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【ルート6、イーストハイム】エドワード・ホッパー
スノー夫人やジョン・ペンデルトン、またポール・フォード牧師だけでなく、パレアナはベルデングスヴィルの町の人々に、彼女とお父さんの<喜びのゲーム>のことを広めていました。
けれども、とうとう――パレアナ自身に、何をもってしても『喜べない』事態が訪れてしまいます。
それは交通事故でした。
パレアナは道路を渡ろうとしていた時に、道の向こうからやってきた自動車に轢き逃げされてしまったのです。
幸い、命のほうに危険のあるような状態ではありませんでしたが、その後いくらしてもパレアナの両足は動かないままでした。
>>広間では二人の医師と看護婦とパレーが立ち話をしておりました。パレアナの部屋ではベッドに飛び上がったフラフィがうれしそうにニャオニャオ鳴いておりましたが、そのとき、半開きのドアからはっきりパレー叔母さんの身も世もない悲痛な叫びが鋭く響いてきました。
「それだけは!先生、それだけは!まさか――あの子が――二度と歩けないとおっしゃるのではございますまい!」
それから、大混乱になりました。まず、寝室から「叔母さん――叔母さん!」という、おびえきったパレアナの叫びが聞こえました。それから、ドアが開いているのを見て、自分の言ったことが聞かれたことを悟ったパレーが低いうめき声をもらしたかと思うと――生まれてはじめて気を失ってしまいました。
【中略】
「ハントさん、お聞きになったのね!ほんとなんだわ!おお、ほんとじゃないわよ!まさか、あたしが――二度と歩けないなんて!」
「さあ、さあ、お嬢さま、お願いですから、お願いですから!」
看護婦はのどを詰まらせました。
「きっと、お医者さまにはおわかりにならなかったのですよ。きっと、お医者さまがまちがっていらっしゃるんですよ。いろいろなことが起こりましたものね」
「でも、叔母さんはミード先生ならおわかりになるとおっしゃったわ!あたしのような――折れた足のことなら、ほかのだれよりもよくおわかりになると、叔母さんはおっしゃったわ!」
「そうですとも、そうですとも、わたしも存じておりますよ、お嬢さま。でも、どのお医者さまでもときにまちがうこともおありなのです。どうか――どうか、そんなことはもうお考えにならないでくださいな――お願いですから、お嬢さま」
パレアナは狂気のように腕を振りあげました。
「でも、考えずにはいられないわ」
と、むせび泣きました。
「いま、考えることはそのことだけですもの。だって、ハントさん、どうして学校へいくの?ペンデルトンさんや、スノーさんや――だれにでも、どんなにして会いにいくの?」
パレアナは息をとめ、しばらくはげしく泣きました。不意に泣くのをやめたかと思うと、あらたな恐怖を目に浮かべて見上げました。
「あら、ハントさん、もし、歩けないとすると、喜ぶことが――なにを喜んだらいいのかしら?」
(第二十六章『開いていたドア』)
かつてパレアナは、ずっとベッドの上にいるしかないスノー夫人に対して、「他の人が自分のようでないことを喜べる」といったように言いました。
もちろん、この箇所を読む時、おそらく誰もがパレアナのような子供であればこそ口にしても許される言葉であるように感じるでしょう。そして、(この子はまだきっと世慣れてなくて、人生の暗い側面についてよく知らないのだ)と、そう思って微笑むことも出来るかもしれません。
けれど、パレアナは言います。スノー夫人とまったく同じように、ベッドの上にいるしかない身になってみて初めて――「人にそう言うのと自分が同じようになるのとは全然違う」ということを……。
パレアナは元来が性質の明るい子供です。そしてずっと、貧しくお母さんがいない中でも小さなことの中に喜びを見つけて生きてきたような子でした。けれどとうとうそんな彼女にも――運命の無慈悲な、絶望という名の鉄槌が下ったかのようでした。
これは物語の中にそういう描写があるわけではないのですが、「ああ、神さま。どうして。何故なの!?」、「わたしが一体どんな悪いことをしたというのでしょう、神さま?」と、夜毎パレアナが床の中で泣いていたとしても、まったく不思議はなかったでしょう。
足が動かなくなってからも、パレアナの<喜びの遊び>は続いていました。たとえば、パレーおばさんがしょっちゅう自分に対して「いい子や」と言ってくれることを嬉しがったり、足が治ればまた学校へ行ったり、スノーさんやペンデルトンおじさまの家を訪ねたりできると想像したり……けれど、「一生歩けない」という医師の最終的診断が下ってからは、流石のパレアナにももう喜べることが何も見つかりそうにありませんでした。
けれどその後、パレアナがせっせと蒔いた<喜びの種>から花が咲いたと知らせる人々が――次から次へとハリントン家には訪れたのです。まず最初にやって来たのはジョン・ペンデルトンでした。彼はパレアナの足が動かなくなり、「喜べることが何もない」と失望していると聞き、孤児のジミー・ビーンを引き取ることにしたとパレーに伝えます。
かつて自分が愛した女性の忘れ形見が、あの明るい天真爛漫な子が、もう一度少しでも喜んでくれるなら、ペンデルトンはどんなことでもしようという気持ちだったに違いありません。
それから次に、スノー夫人の娘のミリーがやって来て、パレーおばさんにこう言いました。「パレアナさんがあたしたちにどんなことをしてくださったか……そのお陰で母も変わりましたし、わたしも変わりました」、そして「母は今では日除けを上げて部屋を明るくしていますし、市場や病院向けの小さい編み物をはじめてもいます。それに、自分がそうしたことを出来るのを喜んでもいます」と……。
これと似たことを言ったのは、スノー夫人の娘のミリーだけではありませんでした。その後、ベントン夫人という未亡人の女性がやって来て、黒い服ばかり着ている彼女に何か色ものの服を着るようにとパレアナがすすめてくれたということや、ターベル夫人という女性が「パレアナお嬢さまに、どんなに慰められたか」と伝えに来たりしました。また、さらにはトム・ペイソン夫人などは、自分たちはパレアナお嬢さんのお陰で離婚するところを救われたといったような話までして帰っていったのです。
パレー叔母さんは当然のことながら驚きました。そしてみながみな、例の<遊び>といったことや、お嬢さんにどんなに感謝しているか、そのことをどうかお伝えくださいまし……といったように口を揃えていたのですから。もちろんパレアナはこうした<喜びの報せ>を喜びました。けれど、この訳についてさらによく知りたかったパレー叔母さんは、ナンシーを呼びつけて詳しいところを聞き出そうとします。
というのも、引き取られた最初の頃、『自分の前でお父さんの話はしないように』と言いつけられていたせいで、誰よりも一番に<喜びの遊び>のことを伝えたかったパレー叔母さんに、パレアナはそのことを詳しく話す機会がなかったからでした。
>>「いの一番にパレアナさまは奥さまに話したがんなすったんです」
ナンシーは少しふるえる声で続けました。
「だれか、この遊びをいっしょにする人が欲しくていなすったんです。それでわたしが始めたわけです――パレアナさまのお相手になるようにと思いまして」
「それで――それで――こういうほかの人たちは?」
いまではパレーの声はふるえていました。
「いまじゃ、ほとんどみんな知ってるらしいですよ。とにかく、どこへいっても聞くところじゃ、知っていると思いますね。むろん、パレアナさまもずいぶんと話しなさいましたし、その人たちがほかの者に話したんです。ひろまりだすと、どんどんひろまるものですからね。それに、パレアナさまがいつもにこにこ笑って、だれでも気持ちよくしてなすって――しじゅう、ただ、喜んでなさるもんで、どちらにしても、知れずにはいないわけです。それが、パレアナさまが怪我をなさったもんで、みんなせつながってるんです――あの方がなにも喜ぶことが見つからなくてつらがってなさると聞いた時には、ことに、せつながりました。それで、みんな毎日やってきては、少しでも役に立てばと思い、パレアナさまがどんなに自分たちを喜ばせてくれたか話していくのです。パレアナさまはいつもみんなに自分といっしょに遊びをさせたがってなすったですからね」
(第二十八章「『遊び』と『遊び』をする人たち」より)
ナンシーから事の詳細を聞くに及んで、ようやくパレー叔母さんは事の次第といったものを理解しました。そしてパレアナに伝えるのです。「これからわたしもその遊びをするつもり」だということを……。
>>「あら、叔母さん、叔母さんは――まるで知っていらっしゃるようだわ――遊びのことを知っていらっしゃるの、叔母さん?」
「ええ、知ってますよ」
叔母さんは明るい、当たり前だという声をだそうと苦心しました。
「ナンシーに聞いたのだよ。すばらしい遊びだと思うよ。わたしもこれからやるつもりだよ――おまえといっしょにね」
「まあ、叔母さん――叔母さんが?うれしいわ!だってね、ほんとうはあたし、初めからだれよりも叔母さんにしていただきたかったんですもの」
パレー叔母さんの息づかいがちょっとばかり乱れました。声をふるわすまいとすることはなおむずかしくなりましたが、どうにかやりおおせました。
「そうですとも、パレアナや。それにほかの方もああしておおぜいいなさるしね。ねえ、パレアナ、いまでは町じゅうがおまえといっしょにその遊びをしているんじゃないかと思うよ――牧師さんまでもね!まだ、おまえに話す折がなかったけれど、けさ、村へいったとき、フォードさんにお会いしたのだよ。そうしたら、おまえがあの方に話した聖書の中の八百の喜びの句のことをまだ喜んでいるとおっしゃったよ。ほらね、それもおまえのしたことなのだよ。町じゅうがこの遊びをして、町じゅうが前よりもおどろくほど幸福になっている――これもみな、人々に新しい遊びとそのやり方を教えた、たった一人の小さな子供のおかげなのだよ」
パレアナは手をたたき、
「ああ、あたし、うれしいわ」
と叫んだかと思うと、突然、その顔にすばらしい輝きがあらわれました。
「あら、叔母さん、やっぱり、あたしにも喜べることがあるわ。とにかく、前には足があったということよ――そうでなかったら、そんなことが――とてもできなかったでしょうからね!」
(第二十八章「『遊び』と『遊び』をする人たち」より)
さあ、それでは次回でこのあらすじ記事も最終回です♪(^^)
それではまた~!!
スノー夫人やジョン・ペンデルトン、またポール・フォード牧師だけでなく、パレアナはベルデングスヴィルの町の人々に、彼女とお父さんの<喜びのゲーム>のことを広めていました。
けれども、とうとう――パレアナ自身に、何をもってしても『喜べない』事態が訪れてしまいます。
それは交通事故でした。
パレアナは道路を渡ろうとしていた時に、道の向こうからやってきた自動車に轢き逃げされてしまったのです。
幸い、命のほうに危険のあるような状態ではありませんでしたが、その後いくらしてもパレアナの両足は動かないままでした。
>>広間では二人の医師と看護婦とパレーが立ち話をしておりました。パレアナの部屋ではベッドに飛び上がったフラフィがうれしそうにニャオニャオ鳴いておりましたが、そのとき、半開きのドアからはっきりパレー叔母さんの身も世もない悲痛な叫びが鋭く響いてきました。
「それだけは!先生、それだけは!まさか――あの子が――二度と歩けないとおっしゃるのではございますまい!」
それから、大混乱になりました。まず、寝室から「叔母さん――叔母さん!」という、おびえきったパレアナの叫びが聞こえました。それから、ドアが開いているのを見て、自分の言ったことが聞かれたことを悟ったパレーが低いうめき声をもらしたかと思うと――生まれてはじめて気を失ってしまいました。
【中略】
「ハントさん、お聞きになったのね!ほんとなんだわ!おお、ほんとじゃないわよ!まさか、あたしが――二度と歩けないなんて!」
「さあ、さあ、お嬢さま、お願いですから、お願いですから!」
看護婦はのどを詰まらせました。
「きっと、お医者さまにはおわかりにならなかったのですよ。きっと、お医者さまがまちがっていらっしゃるんですよ。いろいろなことが起こりましたものね」
「でも、叔母さんはミード先生ならおわかりになるとおっしゃったわ!あたしのような――折れた足のことなら、ほかのだれよりもよくおわかりになると、叔母さんはおっしゃったわ!」
「そうですとも、そうですとも、わたしも存じておりますよ、お嬢さま。でも、どのお医者さまでもときにまちがうこともおありなのです。どうか――どうか、そんなことはもうお考えにならないでくださいな――お願いですから、お嬢さま」
パレアナは狂気のように腕を振りあげました。
「でも、考えずにはいられないわ」
と、むせび泣きました。
「いま、考えることはそのことだけですもの。だって、ハントさん、どうして学校へいくの?ペンデルトンさんや、スノーさんや――だれにでも、どんなにして会いにいくの?」
パレアナは息をとめ、しばらくはげしく泣きました。不意に泣くのをやめたかと思うと、あらたな恐怖を目に浮かべて見上げました。
「あら、ハントさん、もし、歩けないとすると、喜ぶことが――なにを喜んだらいいのかしら?」
(第二十六章『開いていたドア』)
かつてパレアナは、ずっとベッドの上にいるしかないスノー夫人に対して、「他の人が自分のようでないことを喜べる」といったように言いました。
もちろん、この箇所を読む時、おそらく誰もがパレアナのような子供であればこそ口にしても許される言葉であるように感じるでしょう。そして、(この子はまだきっと世慣れてなくて、人生の暗い側面についてよく知らないのだ)と、そう思って微笑むことも出来るかもしれません。
けれど、パレアナは言います。スノー夫人とまったく同じように、ベッドの上にいるしかない身になってみて初めて――「人にそう言うのと自分が同じようになるのとは全然違う」ということを……。
パレアナは元来が性質の明るい子供です。そしてずっと、貧しくお母さんがいない中でも小さなことの中に喜びを見つけて生きてきたような子でした。けれどとうとうそんな彼女にも――運命の無慈悲な、絶望という名の鉄槌が下ったかのようでした。
これは物語の中にそういう描写があるわけではないのですが、「ああ、神さま。どうして。何故なの!?」、「わたしが一体どんな悪いことをしたというのでしょう、神さま?」と、夜毎パレアナが床の中で泣いていたとしても、まったく不思議はなかったでしょう。
足が動かなくなってからも、パレアナの<喜びの遊び>は続いていました。たとえば、パレーおばさんがしょっちゅう自分に対して「いい子や」と言ってくれることを嬉しがったり、足が治ればまた学校へ行ったり、スノーさんやペンデルトンおじさまの家を訪ねたりできると想像したり……けれど、「一生歩けない」という医師の最終的診断が下ってからは、流石のパレアナにももう喜べることが何も見つかりそうにありませんでした。
けれどその後、パレアナがせっせと蒔いた<喜びの種>から花が咲いたと知らせる人々が――次から次へとハリントン家には訪れたのです。まず最初にやって来たのはジョン・ペンデルトンでした。彼はパレアナの足が動かなくなり、「喜べることが何もない」と失望していると聞き、孤児のジミー・ビーンを引き取ることにしたとパレーに伝えます。
かつて自分が愛した女性の忘れ形見が、あの明るい天真爛漫な子が、もう一度少しでも喜んでくれるなら、ペンデルトンはどんなことでもしようという気持ちだったに違いありません。
それから次に、スノー夫人の娘のミリーがやって来て、パレーおばさんにこう言いました。「パレアナさんがあたしたちにどんなことをしてくださったか……そのお陰で母も変わりましたし、わたしも変わりました」、そして「母は今では日除けを上げて部屋を明るくしていますし、市場や病院向けの小さい編み物をはじめてもいます。それに、自分がそうしたことを出来るのを喜んでもいます」と……。
これと似たことを言ったのは、スノー夫人の娘のミリーだけではありませんでした。その後、ベントン夫人という未亡人の女性がやって来て、黒い服ばかり着ている彼女に何か色ものの服を着るようにとパレアナがすすめてくれたということや、ターベル夫人という女性が「パレアナお嬢さまに、どんなに慰められたか」と伝えに来たりしました。また、さらにはトム・ペイソン夫人などは、自分たちはパレアナお嬢さんのお陰で離婚するところを救われたといったような話までして帰っていったのです。
パレー叔母さんは当然のことながら驚きました。そしてみながみな、例の<遊び>といったことや、お嬢さんにどんなに感謝しているか、そのことをどうかお伝えくださいまし……といったように口を揃えていたのですから。もちろんパレアナはこうした<喜びの報せ>を喜びました。けれど、この訳についてさらによく知りたかったパレー叔母さんは、ナンシーを呼びつけて詳しいところを聞き出そうとします。
というのも、引き取られた最初の頃、『自分の前でお父さんの話はしないように』と言いつけられていたせいで、誰よりも一番に<喜びの遊び>のことを伝えたかったパレー叔母さんに、パレアナはそのことを詳しく話す機会がなかったからでした。
>>「いの一番にパレアナさまは奥さまに話したがんなすったんです」
ナンシーは少しふるえる声で続けました。
「だれか、この遊びをいっしょにする人が欲しくていなすったんです。それでわたしが始めたわけです――パレアナさまのお相手になるようにと思いまして」
「それで――それで――こういうほかの人たちは?」
いまではパレーの声はふるえていました。
「いまじゃ、ほとんどみんな知ってるらしいですよ。とにかく、どこへいっても聞くところじゃ、知っていると思いますね。むろん、パレアナさまもずいぶんと話しなさいましたし、その人たちがほかの者に話したんです。ひろまりだすと、どんどんひろまるものですからね。それに、パレアナさまがいつもにこにこ笑って、だれでも気持ちよくしてなすって――しじゅう、ただ、喜んでなさるもんで、どちらにしても、知れずにはいないわけです。それが、パレアナさまが怪我をなさったもんで、みんなせつながってるんです――あの方がなにも喜ぶことが見つからなくてつらがってなさると聞いた時には、ことに、せつながりました。それで、みんな毎日やってきては、少しでも役に立てばと思い、パレアナさまがどんなに自分たちを喜ばせてくれたか話していくのです。パレアナさまはいつもみんなに自分といっしょに遊びをさせたがってなすったですからね」
(第二十八章「『遊び』と『遊び』をする人たち」より)
ナンシーから事の詳細を聞くに及んで、ようやくパレー叔母さんは事の次第といったものを理解しました。そしてパレアナに伝えるのです。「これからわたしもその遊びをするつもり」だということを……。
>>「あら、叔母さん、叔母さんは――まるで知っていらっしゃるようだわ――遊びのことを知っていらっしゃるの、叔母さん?」
「ええ、知ってますよ」
叔母さんは明るい、当たり前だという声をだそうと苦心しました。
「ナンシーに聞いたのだよ。すばらしい遊びだと思うよ。わたしもこれからやるつもりだよ――おまえといっしょにね」
「まあ、叔母さん――叔母さんが?うれしいわ!だってね、ほんとうはあたし、初めからだれよりも叔母さんにしていただきたかったんですもの」
パレー叔母さんの息づかいがちょっとばかり乱れました。声をふるわすまいとすることはなおむずかしくなりましたが、どうにかやりおおせました。
「そうですとも、パレアナや。それにほかの方もああしておおぜいいなさるしね。ねえ、パレアナ、いまでは町じゅうがおまえといっしょにその遊びをしているんじゃないかと思うよ――牧師さんまでもね!まだ、おまえに話す折がなかったけれど、けさ、村へいったとき、フォードさんにお会いしたのだよ。そうしたら、おまえがあの方に話した聖書の中の八百の喜びの句のことをまだ喜んでいるとおっしゃったよ。ほらね、それもおまえのしたことなのだよ。町じゅうがこの遊びをして、町じゅうが前よりもおどろくほど幸福になっている――これもみな、人々に新しい遊びとそのやり方を教えた、たった一人の小さな子供のおかげなのだよ」
パレアナは手をたたき、
「ああ、あたし、うれしいわ」
と叫んだかと思うと、突然、その顔にすばらしい輝きがあらわれました。
「あら、叔母さん、やっぱり、あたしにも喜べることがあるわ。とにかく、前には足があったということよ――そうでなかったら、そんなことが――とてもできなかったでしょうからね!」
(第二十八章「『遊び』と『遊び』をする人たち」より)
さあ、それでは次回でこのあらすじ記事も最終回です♪(^^)
それではまた~!!
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