ゆうしゃケン  小心翼翼・平々凡々

団塊世代の技術系サラリーマンだった。引退した今は妻と二人で平和な生活を願いつつ、趣味と独り言でストレス発散

山本作兵衛展

2012-02-08 15:12:32 | 屋内趣味

田川市石炭歴史博物館

 

立春も過ぎ、いよいよ春が目の前に迫ってきた。峠は越えたと思うが、あと1カ月の我慢だ。歩き始めたミイちゃんじゃないけれども、野山を駆け廻れる日を例年以上に待ち焦がれている。

<o:p></o:p> 

 さて、日曜日。妻と懸案だった田川に出かけた。世界記憶遺産で一躍有名になった山本作兵衛の原画展が中村美術館で開催されていたのだ。北九州に住みながら山本作兵衛の炭鉱画を知らず、世界記憶遺産に認められたと聞いて、我が郷土にもこのような人が居たと知って驚いたのだが、機会があればその概要を知りたいと常々思っていた。

<o:p></o:p> 

 中村美術館で新聞などの報道で見知った絵を改めて見て、その精緻と言える描写力に驚いた。炭鉱内の機械はすべて彼の記憶に基づいて描かれており、その名前や役割などが正しく紹介されていて、彼の学習意欲の高さ、記録の確かさに感銘を受けた。またそれ以上に、私が知っている以上に過酷な採炭現場と現代では考えられないくらいの彼らの身体を張っての頑張りに衝撃を受けた。

<o:p></o:p> 

子供の頃、私が住んでいた町には小倉炭鉱があって、男衆はカンテラ付きのヘルメットをかぶっていたのを覚えているし、トロッコでボタを捨てる際にその中わずかに残っている石炭を探しにバケツを持ってボタの山を掘りに行った記憶もある。だから炭鉱とは、と人並み以上に知っていると思っていたのだが、それは大きな間違いだと思い知らされた。<o:p></o:p>

 

炭坑節にも唄われた明治に建てられた耐熱レンガの大煙突。坑内の動力は蒸気機関だったので、排煙装置が必要だったとか(手前は大正期の復元された炭鉱住宅)。2,3枚目はやはり明治期の高さ40mの巻揚げ機。地下350m、2トンの石炭を地上に吊り揚げていた。

 

美術館を出たあと、次いで田川市石炭歴史博物館を訪れた。ここは三井炭鉱の跡地で、当時の機械や設備が残されており、山本作兵衛の記録も展示されていて、炭鉱文化のメッカと言えるところだ。 館内は広く、明治期から昭和期の採炭の歴史や、胸乳豊かな20代と思われる若い女性が上半身裸で働いている写真などが展示されていて見応えがあった。若い女性が腰布だけの半裸とは信じられないが、それだけ坑内が暑かったのと暗かったのだと思うが、夫婦二人の作業が普通だったと聴いてなるほどと納得した。そして屈託のない彼女達の笑顔に大いに私は勇気づけられた。彼女達の身体を張った頑張りに比べると私なんかまるで遊びだと。

 

<o:p></o:p>

<o:p>明治から昭和の工具や坑内風景が展示されていました。上半身裸の働く女性も。</o:p>

 

博物館は生憎の雨にも関わらず大勢の観光客で溢れていて、田川の最大の観光スポットとなっていた。炭坑節発祥の地という、明治期に建てられた大きな2本の煙突、地下350mまで下りているエレベータ巻揚げ機など遺構なども沢山残っていた。<o:p></o:p>

 

日頃の怠惰な生活を少しばかり省みて、知的探究心を補充した積りの私、お土産の「かんてら」というお酒を手に入れてすっかり満足。帰りに冷えた身体を温めようと福智山麓の日王の湯(ひのうのゆ)という温泉に立ち寄った。湯に浸かりながら、急激に近代化した我が国とそのエネルギー推進力に付いて思いを馳せたりした。現代に足りないもの、それは・・・など、自分自身への警鐘でもあると思ったりもした。

 

<o:p></o:p> 

コメント (16)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 停電 | トップ | 城島酒蔵開き・・・JRウオー... »
最新の画像もっと見る

16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (やまちゃん)
2012-02-08 15:32:36
炭鉱節 発祥の地 田川市ですか。
炭鉱節は盆踊りには 必ず踊りますね。
♪ あんまりエントツが高いので~
かの煙突ですか~

女性が上半身裸とは 以外でしたが それだけ過酷な労働だったのですね。
返信する
Unknown (ゆうしゃケン)
2012-02-09 09:35:53
埼玉でも炭坑節が踊られていますか。北九州では盆踊りの外にも運動会や行事などで踊っています。輪になって。振りも簡単ですぐに覚えますよね。
3K職場というのも憚れるほど過酷な環境だったようですが、昭和期以降はそれなりの収入も得ることが出来たそうです。
返信する
Unknown (★★★うーたま★★★)
2012-02-09 09:43:57
おはようございます
いつも大変お世話になっております
厳しい労働環境の中で
性別を超えて汗水流して働いていらしたことに
心打たれます

日本は鉱物が少ない今
貴重な歴史的な資料
拝見させていただき有難うございました

麻生ちゃんの炭鉱とは
また異なるものなのでしょうか。
麻生ちゃんの労働環境も
異国の方々も働き手として
扱いが過酷だったと聞きます

歴史を
ひもとく散歩道
仲の良いご夫妻で歩まれるのも
楽しみですね
返信する
Unknown (ハマナス)
2012-02-09 14:46:07
田川市は地図帳で確認しました。
炭鉱発祥の地なんですね。
北九州の炭鉱といえば、五木寛之さんの「青春の門・筑豊編」
けしてラクとは言えない生活があったことを、本を読んで想像していました。
もうずいぶん前のことで記憶も薄れてしまいました^^;
返信する
Unknown (igaiga)
2012-02-09 16:00:38
美術館・美術展いいですね~。
あたしも予定として今度の日曜日に行く予定。
見に行くことが出来たらブログアップします(^^)
こういうのを見るといつもいろいろと考えることがあるなと振り返るんですよ。
返信する
Unknown (ゆうしゃケン)
2012-02-09 21:46:15
うーたまさん
筑豊の炭鉱御三家のひとつ麻生さんは同じ筑豊ですが飯塚がメインですね。何しろ最盛期には数十か所で掘っていたのですから。炭鉱哀歌などの悲惨な状況を想い浮かべますが我が国全体が苦しんでいたのです。労働者には頑張って働くモチベーションが溢れていたようで、現在にはないことだと思います。働きたくても職が無い現在、誰が、どんな仕組みが悪いのでしょうか?
返信する
Unknown (ゆうしゃケン)
2012-02-09 21:49:36
ハマナスさん
 そうそう、青春の門の香春岳、今はもう山が半分に削られていますが田川を象徴する山です。炭鉱という最下級?の労働環境から逃げ出したいという思いは若者には溢れていたと思います。それがバイタリティ、都会にそれだけの収容力があったのでしょう。今とは雲泥の差です。
返信する
Unknown (ゆうしゃケン)
2012-02-09 21:52:03
igaigaさん
 美術館や博物館、良いでしょう? 日頃怠惰な生活していて、時々美術館に行って私も頑張っているのだと自己満足しているだけですが、私の場合は。
それでもなにがしら生活のリズムにインパクトを与えてくれるような気がします。
返信する
Unknown (★★★うーたま★★★)
2012-02-10 04:18:13
おはようございます
昨日もご訪問賜り
心から御礼申し上げます

大学を出ても就職がない昨今
ともかく知識と技術取得で
就職氷河期を乗り越えなくてはなりませんね。

貴方様のような素晴らしい指導者のもとで
学ぶことができたら
学生さんたちは最高ですね。

これからもご活躍お祈り申し上げます
返信する
Unknown (ゆうしゃケン)
2012-02-10 22:05:56
うーたまさん
 再度のコメントありがとうございます。
とても自慢できるものじゃないんですよ、私の授業は。必須科目じゃないからある程度は自由に指導できるので、それは嬉しいんですけどね。それでも最後には良かったなぁと。教職の醍醐味らしきものを感じました
返信する

コメントを投稿

屋内趣味」カテゴリの最新記事