総裁選で大騒ぎ これでいいのかテレビ報道
安倍・菅政権9年 検証もせず
2021年9月17日【3面】しんぶん赤旗電子版転載
“生出演”競いあい 発言垂れ流し
テレビの自民党総裁選報道が異常です。“有権者”は国民の1%ほどで、一政党の党内手続きにすぎないのに、連日、大騒ぎです。一方で、日本共産党など野党が憲法53条にもとづいて臨時国会を開けと要求していることや、市民連合が総選挙における野党共通政策で合意したことなど、野党側の動きはほぼ無視、冷淡です。具体的に見てみると―。(藤沢忠明)
「河野太郎氏が生出演 石破氏と連携どこまで」(朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」15日)、「岸田氏に問う政権取り 告示直前…最新情勢は」(BSフジ「プライムニュース」14日)―。菅義偉首相がコロナ対策などで行き詰まって3日に政権投げ出しを表明して以降、テレビ各局は、岸田文雄前政調会長、河野太郎行政改革担当相、高市早苗前総務相ら“候補者”を「生出演」させ、「生直撃」することを競いあっています。20番組を超えています。(表参照)
持ち上げたり 追いかけたり 「大胆予想」も
立候補を模索していた石破茂元幹事長、野田聖子幹事長代行らを含めて、「国民的人気がある」「突破力がある」などと持ち上げたり、「そのめがねはどこで買っているんですか」などと質問したり…。プロモーションビデオのようで、うんざりする内容です。
“候補者”が出ない番組でも、大きな顔写真パネルを並べて、誰が優勢かとレース仕立てで「大胆予想」したり、キングメーカー気取りの安倍晋三前首相や麻生太郎副総理・財務相ら“有力者”の思惑や、“候補者”、各派閥の動きを追いかけることに懸命です。
一部で、「自民党総裁“候補”に問う コロナ禍で深刻化する格差と貧困」と報じた番組(TBS系「報道特集」11日)もありましたが、9年にわたる安倍・菅政治を検証しようとした形跡はほとんどありません。
悪政共同責任 世論調査でも路線に「ノー」
岸田氏は、安倍政権で外相連続5期、自民党政調会長、高市氏は、同じく安倍政権で政調会長、総務相、河野氏は、安倍政権で国家公安委員長、外相、防衛相などを歴任、菅内閣では、規制改革担当相…といずれも、安倍・菅政権で党・内閣の要職を務めてきました。いわば、無為無策のコロナ対策や、公文書改ざんや「桜を見る会」疑惑などの行政私物化、沖縄の新基地建設強行、日本学術会議の任命拒否などの強権政治、相次ぐ閣僚らの「政治とカネ」問題など、安倍・菅政権9年の悪政に共同責任がある面々です。
「朝日」の世論調査(11、12日)では、次の首相が安倍・菅路線を「引き継ぐ方がよい」28%に対し、「引き継がない方がよい」が58%と倍以上あります。テレビは、総裁選報道にあたっては、この安倍・菅政治9年の全体を問い直すことから始めるべきです。また、6月16日の通常国会閉会後、野党の臨時国会開会要求に応じず、コロナ禍で苦しむ国民をよそに“政治空白”をつくりだしている菅政権の責任を検証すべきです。
それらのことをすることもなく、菅後継選びのお祭り騒ぎに終始し、各候補の安倍氏を意識した「森友学園問題の再調査はしない」「原発は当面使っていく」「靖国神社の公式参拝は続ける」などという発言を無批判に垂れ流すのでは、メディアの責任を果たしているとはいえません。
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写真:上田耕一郎氏日本共産党副委員長 生前に広範な博識とおだやかな人柄から保守革新問わず尊敬を集めた。不破哲三氏は実弟。
安倍・菅政権9年 検証もせず
2021年9月17日【3面】しんぶん赤旗電子版転載
“生出演”競いあい 発言垂れ流し
テレビの自民党総裁選報道が異常です。“有権者”は国民の1%ほどで、一政党の党内手続きにすぎないのに、連日、大騒ぎです。一方で、日本共産党など野党が憲法53条にもとづいて臨時国会を開けと要求していることや、市民連合が総選挙における野党共通政策で合意したことなど、野党側の動きはほぼ無視、冷淡です。具体的に見てみると―。(藤沢忠明)
「河野太郎氏が生出演 石破氏と連携どこまで」(朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」15日)、「岸田氏に問う政権取り 告示直前…最新情勢は」(BSフジ「プライムニュース」14日)―。菅義偉首相がコロナ対策などで行き詰まって3日に政権投げ出しを表明して以降、テレビ各局は、岸田文雄前政調会長、河野太郎行政改革担当相、高市早苗前総務相ら“候補者”を「生出演」させ、「生直撃」することを競いあっています。20番組を超えています。(表参照)
持ち上げたり 追いかけたり 「大胆予想」も
立候補を模索していた石破茂元幹事長、野田聖子幹事長代行らを含めて、「国民的人気がある」「突破力がある」などと持ち上げたり、「そのめがねはどこで買っているんですか」などと質問したり…。プロモーションビデオのようで、うんざりする内容です。
“候補者”が出ない番組でも、大きな顔写真パネルを並べて、誰が優勢かとレース仕立てで「大胆予想」したり、キングメーカー気取りの安倍晋三前首相や麻生太郎副総理・財務相ら“有力者”の思惑や、“候補者”、各派閥の動きを追いかけることに懸命です。
一部で、「自民党総裁“候補”に問う コロナ禍で深刻化する格差と貧困」と報じた番組(TBS系「報道特集」11日)もありましたが、9年にわたる安倍・菅政治を検証しようとした形跡はほとんどありません。
悪政共同責任 世論調査でも路線に「ノー」
岸田氏は、安倍政権で外相連続5期、自民党政調会長、高市氏は、同じく安倍政権で政調会長、総務相、河野氏は、安倍政権で国家公安委員長、外相、防衛相などを歴任、菅内閣では、規制改革担当相…といずれも、安倍・菅政権で党・内閣の要職を務めてきました。いわば、無為無策のコロナ対策や、公文書改ざんや「桜を見る会」疑惑などの行政私物化、沖縄の新基地建設強行、日本学術会議の任命拒否などの強権政治、相次ぐ閣僚らの「政治とカネ」問題など、安倍・菅政権9年の悪政に共同責任がある面々です。
「朝日」の世論調査(11、12日)では、次の首相が安倍・菅路線を「引き継ぐ方がよい」28%に対し、「引き継がない方がよい」が58%と倍以上あります。テレビは、総裁選報道にあたっては、この安倍・菅政治9年の全体を問い直すことから始めるべきです。また、6月16日の通常国会閉会後、野党の臨時国会開会要求に応じず、コロナ禍で苦しむ国民をよそに“政治空白”をつくりだしている菅政権の責任を検証すべきです。
それらのことをすることもなく、菅後継選びのお祭り騒ぎに終始し、各候補の安倍氏を意識した「森友学園問題の再調査はしない」「原発は当面使っていく」「靖国神社の公式参拝は続ける」などという発言を無批判に垂れ流すのでは、メディアの責任を果たしているとはいえません。
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写真:上田耕一郎氏日本共産党副委員長 生前に広範な博識とおだやかな人柄から保守革新問わず尊敬を集めた。不破哲三氏は実弟。