【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

【孫崎享のつぶやき】2021-09-28 07:444

2021-09-28 12:35:10 | 転載
【孫崎享のつぶやき】
独総選挙、僅差で社民党が第1党 メルケルの党、キリスト教民主・社会同盟は四年前と比し、32.9%→24.1%。緑の党は8.5%→14.8%、AfD(独の為の選択肢)12.6%→10.3%。総じて右派後退、左派伸長。誰が後継首相になるかは連立協議次第。難航か。



A-1 事実関係「ドイツ総選挙、16年ぶり社民党が第1党 連立行方は混沌」(日経)
 26日投開票のドイツ連邦議会選挙(総選挙)は中道左派、ドイツ社会民主党(SPD、社民党)が、メルケル首相の所属する中道右派、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)に僅差で勝利。社民党は16年ぶりに第1党となるが、過半数には及ばず、誰が後継首相になるかは連立協議次第。協議はかなりの時間がかかるとみられ、行方は混沌。
 社民党が25.7%(前回2017年は20.5%)で、CDU・CSUの24.1%(同32.9%)を上回った。環境政党の緑の党が14.8%(同8.9%)、産業界寄りの自由民主党が11.5%(同10.7%)、極右のドイツのための選択肢が10.3%(同12.6%)、旧共産党系の左派党が4.9%(同9.2%)で続く。
                       今回     前回
  SPD(ドイツ社会民主党)         25.7%    20.5%
  CDU>CSU(キリスト教民主・社会同盟)  24.1%    32.9%
  緑の党                  14.8%    8.5%
  FDP(自由民主党)            11.5%    12.6%
  AfD(ドイツのための選択肢)       10.3%    12.6%
  左派党                  4.5%     9.2% 
 「大きな成功だ」。社民党の首相候補、ショルツ財務相は26日夜、歓声を上げる支援者の前で「選挙結果を喜んでいる」と語った。有権者は政権交代と「ショルツ首相」を求めているとし、16年ぶりの社民党出身の首相となることに強い意欲。
 「この結果には満足できない」。CDU・CSUの首相候補、ラシェット党首は過去最低の得票率となった今回の選挙についてこう語った。ただ「CDU・CSU主導の政権を樹立する」との決意も示す。
 次の首相になるには連邦議会で過半数の支持を得る必要があり、二大政党の多数派工作は今後、激しくなりそうだ。有力な選択肢のひとつは社民党、緑の党、自由民主党による連立で、各党のシンボルカラーが赤、緑、黄であるため「信号連立」と呼ばれる。もう一つは、CDU・CSU、緑の党、自由民主党の連立だ。
 3党での連立は政策のすり合わせの難易度が高い。連立交渉がうまく進まなかった場合には、現在と同じCDU・CSUと社民党による大連立の維持も選択肢となる。
 CDU・CSUが前回選挙と比べて得票率を大きく落としたのは、ラシェット氏が7月の大洪水の被災地で、舌を突き出して大笑いする姿がカメラに捉えられた影響が大きい。会派内の権力闘争が続いたことも、政権運営能力への不安を高めた。
 CDU・CSUは中道右派だが、16年にわたったメルケル政権下で脱原発などの左派寄りの政策を進め、中道からやや左派よりの有権者の支持を集めてきた。メルケル氏の引退やラシェット氏への失望で、CDU・CSUに投票してきた有権者の一部が社民党などに流れた可能性がある。
 社民党はCDU・CSUが失速するなか、ショルツ氏の安定感をアピールして有権者の支持を集めた。第4次メルケル政権で副首相兼財務相を務めたショルツ氏であれば、首相交代後もある程度の政策の継続が期待できるとの安心感も支持拡大につながったとみられる。
A-2 事実関係2「ドイツ総選挙、社会民主党が最多得票も次期政権構成はなお不透明」(ブルムバーグ)
 SPDの得票率25.7%、CDU・CSU24.1%-公式の暫定集計
 政権樹立へあらゆる努力-ラシェットCDU党首
 前例のない大接戦。社会民主党(SPD)が得票率でメルケル首相が所属するキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)をやや上回り、第1党の座を確保するもようだが、次期政権を誰が率いるのかなお不透明な情勢。
 SPD、CDU・CSUの両党首とも次期首相の座を目指している。
 ショルツ、ラシェット両氏は緑の党と中道の自由民主党(FDP)の両方を取り込む動きを活発化し始める見通し。
 FDPと緑の党がそれぞれ掲げる政策にはかなりの違いがあり、リントナーFDP党首は選挙結果を受け、二大政党と協議する前にFDPと緑の党が話し合いを行うことを提案。FDPにとってはSPDよりもCDU・CSUの方が共通点が多いとも指摘した。
 A-3 ウォール・ストリート・ジャーナル「中道左派僅差の勝利(Center-Left Wins Narrow Victory in German Elections)
A-4;ワシントンポスト「メルkルの党、僅差で敗北(Center-Left Wins Narrow Victory in German Elections)
A-4:ニューヨークタイムズ:社会民主主義党僅差でメルケルの党を破る(Social Democrats Have Narrowly Beaten Merkel’s Party)」
A-5 英国タイムズ紙「メルケルの保守党歴史上最悪の結果を被る(German election results 2021: Merkel’s CDU suffer their worst result in history)




Germany on Course for Three-Way Coalition, Led by Scholz
ドイツはショルツ氏率いる3党連立政権の方向かSource: Bloomberg)
 ショルツ氏は党本部で支持者に対し、有権者が次期首相に自分を望んでいることは明白だと述べた。ただ、それを実現できるとしても数カ月間の交渉に直面することになる。CDU・CSUの得票率は30%に届かず、過去最悪となったが、ラシェット氏は「連邦政府樹立のため、やれることを全てやる」と支持者に向かって表明した。
 ドイツ連立交渉に数カ月かかる可能性-総選挙で明確な勝者なし
 票の集計は27日も続く見込みで、ショルツ、ラシェット両氏は緑の党と中道の自由民主党(FDP)の両方を取り込む動きを活発化し始める見通しだ。
 FDPと緑の党がそれぞれ掲げる政策にはかなりの違いがあり、リントナーFDP党首は選挙結果を受け、二大政党と協議する前にFDPと緑の党が話し合いを行うことを提案。FDPにとってはSPDよりもCDU・CSUの方が共通点が多いとも指摘した。
 緑の党の得票率は過去最多の14.8%で3位に入った。得票率11.5%のFDPと共に連立交渉を大きく左右する役割を果たす公算が大きい。右派「ドイツのための選択肢(AfD)」の得票率は10.3%、左派党は4.9%にとどまった。
 新政権はインフラの老朽化やデジタル技術への投資不足など、メルケル首相がやり残した課題に取り組む必要がある。また、経済を不安定化させることなく自動車産業とエネルギー産業を脱化石燃料化することも喫緊の課題だ。