Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

染付 蘭文 猪口

2021年09月05日 18時16分19秒 | 古伊万里

 今回は、「染付 蘭文 猪口」の紹介です。

 

蘭の文様が大きく描かれている面

 

 

蘭の文様が小さく描かれている面

 

 

底面

 

 

蘭の文様が大きく描かれている面(代表の1個)

 

 

蘭の文様が小さく描かれている面(代表の1個)

 

 

底面(代表の1個)

 

生 産 地 : 肥前 鍋島藩窯

製作年代: 江戸時代後期

サ イ ズ : 口径:6.1~6.3cm  高さ:4.1cm

 

 

 なお、この「染付 蘭文 猪口」につきましても、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところです。

 次に、その際の紹介文を再度掲載することによって、この「染付 蘭文 猪口」の紹介とさせていただきます。

 

 

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        <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー171  鍋島様式染付蘭文猪口              (平成24年6月1日登載)

 

 

 この猪口たちは、平成16年に我が家にやってきたものだが、最初は、最近作られた新しいものではないかと思ったものである。あまりにも奇麗すぎたから、、、、、。

 でも、その後、「鍋島 後期の作風を観る 元文時代から慶応時代まで」(小木一良著 創樹社美術出版 平成14年刊)の198ページの図190に類品が掲載されていることも知り、この猪口たちは後期鍋島に属することは間違いないと思っている。

 同書の図190の説明及び写真は次のとおりである。

 

 

(190) 蘭文猪口四種
 ごく平凡な形態の猪口であるが、蘭文が描かれている。
 蘭文は当時よほど人気が高かったと思われいろいろの器形のものが見られる。
 本図は大きさの異る四種の同文猪口を掲げてみたが、この他にも大きさの異る作品があるかもしれない。
 釉調、染付共に美しく整っている。実用として楽しめる猪口類である。

図190の写真  (左径9.1cm×高さ6.1cm 右端径6.0cm×高さ4.1cm)

 

 

 

 この猪口たちは、上記の図190に載っている四種の猪口のうちで一番小さな右端のものに属するものであろう。

 上記の説明には、「実用として楽しめる猪口類である」とあるが、鍋島が将軍の食膳具であったことを考えると、恐れ多くて、なかなか実用として楽しむ気にはなれず、未だに実用に供せないでいる(~_~;)

 

江戸時代後期    口径:6.1~6.3cm  高さ:4.1cm 

 

 

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*古伊万里バカ日誌102  古伊万里との対話(蘭文の猪口)(平成24年6月1日登載)(平成24年5月筆)  

登場人物
  主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
  蘭   (伊万里鍋島様式染付蘭文猪口)


 

 

・・・・・プロローグ・・・・・

 主人は、何を思ったのか、今では季節外れとなる「シュンラン」(春蘭)を描いたと思われる猪口を押入れから引っ張り出してきて対話をはじめた。

 


 

主人: 最近、散歩をしていて、雑木林の中に「ギンラン」が咲いているのを見かけることからお前を思い出し、対話をしたくなったので出てもらった。

蘭: 思い出してくれてありがとうございます。
 私は、「ギンラン」に似ているんですか?

主人: いや、「蘭」は「蘭」でも、「ギンラン」とはちょっと違うね。お前は、葉が細長く、根元から立ち上がって曲線を描いて下に向かうが、「ギンラン」の方は、葉が、お前よりはずっと太くて短いので、上に立ち上がってから曲線を描いて下に向かうということはないね。まっ、どちらかというと、「蘭」といえば、お前の方が一般的だな。お前は、日本各地でよく見られる野生蘭の一種で、春に花が咲くので「シュンラン」(春蘭)といっているね。

蘭: 私が春に花の咲く「シュンラン」(春蘭)なら、今の時期に登場するのはおかしいですね。今はもう春とは言えないですものね・・・・・。

主人: まぁな。確かに、「蘭」は、「蘭」、「竹」、「菊」、「梅」の四君子の一つで、四君子は四季を通じての題材となっており、春は「蘭」、夏は「竹」、秋は「菊」、冬は「梅」ということになっているものね。そういう意味では、お前を今の時分に登場させることは季節はずれになるが、今時分に花の咲いている「ギンラン」を見掛けることからお前を思い出して登場させたわけで、同じ「蘭」つながりということで許してくれ。

蘭: はい、わかりました。
 ところで、「ギンラン」は、「ギンラン」といわれるくらいですから、銀色の花を咲かせるんですか?

主人: 「ギンラン」は4月~6月にかけて花を咲かせるので、今時分に見掛けるんだが、実際には、銀色の花ではなく、白い花だね。「ギンラン」に似たものに「キンラン」というのがあるが、そっちのほうは、明るく鮮やかな黄色い花を咲かせるんだ。「ギンラン」も「キンラン」も、共に、雑木林の林下に咲くんだが、特に「キンラン」のほうは、明るく鮮やかな黄色の花が、雑木林の木漏れ日に照らされ、まさに「金蘭」のように輝くんだ。それで、黄色の花は「キンラン」と、同属の白い花は「ギンラン」と呼ばれているんだ。「キンラン」も「ギンラン」も同じような場所で同じような時期に開花するね。
 「キンラン」も「ギンラン」も、元々、「シュンラン」と同じように、日本ではありふれた野生蘭の一種で、かつては雑木林の林下などで何処にでも見られたらしいが、1990年代頃から急激に数を減らしていって、遂に、1997年には絶滅危惧種に登録されてしまったらしい。雑木林の下草刈りをしなくなって生育環境が悪化したり、開発によって生育地が奪われたり、採取されてしまったりということから、その数を急激に減らしてしまったんだろうね。
 それでも、ここは田舎なので、まだ、じっくりと捜せば「ギンラン」は少しは見つけることができるんだ。でもね、「キンラン」はなかなか見つからないね。昨年、一株見掛けたが、今年はまだお目にかかっていないよ。

蘭: そんなに数が減ってしまったんですか!

主人: そうなんだ。その点、お前のような蘭はよく見かけるね。文人画の代表的な素材になっているので、掛軸によく登場するし、古伊万里にもよく登場してくるね。
 ところで、お前のことは平成16年に手に入れたんだけど、最初見た時は、新物じゃないかと思ったよ。あまりにも奇麗すぎるので、最近作ったものなんだろうと思ったんだ。鍋島は少ないと言われているので、そうやたらに存在するものじゃないと思っていたから、にわかには信じられなかったわけだ。それでも、じっくりと見ていると、やはり時代はあるように感じられるようになってきた。
 今では、「鍋島 後期の作風を観る 元文時代から慶応時代まで」(小木一良著 創樹社美術出版 平成14年刊)の198ページの図190に類品が載っていることもわかったので、後期鍋島に属することは確実と思っている。

 

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Dr.kさんへ (遅生)
2021-09-05 18:45:54
いやー、恥かしいです。
最初、Drご乱心?かと思いました(^^;
というのも、ウチで客に出す茶碗とそっくりだったからです。
でも、よくよく見ると、器体にも模様にも、品格がありますね。当然、売る方は、それと気づいていなかったのですね。

こういう物を探り当てられる感覚がうらやましい。野の蘭を鑑賞するうちに、感覚を養えるでしょうか。
私には、金蘭も銀蘭もわかりません。
長生きのきんさん、ぎんさんなら分かりますが(^.^)
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遅生さんへ (Dr.K)
2021-09-05 19:22:47
いやいや、売る方は、それと知っていたんです。
それで、結構なお値段だったわけですが、買う方が半信半疑というところだったわけです(~_~;)
信じて、正解だったというところです(^_^)

あれっ、遅生さんのところこそ、これで来客にお茶を出すのですか(≧◇≦)
将軍の食膳具でお茶を頂くのですから、大大名クラスでないと故玩館を訪れることが出来ませんね、、、。
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Dr.Kさんへ(弐) (遅生)
2021-09-05 20:12:03
いえいえ、蘭の絵の茶碗というだけです。ダダクサ(ぞんざいに)に使っておられますから大分割れました。そう言えばこの頃あまり見かけません。コロナで客もいないし、別口にチェンジだと思います(^.^)

ウチは本陣ではないので、大名の立ち寄りはありません(^^; 代わりに、荒くれ者たちが出入りしていたそうです。怖いです。今に生まれていてよかったです。
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遅生さんへ(その2) (Dr.K)
2021-09-06 09:42:46
旧故玩館は、本陣ではなかったのですね。
それでは、大名の立寄りはなかったわけですね。
でも、なにせ、天下の中山道ですものね。代わりに、いろんな方が立寄られたのでしょうね。
そして、蘭の絵の茶碗でおもてなしを受けた者も多かったわけですね。
それも、時代の波で、その蘭の絵の茶碗も別口の茶碗にチエンジなんですね(^-^*)
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