冥土の旅を前に〝作り残し“に苦しむだろう。と長年ウンザリしてきた。それに対処するため変化を続け、これが出来ていなかった先週、昨日にさえ戻りたくないよう心がけてきた。結果的に一休和尚のおかげといって良い。そんな時〝死にとうない”と美女の膝枕を涙で濡らす和尚を作ろうと思った、というのが何だか可笑しい。一休の首を横にして眺めると、すでにそう見える。 長い間男ばかり作ってきたが、一休という人物、シャレコウベ掲げて歩いて良し、女の膝枕を涙で濡らして良し、男の種々相を描くには最適な人物といえそうである。ただし食わせ者の和尚に乗っかって、陰中より水仙花の香り、などと調子に乗るのは禁物である。うかつに手を出すと巴投げを食いそうである。
膝枕でなく手のひらだが。