椿峰のまち

所沢・椿峰ニュータウンでのまちから見えてくるものをお伝えするブログです。

Peace in the Middle East つづき

2016-06-08 21:40:02 | 平和を考える
馬場正人 詩集「落書抄」ゾーオン社 1988年 から

黒い箱

黒い箱(ブラックボックス)がアメリカからやって来た
スーツケースよりは小さく
アタッシュケースよりは大きい
若い海兵隊員が手に提げて
大統領と一緒に特別機でやって来た

箱の中の仕組みについてはノーコメント
ただ大統領だけが
箱の中の鍵(キイ)かボタンをどうとかすると
アメリカの潜水艦に積載された核兵器が
攻撃目標へ瞬時にして発射されるのだという

最高位の象徴が
ダイヤモンドやハンコでなく
人殺しの鍵を持った黒い箱とは
何という進歩
何という不気味さ

もしも黒い箱が
己れの魔力に魅入られて
俺は鳥威しの空鉄砲ではないぞ
見せかけの案山子ではないと
力を誇示する意思を持ったらどうなるというのだ

時を同じくして北の厚い雲の下の首都では
今年も人殺しの道具を数多取り揃え
ピカピカに磨きあげて
「どうだ参ったか」「参ったろう」とばかり
続々とパレードに繰り出している

前の大戦が終ってすでに四十年
人はただ人殺しの腕力を磨くだけに
精魂を傾けて来たのだろうか
発生以来、人類は殺し合うために生存して来た生物に過ぎないので
あろうか

欲望無限 無常迅速

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この詩の初出は、詩誌「風」90号 昭和59年(1984年)とのことです。

戦後、日本は平和の伝道師という役目をほんとうに果たしてきたのか、という思いがします。







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