Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

伊万里 色絵 魚文瓶

2020年11月13日 13時59分44秒 | 古伊万里

 今回は、「伊万里 色絵 魚文瓶」の紹介です。

 この魚文瓶は、昭和58年に(今から37年前に)、馴染みの骨董屋さんからプレゼントされたものです。

 もっとも、プレゼントされたといっても、見てのとおり、本体は大きく三つに割れ、口縁の三分の二ほどは欠けて失われ、まさに陶片状態のものです。こんな状態のものですから、プレゼントする側にしても、「こんな陶片状態のものをプレゼントしても、相手は喜ばないだろうな~」と思ったことでしょう。

 それで、その馴染みの骨董屋さんも、「もし、よかったらあげますよ」と言ってプレゼントしてくれたんです(~_~;)

 でも、私は、喜んで頂戴いたしましたよ(^-^*)  まっ、こんな陶片のようなものを貰って喜ぶような者のことを、まさに「トウヘンボク(唐変木)」=「陶片僕」と言うんでしょうね(爆)。

 私は、この陶片状態の魚文瓶を大変に気に入り、大きく三つに割れた本体部分を接着剤で貼り付け、三分の二ほども欠けて失われた部分は白セメントで補修し、なんとか飾れるように修復し、座右に置いて愛玩していました。

 この魚文瓶の高台内には木の葉の文様の銘款が入っているので、「調べれば、何時、何処で作られたのか分かるだろう」と思ったのですが、当時は、調べるにしても、手元に資料がありませんでしたから、そのままになってしまいました(__;)  そして、そのうち、見飽きてもきましたので、押し入れの中に入れっぱなしになって現在に至ってしまったわけです(><)

 今回、この魚文瓶を紹介するに当たり、何十年かぶりに再会したわけですが、その際、高台内の木の葉の文様の銘款の調査のことを思い出し、手持ちの資料を引っ張り出してきて調べてみました。

 その結果につきましては、たいしたことは分からなかったんですが、この魚文瓶の写真の紹介の後に記したいと思います。

 

 

正面と仮定・・・傷が一番少ない面のため(笑)

 

 

正面の魚文部分の拡大写真

 

 

 

正面から左に90度回転させた面

 

 

正面から左に90度回転させた面の魚文部分の拡大写真

 

 

 

正面の反対面

 

 

正面の反対面の魚文部分の拡大写真

 

 

 

正面から右に90度回転させた面

 

 

口縁部分

口縁の三分の二ほどは欠損していましたが、その部分は自分で補修しました。

 

 

側面

 

 

底面

 

 

 上の底面の写真から分かりますように、高台内には木の葉の文様の銘款があります。

 そこで、手持ちの資料を引っ張り出してきて調べてみました。

 まずは、「近現代肥前陶磁銘款集」から調べてみました。

 

 

 この本は、佐賀県立九州陶磁文化館が平成18(2006)年に編集発行したもので、「肥前地域、すなわち現在の佐賀・長崎県の窯で用いられた銘款のうち、幕末以降、現代までの窯元を表した銘約1,500点を収録」たものとのことです。

 なお、この本は、平成18(2006)年に編集発行されたものですから、私がこの魚文瓶を手に入れた昭和58年頃にはまだ存在していなかったものですね。

 ところで、私が、何故、真っ先にこの本から調べてみようかと思ったかといいますと、私は、この魚文瓶の形状、文様からみて、この魚文瓶は、肥前地域で、明治頃に作られたものではないかと思っていたからです。

 しかし、残念ながら、この本には木の葉の銘款は載っていませんでした(><) ちょっとガッカリです(~_~;)

 でも、この「近現代肥前陶磁銘款集」の「凡例」には、「江戸時代に多く記された中国磁器に由来する装飾銘および、その流れで明治以降に用いられた装飾銘は基本的に収録していない」とも書かれています。

 そこで、次に、何時も銘款の調査に利用している、同じく佐賀県立九州陶磁文化館発行の「柴田コレクションⅣ」の巻末の「17世紀から19世紀中葉の銘款」を調べてみることに、、、。この本も、平成7年に発行されたものですから、やはり、私がこの魚文瓶を手に入れた昭和58年頃には存在していなかったものです。

 これには、この魚文瓶に描かれた銘款に少し似た木の葉の文様の銘款が載ってはいました。

 

(柴田コレクションⅣから転載)

 

 

柴田コレクションⅣの図32の表面

色絵 菖蒲菊文 鉢 1690~1730年代  口径16.0 高さ8.3 底径6.8

(柴田コレクションⅣから転載)

 

 

柴田コレクションⅣの図32の裏面

色絵 菖蒲菊文 鉢 1690~1730年代  口径16.0 高さ8.3 底径6.8

(柴田コレクションⅣから転載)

 

 

 でもね~、この図32の製作年代が、ちょっと古過ぎるんですよね。幕末ならともかく、バッチリと江戸中期ですものね。

 どう考えても、この魚文瓶は、せいぜい幕末までにしか遡りませんものね(~_~;)

 

 ということで、結局は、分かリませんでした(><)

 それで、製作年代は、一応、これまで思っていたとおりの明治時代とすることにしました(~_~;)

 また、これを作った所は、肥前地域であろうと考え、「伊万里」としました。

 

 

製作年代: 明治時代

サ イ  ズ: 口径;6.9cm  高さ;21.1cm  胴径;13.5cm  底径;7.8cm


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8 コメント

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Unknown (遅生)
2020-11-13 18:07:32
この品、レア物ですね、江戸中期にしろ明治にしても。いただき物とは、とても思えません。
魚関係の陶磁器を人より多く見てきたつもりですが、このような絵付けの品にはお目にかかったことがありません。
魚も愛嬌があって面白いです。

底の葉紋、細かく言えば、筆の運びが、柴コレでは直線的で、山形の頂点で少し止まっています。この品の方は、曲線的で、山形の裾野で一呼吸おいています。時代の違いかどうかはわかりませんが。

底紋も含めて、この品の方が絵の描き方が丁寧ですね。
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遅生さんへ (Dr.K)
2020-11-13 19:19:56
これ、バラバラだったんです。
ばらばらに割れてしまってはいても、捨てるに忍びず、捨てられることなく、長い間、陶片状態で残っていたんですね。
私も、捨てるに忍びず、自分で補修して、なんとか飾れるような状態にしたわけです。

この迫力ある魚文に惹かれ、直したわけですが、確かに、直してみれば、もとはタダだったとは思えませんよね(^_^)
大変に得した気分です(^-^*)

魚関係の陶磁器を人より多く見てきた遅生さんでも、このような絵付けのものは目にしたことがありませんか。
珍しい図柄なんですね。

確かに、高台内の銘款も魚の文様も、柴田コレクションⅣの図32よりも、この魚文瓶のほうが丁寧ですよね(^_^)
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可愛い! (不あがり)
2020-11-13 19:53:21
Dr.K様へ
今、インスタを見てきました。相変わらず、拒否されました(笑)。
所で、これ可愛いです。こういう絵付け空きです。私には時代判定はとても無理ですが。そんな事はどうでも良い品物です。とにかく可愛い。愛情が感じられる所が良い。有難うございます。
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Dr.kさんへ (酒田の人)
2020-11-13 20:30:13
バラバラの品を自分で修復、さすがドクターさんですね!
落款の「葉っぱ」(?)は珍しいですよね、とはいえ、絵付けの感じ、釉薬感、形といった要素を考慮すると
確かにドクターさんのお見立てのように明治期の品の雰囲気があるようには感じます。
魚の絵付けは中国磁器の影響を感じなくもありませんが、遅生さんのように経験が豊富でないこともあり、判りません。
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不あがりさんへ (Dr.K)
2020-11-14 10:14:56
まだ、インスタに嫌われていますか(笑)。
私も、なかなか、インスタには馴染めません。もっとも、インスタのほうでもそう思っているんでしょうけれど、、、(笑)。

この器、なかなかインパクトがありますよね。
もとはタダなんですが、何故か、高額で手に入れた古伊万里のように気に入ってるんです。
一生懸命、自分で修復した、思い入れもあるからかもしれませんが、、、。
器の善し悪しは、値段の高低、傷のあるなしでは決まらないようですね(^_^)
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酒田の人さんへ (Dr.K)
2020-11-14 10:36:35
若い頃は、傷物を買ってきては、それを自分で修復していました。そのほうが、安く手に入りますものね。
でも、今では、面倒になり、やらなくなりました(><)

私も、魚の絵付けの感じ、肩の辺りで首から上の部分を胴体部分に被せて繋ぐ造形方法から、中国物かなと思ってきました。
でも、磁肌からみて、明治頃の伊万里なのかなとも思ってきました。
しかし、いずれにしても、高台内の葉っぱの銘款を調べれば分かるだろうと思ってきたんですが、今回の調査では分からず終いでした(><)

何時、何処で焼かれたものなのか、今回では分かりませんでしたが、いずれ分かるかもしれません。
この魚の絵柄は、気に入ってますので、それまで、大切にしておこうと思っています。
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こんにちは (つや姫日記)
2020-11-14 15:35:26
魚の色彩が綺麗ですね~。
何の魚でしょう?
瓶の形も素晴らしいですね。
補修されたと言うことも凄いです。
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つや姫日記さんへ (Dr.K)
2020-11-14 18:00:44
色は、赤と染付の二色だけなんですが、綺麗ですよね(^-^*)

何という名前の魚なのか分かりません。草魚という人もいますし、オコゼという人もいます(^_^)

瓶の形はちょっと変わっていますね。近代的な感じを受けますね。

若い時は、傷物を買ってきては補修したりしていました。
そうすれば、安く買えましたので、、、。
でも、今では、面倒になり、自分では補修をしなくなりました(><)
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