こないだ自選短編集を読んだ流れで、初期の作品集を読んでみることに。
わたしにはどうも初期作品の方が好みに合っているように思います。
こちら内容紹介。
大江健三郎の初期作品には動物が登場するのが特徴です。それに対し、動物と人間の対比を漠然と考えていただけなのですが、三島由紀夫が、「裸体と衣装」のなかで動物文学とカテゴライズし、この頃の大江作品に触れていました。
動物からも、そして人間からも政治概念、個性概念を取り去り、動物と人間の両者を一般概念として等しい立場に置く事により、死の概念、色欲的概念の権化としているサディスティックな手法、というような解説をしていました。そこには、一般概念に近づくほどエロティックであるという前提があります。動物が登場するが、アニミズムからはもっとも遠い位置にある文学と評しています。
サディスティックの概念についてはいまいちピンとこない私ではありますが、それまでは、「鳩」を読んでも、わたしには内向的な少年の秘密主義を描いたくらいにしか感じられなかったので、「裸体と衣装」と読んでいるときに「鳩」含め大江作品に登場する動物の話が出たのは偶然ながら、三島の評論に感嘆した次第です。あらためて「飼育」を読み直してもなるほどと思いました。
こちら目次。
初出一覧がないですが、「鳩」は昭和33年3月に文學界、最後の「下降生活者」は昭和35年11月に群像、といったところです。
著者プロファイル。
こちら書誌事項。
短篇ばかり読んでいるので、次は長編を読んでみたいところですが、この文体で長編となると読むのに苦労しそうだなぁ、、、
p.s. 原稿かけた。
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