある時は
からだにぎゅうきゅうチカラを入れてみたり
ある時は
冷たい水や熱い湯の中に身を投げてみたり
ある時は
からだぜんぶを、壁や床や机にたたきつけてみたり
ある時は
細いからだを、さらに削って細くしてみたり

そんなことを、やっているうちに、
えんぴつは、書けるえんぴつになるのが、
えんぴつの、希望なのか、反対に、疲れ果てて希望を失うことなのか、
さっぱり、わからなくなりました。


いまだにえんぴつには
わからないままです。

わからないまま、えんぴつは
このままえんぴつにもわからないどこかに
行こうとして
そして、そのことが希望なのか絶望なのかを判断しまうのは
ひどく無意味な気もして
筆箱を出たり入ったりしています。









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