春秋をふるわせる弦は心地良いけど、
きょうの焙煎、ちょっと深すぎるかも。
斉国の若い作曲家が古箏を弾いている。冷たい空気が和音を変調させるんだ、そう言いながら円卓に座っている白髪の老人、仮説から起きあがってきていつのまにか目を閉じてコーヒーを飲んでいる。あんた誰???わしはブッダ、孔子、ソクラテスの同時代人。友人、愛人、家人をすべて自分のせいで死なせてしまった。他国を滅ぼして自国を守ったけどたいせつな人は守れなかった。病死、自殺、毒殺、自分の死に方をひたすら隠した、撞着の人……だって。エラっそうに、春秋を震撼させる七弦の響きは心地良いけど、きょうの焙煎、ちょっと深すぎるかも。