背の光る海猿たちのシャワーかな
化石逝く砂の器を野馬として
亀鳴くを聞いていたはず星の砂 (火)
犬ふぐり器用に踏まぬが猫の道 (猫写俳コラボ みのさん)
ライブ感みななびかせて麦嵐
口角のあがりくちびる蛇苺
もののけや吾をさがしにゆく青野
放生の真中の空や五月富士
はればれとけふは若葉をてんぷらに
卑の麦へ風吹き過ぎて戻りけり
火の中の黒穂となるも香ばしき (まつやま 人)
うつかりと振つてしまふ尾猫の夫 (猫写俳コラボ みのさん)
猫の妻ふり向かずする生返事 (猫写俳コラボ 芯さん)
重力に負けぬ風力ハンモック
楽しまぬ日にはよく出る守宮かな (まつやま 人)
サーファーの簡易シャワーが四駆から
猫として突張っていくのも疲れる (猫写俳コラボ みのさん)
目の位置に猫の顔あり舐められる (猫写俳コラボ 芯さん)
翻弄のきわみに咲きし牡丹かな
源流の近くに菫咲くことも
母の日の音沙汰無くて涼しけり
この国に億の患(うれ)ひや風車
籐椅子やさしもの父に日暮きて (まつやま 地)
しょうもない電話だ籐椅子のきしみ (まつやま 人)
鈴懸の花遠く遠くふり向かず (水)
麦の穂をすらりと抜いて見せにけり
墓碑銘に「愛」の一文字見てしより
訃報てふ最後の別れライラック
とぼけるとぼけるは違ふ目借時
愁ひとはむらさき明りライラック (まつやま 人)
濃山吹寡黙で通す修司の忌
盛んなる花を離れて水芭蕉
糸遊のひしめき忽然墓石群 (金)
何者か抜け出てゆける花溜り