今回は、「染付 山文 碗」の紹介です。
これは、本来なら蓋を伴った蓋付飯茶碗かなとも思うのですが、蓋付飯茶碗にしてはちょっと大振りですから、やはり、これはそのままで、蓋を伴わないままの「碗」なのかなとも思えますので、一応、単なる「碗」としました。
立面
文様は何を描いたのか分かりませんが、「山」としました。
その文様が、ぐるりと一周して描かれています。
見込み面
見込みには文様が描かれています。
底面
ところで、上の「見込み面」の画像から分かりますように、この碗の見込みには「見込み文様」が描かれています。
「見込み文様」から、その作品の製作年代が分かることがありますので、さっそく調べてみることにしました。
調査に際して使用した資料は、「柴田コレクションⅣ」(佐賀県立九州陶磁文化館 1995(平成7)年発行)です。
その巻末のほうに、鈴田由紀夫氏(現:佐賀県立九州陶磁文化館館長)が、「17世紀末から19世紀中葉の銘款と見込み文様」という論文を載せています。
その中に、この碗の見込みに描かれた文様によく似た文様が載っていました。次のようなものです。
また、上の画像に書かれている「図322」というものは、次のようなものです。次のような比較的に上手の碗の見込みに、このような見込み文様が描かれているわけですね。
図322 染付 菊花四方襷文 小碗
1780~1810年代 口径8.7 高さ5.4 底径3.4
以上のことから、この「「染付 山文 碗」も、比較的に上手の碗でもありますことから、1780~1810年代に作られたものであることが分かります。
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代後期(1780~1810年代)
サ イ ズ : 口径;11.4cm 高さ;6.2cm 底径;4.7cm
私としては、どのような用途に使われたのか、興味があります。
それにしても、30年の範囲で時代が特定できるとはすごいです。
そこでまた、素朴な疑問です。基準となる物(模様)の時代特定はどうのようにしてなされるのでしょうか(^.^)
鉢には小さく、茶碗には大きいですものね、、。
時代特定の基準を何に求めているのか分かりませんが、発掘陶片とか時代箱に書かれていた年号などを参考にしているのかなと思っています。
ですので、絶対的ではないですよね。可能性が高いということですよね。
もっと有力な基準のようなものが出てくれば、また変わりますよね。
私は、この碗は、柴田コレクションⅣの図322を見る前までは、もう少し古いかなと、漠然と思っていました。