4月5日告示、12日投票の東御市長選挙の最大の争点は湯の丸の高地トレーニングプールです。標高1750メートルの湯の丸高原にアスリート専用のプールをつくり、東京オリンピックでの金メダル獲得に貢献しようというのがそのねらいです。
高地トレーニングとは
高地トレーニングとは、標高の高いところでトレーニングを積むことで身体能力が高まり、競技力アップにつながり選手育成に有効だとされています。いまトップ級のアスリートは海外の高地でトレーニングしています。
日本には高地トレーニングの陸上施設がありますがプールはありません。そこで東御市は国に対してプールの誘致を働き掛けてきました。ところがオリンピック費用がかさむことから国はプール建設を断念。すでに東京都に味の素トレーニングプールがあります。
市単独事業へ踏み切る
しかし、花岡市長はこれに納得せず平成29年6月、国への誘致を断念し、東御市としての単独事業に踏み切りました。その際の市長の説明は「市民に迷惑はかけない、すべて寄付金でまかなう」という奇想天外なものでした。「寄付金で仮設プールを建設し、東京オリンピック・福岡国際大会が終わった後、体育館に改修する。そうすれば体育館がただで手に入る」と述べていました。
寄付は間違いない
問題は財源です。議会では大問題になり、寄付が集まるかどうか議論されました。平成29年12月議会ではプール建設にゴーサインを出す債務負担行為が上程されました。市長は議会に対し「間違いない」と自信を示し、これに対し議会は「そこまで市長が言うのなら間違いないのだろう」と市長の発言を信じ採択しました。
寄付が集まらず1億6000万円の借金
ところが平成31年3月議会に対し、市長は1億6000万円の借金を提案しました。寄付が予定通り集まらなかったのです。議会では大問題になりました。すべて寄付金でという約束は守られませんでした。うわさでは当初億単位の寄付を申し出た企業があり、様々な事情でそれが実現できなくなったそうです。しかし工事費の支払い期限が迫っていることもあり最終的に同意しました。
借入れは9億円にも
そして昨年の令和元年12月議会において、市長は7億円の借金案を提出しました。令和2年3月がこの事業の最終年度であり、借金は最終的に9億円にもなります。予算説明では、「企業版ふるさと寄付5億円は確実」と言っていたのに集まったのは900万円にすぎませんでした。これまでの経過があるにもかかわらず7億円の借金は道理が通りません。その結果、賛成8、反対7の僅差での可決となりました。
こうした経過はほとんどの市民は知りません(続く)。