【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

孫崎享氏の評論二編と短い私見

2015-04-19 19:48:04 | 転載と私見
【孫崎享のつぶやき】本日二題

①日本は民主主義の危機に。ニューメラン「共産主義者を逮捕した時私は声を挙げなかった。私違うから」
2015-04-19 08:107
②米国、2016年共和党勝利の際の怖さ、世界により多くの軍事攻撃、かつ同盟国に参加させる
2015-04-19 09:496

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①日本は民主主義の危機に。ニューメラン「共産主義者を逮捕した時私は声を挙げなかった。私違うから」
2015-04-19 08:107

自民党の攻勢は異常だ。民主主義の危機に日本は突入している。

 民主主義の大前提に報道の自由がある。

 メルケル独首相が訪日した際の講演のやり取りの中で、彼女は次の発言をした。

「私は言論の自由は政府にとっての脅威ではないと思います。民主主義の社会で生きていれば、言論の自由というのはそこに当然加わっているものであり、そこでは自分の意見を述べることができます。法律と憲法が与えている枠組みのなかで、自由に表現することができるということです」

 「34~35年間、私は言論の自由のない国(東ドイツ)で育ちました。その国で暮らす人々は常に不安におびえ、もしかすると逮捕されるのではないか、何か不利益を被るのではないか、家族全体に何か影響があるのではないかと心配しなければならなかったのです。そしてそれは国全体にとっても悪いことでした。人々が自由に意見を述べられないところから革新的なことは生まれないし、社会的な議論というものも生まれません。社会全体が先に進むことができなくなるのです。最終的には競争力がなくなり、人々の生活の安定を保障することができなくなります」

 「もし市民が何を考えているのかわからなかったら、それは政府にとって何もいいことはありません。私はさまざまな意見に耳を傾けなければならないと思います。それはとても大切なことです」

 私はこの発言を聞いて不思議な気がした。中国へ行ってこういう発言をするならわかる。しかし、日本でなぜ民主主義に言論の自由が不可欠と言わなければならないか。

 でも。解った。彼女は日本が危機にあることを感じ取っていたのだ。ドイツ高級紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」で東京特派員を務めていた、カーステン・ガーミスさんの報道に、在フランクフルト日本総領事が抗議する位、酷い状況になっていることをしっていたのだ。

 自民党の情報通信戦略調査会(会長・川崎二郎元厚生労働相)は17日午前、党本部で会合を開き、NHKとテレビ朝日の報道番組で、「やらせ」や政治的圧力があったとされる問題について、NHKの堂元光副会長、テレビ朝日の福田俊男専務らから聴取した。

川崎氏は冒頭、「二つの案件とも真実が曲げられた放送がされた疑いがある」と指摘し、両社から説明を受けた。

 テレビに関しては放送法がある。「第三条  放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」。明らかに自民党の行動は放送法に抵触する行動である。

 さらに「自民、異例の議事録修正要求 福島氏の「戦争法案」発言」がある。

「 社民党の福島瑞穂氏が参院予算委員会で安倍晋三首相に質問した際、政府が提出をめざす安全保障関連法案を「戦争法案だ」などと述べたことについて、自民党の理事は17日、一方的な表現だとして修正を求めた。国会発言を削除・修正するのは国会の権威や人権を傷つけたり、事実関係を間違えたりした例が大半。政治的な信条に基づく質問の修正を求めるのは異例で、論議を呼びそうだ。

 福島氏は1日の参院予算委で、与党が協議中の安保関連法案について「安倍内閣は14から18本以上の戦争法案を出す」などと質問した。

 安倍首相は「レッテルを貼って、議論を矮小(わいしょう)化していくことは断じて甘受できない」と反論したが、福島氏は重ねて「戦争ができるようになる法案だ」と指摘。この質疑を受けて、岸宏一委員長(自民)は「不適切と認められるような言辞があったように思われる。(予算委)理事会で速記録を調査の上、適当な処置をとる」と述べていた。」(18日朝日新聞)

 私はツイッターに次を書いた。

「自民、異例の議事録修正要求 福島氏の「戦争法案」発言(自民、異例の議事録修正要求 福島氏の「戦争法案」発言).集団的自衛権は当然イラク戦争、アフガニスタン戦争の如き「戦争」の後方支援。戦争が嫌なら法案に「米国で戦争(WAR)と形容される物に参加しない」と書きこんだらどうだ」

 本当に日本は危うい時代に入ってきた。

 ナチに逮捕された牧師、マルティン・ニーメラーの言葉がある。

「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった。
 私は共産主義者でなかったから。 

社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった

私は社会民主主義ではなかったから

彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった

私は労働組合員ではなかったから

彼らがユダヤ人たちを連れて行ったとき、私は声をあげなかった

私はユダヤ人などではなかったから

そして、彼らが私を攻撃したとき

私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった」

 皆が協力し、自民党の非民主的言動を止めなければならない。そういう時代に日本は入ったのだ。


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②米国、2016年共和党勝利の際の怖さ、世界により多くの軍事攻撃、かつ同盟国に参加させる
2015-04-19 09:496



米国国内で、今危険な現象が起こっている。

 経済、外交、軍事面で米国の絶対的力が後退している中で、軍事力を行使すべきだという考えが台頭し、その中で、ブッシュ元大統領の弟は「米軍の負担を軽減するために同盟関係を強化すべきだ」と主張しているが、これは集団的自衛権で自衛隊が後方支援を行うという流れと一体的動きである。

現在共和党の候補者を選ぶ選挙戦で、ランド・ポール・ケンタッキー州選出の連邦上院議員が立候補している。父はリバタリアンで、共和党の大統領予備選に何度も出馬した元連邦下院議員のロン・ポール。徹底した小さな政府、財政支出の削減、減税を主張。外交政策ではアラブの春によるリビア内戦のアメリカの介入に強く反対し、2011年1月26日から反政府軍とシリア政府軍との内戦状態が続くシリア騒乱への軍事介入や、反政府軍への武器支援にもシリアで反政府側として活動しているアルカイダ系のイスラム武装組織を支援する事になると言う理由で反対した。その為、反政府軍への武器支援を決めたオバマ大統領を非難し、同時に、シリアへの軍事介入や反政府軍への武器支援を推進している共和党上院議員ジョン・マケインを批判していた。

 この彼が、今、共和党の好戦派と激しい戦いを行っている。

 18日AP・STEVE PEOPLES 著の記事「ランド・ポールはニューハンプシャー共和党大会で軍事タカ派と衝突(Rand Paul Clashes With Military Hawks At New Hampshire GOP Conference)を掲げている。

 主要論点

・ランド・ポールは「共和党の何人かの同僚はヒラリー・クリントンより国際政治で害を与えるであろう」と述べた。

・ランド・ポールは「共和党内に、現時点で少なくとも6か国に軍を派遣しようとする人々のグループがある」と述べた。

・ブッシュ元フロリダ知事、2003年イラク戦争を開始したブッシュ大統領の弟は「兄と異なった政策を行うかについては回答を避けた。

ブッシュは「我々の敵は行動を控えるように、我々を恐れる必要がある」と述べた。彼は、米国軍自身が戦場に軍靴を履いていることをより少なくすることとなる同盟の回復が次の大統領の第一の優先となる(. He said restoring alliances "that will create less likelihood of America's boots on the ground has to be the priority, the first priority of the next president.")と述べている。

・この共和党の大会ではルビオ・フロリダ上院議員等タカ派が出席している。

・グラハム・サウスカロライナ選出上院議員はイスラム国に対して、“彼らを破る唯一の方法がある。そこへ行って戦ってやっつける。そうすればかれらはここにはこない”と発言している。

・クルズ・テキサス選出上院議員はイスラム国を破る道は簡明な軍事目的で、破ることだ“と述べている。

・キング・ニューヨーク選出下院議員は「米国が孤立主義になったらこの空白は敵に埋められる」と述べている。

・女性実業家フィオリナは「米国が主導しなければ世界はもっと危険になる。長い間米国が主導していない」と述べた。

・ランド・ポールも最近イスラム国グループへの戦争宣言を提言し、軍事介入に完全に否定的ではない。

・ランド・ポールは米国の外交を複雑にしているとして中国、ロシアを指摘した。

・ランド・ポールはイランの核交渉に反対している人には戦争を望む人がいると指摘している。


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私見

 日本は現代的・新「軍国主義」体制に突入した。アメリカも、軍産複合体と距離を置いていたオバマ民主党政権が後退をやむなくされ、軍産複合体の意のままに動く共和党政権、ないしは民主党右派政権に向かっているように思える。
 いつの時代にも民衆は権力者によって弾圧を受けてきた。その程度に若干の強度の相違はあっても。