
今回のお芝居、アリベールってフランスの作家?海外作品の物語も初めてだし、出演者も青年座からゲスト出演があったりと、リトルシアターではかなり異色の作品。だが、浅草と言う街はそういう洋モノもどんどん吸収してきた街、違和感はない。
タイトルの通り不条理なお話、とある迷路のような庭に紛れ込み、誰も真実を語らない虚構の人々と色々あった挙げ句、死刑になってしまうお話。そのむちゃくちゃさは笑えるところも多々ありながら、その一方でこれに近い不条理な運命を経験した人間には身につまされるものがある。ウソじゃなくても、人それぞれの意見は食い違うものなので、それに振り回されて道を見失うのは確かに不条理でありながらこの世の真実。
そんな中で、牧瀬さんの妖艶な踊りとエイコさんの三味線がこの大人のおとぎ話にえもいわれぬ味わい深さを与えてくれる。牧瀬さんの舞いを見て、Lindsey Kemp Companyのシュールレアリスティックな舞踏劇を連想した、と言ったら誉めすぎだろうか。
終演後、牧瀬さんとお話。そう言えば、若松劇場もひっそりと終わりを告げ、千葉県の劇場がすべて消えてしまったこともまたなんとも言えない不条理だ。そんな寂しさを抱えながらリトルシアターをあとにした。