De cela

あれからいろいろ、昔のアルバムから新しい発見まで

環境講座・江成常夫

2016-12-18 23:27:18 | 環境

市民のための環境講座で写真家江成常夫氏の講演を聴いた。
思いもよらず氏の反骨精神に触れた
ワタシより4年年上。もはや怖いものはないに違いない。
彼の講演をこのように受け止めた。

 経済優先の世の中を生き抜いた。水郷田名の貧乏な百姓で、勉強よりは親の手伝いに明け暮れた幼少時代から経済成長とその歪みの中で豊かになる一方で自然は破壊され環境は犠牲にされた。

 毎日新聞社に就職し写真家となったが、間もなく新聞社をやめプロの写真家の道を進んだ。その時代の矛盾を映像で社会に訴えるために。
多摩川の荒廃ぶりを70年から撮りつづけ、写真集の出版もした。アメリカにわたって戦争花嫁のその後の生活を追った。旧満州で日本の犯した罪の痕跡を探し出した。南方の島々に渡って日本人の苦痛の敗走の痕跡も撮った。広島もしかり。過ちの歴史を知らせるためである。

 この罪や間違いは戦後も行われた。経済成長優先でひどい環境破壊を繰り返し、日本の自然を一時荒廃させた。多摩川の荒廃もそうであるが日本中のあらゆる場面で健康をむしばむ人災が繰り返され、豊かな自然は次々と壊されてきた。それに気が付いた我々は環境問題にも取り組み、その知恵と努力でいくつかは見違えるほど回復してきている。

 しかし、その一方でいまだに修復不能な環境破壊も続けている。経済成長を優先して。そしてその罪の深さに気づいてはいるが今自分に降りかかっていない問題には関心を示そうとしない。行動に起こそうとしない。

 私は60年安保闘争時代学生として東京にいた。国会周辺はすさまじいものだった。しかし、今の隣国韓国の大統領弾劾デモの動員数はそれをはるかに上回り長期化している。彼らの主張を詳しく知るわけではないが政府の行動が間違っていると知れば国民はあれほどまでに直接の声を上げる。今の日本人にはそれほどの勇気も覇気もない。
東京電力の原発事故という環境修復にとてつもなく金がかかり、日本の国土の中に人が住むことができない広い地域を作ってしまった。そんな環境破壊が目の前で起こっているのに経済優先で国民は原発の再稼働を許してしまった。

 写真は動かぬ証拠を後世に残してくれる。写真というテクニックはその罪を後世に記録として残し、反省材料に使ってもらうことに役立つ。